書店をたずねて三千里

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版元営業というお仕事(その1)

どうも。彩流社営業部の春日です。

気がつくとあっという間にこの営業部スタッフブログ「書店をたずねて三千里」の当番の日になってしまって、今日はどんなネタでいこうかと、いつも悩んでおりますが、今回は、世間様からあまり知られていない、出版業界でも、編集者が黒子だとすると、そのさらに黒子の黒子、よくいえば縁の下の力持ちでもある、出版社の営業=版元営業のことについて書きたいと思います。

出版社といえば、コミックになったり、テレビドラマになるのは、基本的には編集部(編集者)を描いたものが多いと思いますが、そんななかで実はちょっとだけ、一話分だけとかで、版元営業について一部ですが、テレビやコミックでも扱われたことがありました。

ちょっと前になりますが、私が大好きな漫画家で土田世紀という人がいましたが(2012年に急逝)、その土田世紀の作品で『編集王』という大手出版社のマンガ編集者に焦点を当てたコミックがありました(個人的にはこの『編集王』より、演歌歌手を目指して状況する青森の若者を描いた『俺節』が土田世紀の最高傑作だと思う)。

どこかの章で、営業部が登場する場面があって、冷徹なやり手営業マンが主人公の編集者カンパチを書店に連れて行って 、売れない本が書店の現場で、業界で、実際にどういう扱いを受けているかを教える場面があって、それがとてもリアルで、すごく印象に残っています。あとは、テレビドラマにもなりましたが『働きマン』というコミックで、週刊誌の編集部を描いた安野モヨコの作品がありましたが、これはコミックではなくテレビドラマの方で見たある回の話で、版元営業マンの苦悩を描く回があったのを覚えています。これも結構リアルでマジで最後は泣けてきました。

その泣けた回の話とは、あるコミックがベストセラーになって、でもその影には書店や取次等、営業の現場で書店員に働きかけてフェアを組んだり、頭を下げて回って営業し続け、ベストセラーの後押しをした営業マンの存在もあったわけですが、そのベストセラーのコミックの担当編集者とその営業マンがある日、廊下ですれ違った時に、その担当編集者に「ベストセラーおめでとうございます」と話しかけたら、その編集者に「先生も私も本当に頑張ったから、だからベストセラーになったのよ」みたいなことをいわれ、「おめでとうございます」とは言ったものの、その営業マンにしてみれば「著者先生と担当編集者だけが頑張ったのかよ!じゃあ営業の努力ってなんなんだよ、存在の意味ってあるのかよ!」という感じで傷ついて、その後やる気をなくして、ドライに機械的に惰性で仕事をする営業マンになってしまうという、よく出版社である話だと思いますが、でも、その営業マンの努力を影で見ていた主人公の週刊誌の熱血編集者が、著者先生にどれだけこの営業マンが書店の現場で先生の本を売って歩いていたか、著者先生や担当編集にかわって頭を下げ続けていたのかを教えて、それを知った著者先生が出版記念パーティーの席で、その営業マンに歩み寄って、「私の本を売ってくれて、本当にありがとうございます」といわれて、「初めてそんなこと言われた」といって営業マンが号泣する場面がありました。これもなんかとても共感できてリアルでした。

本の奥付やあとがきには、担当編集者の名前や、先生から担当編集者へのお礼の言葉が名前入りで入っていたりしますが、まず営業マンの名前が載ることがないのが普通です(一部変わった版元では営業マンだけでなく宣伝部やバイトまでスタッフ全員の名前を載せている版元もありますが)。

まあ、そんなわけで、別にひがんでいるわけではないのですが、この陽の当たらない版元営業というお仕事をちょっとでも分かってもらいと思い、今後も書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【文責 春日俊一】