書店をたずねて三千里

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滋賀・京都出張『赤紙と徴兵』直納営業作戦道中記

2011年8月に小社から刊行された、滋賀県大郷村〈現・長浜市〉の兵事係・西邑さんが軍の命令に背き、命がけで残した大量の兵事書類を読み解きまとめた渾身の力作、『赤紙と徴兵』(吉田敏浩 著)を販促するため、発売日にあわせて、本の舞台の長浜市と、その周辺から京都にかけ、車に本を積んで東京から現地まで行き、営業してまわった。

今回も、直接現地の書店を、基本的に「アポ無し・飛び込み・ドブ板営業」をして、ご注文いただいた部数をその場で直接納品・陳列してくるという手段をとった。

 

【7月31日(日)・出発当日】

今回は、出発日が日曜日ということもあって、前回の京都出張時に、早朝に出発してその日のうちに営業するパターンはとらずに、午後出発し、初日は宿泊する長浜のホテルまで直行することとした。

この日は、ホテルについたらゆっくり翌日からの営業のために休むことにしよう…。

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若干雨模様のなか、いざ長浜を目指して中央道をひた走る

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諏訪湖の夜景。駐車場で休憩中

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今回の旅の友も、前回の出張の時と同じスズキ『アルト・ラパン』

長浜も想像以上に遠い…途中軽い渋滞が何度もあったせいか、到着は夜遅くになってしまった。あんまりゆっくり休めない…。

 

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22時にやっと長浜のホテルに着いた

 

 

【8月1日(月)・営業第一日目】

昨日までの暑さが嘘のように和らぎ、とても過ごしやすい暑さだ。まさに営業日和!

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でも…想像していたより田舎だ。こんなところで本が売れるのだろうか…

そんなわけで、とりあえず長浜の中心街に向う。長浜は大河ドラマ『江』の舞台。浅井長政の名城、小谷城もある。大河ドラマの影響で今年の前半は観光客が増えたらしいが、そろそろ沈静化していているらしい。歴史的な街並みがとても美しい。

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水路が美しい

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長浜大手門通り

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大河ドラマ『江』関係のイベントが多い

最初に訪問したのは「文化書店 Aアカデミー」。長浜の商店街近くにある20坪ほどの老舗書店。店長いわく、最近は外商関係も厳しいとのこと。図書館が入札制になってから値下げ合戦になり、とてもやりにくくなっているようだ。そんな状況でも東京から本を持ってきたと言うと、温情で5冊注文をくれた。さっそく直納する。清水店長は厳しい話をしながらも、とても温かく対応してくださった。深く感謝申し上げます。

のっけから厳しい現実を知った私の心の中は、徐々に「今回の営業は厳しいかも・・・」という気持ちが芽生え始めていた。そうでなくても世間も出版業界も大不況の嵐…。まあしょうがないことではあるが…。

次に、大河ドラマ『江』関係の展覧会などを開催中の博物館や、江戸時代からの古い建物や美しい水路がある「長浜大手門通り」近くにあった田中書店を訪問。雑誌と新刊がメインのようだが、なんとか3冊注文をいただく。このあたりの新聞は京都新聞よりも中日新聞が多いとのこと。広告は京都新聞に出してしまったので、ちょっと失敗したかもしれない…。東京・中日新聞にも出すようにと会社に連絡してみることにする。

他にもこの長浜大手門通りには書店がいくつかあったが、すべて店長さんが配達中などで不在だったので営業するのを諦めて、長浜の中心街から離れ、虎姫町にある「いぬい書店」に向う。虎姫駅は『赤紙と徴兵』に登場する大郷村の兵隊達が出征していった駅。いぬい書店はその近くにある書店だ。虎姫町には現在このいぬい書店が一軒あるだけとのこと。乾店長から5冊注文をいただいて即直納し、POPも付けてレジ前に陳列してもらう。滋賀県は関西弁だが、大阪みたいに畳み掛けるような感じがなくて、若干ゆっくりと余裕がある話し方をする。京都と大阪を足して二で割ったような印象を受ける。大阪の人は嫌いではないが、こっちが疲れている時などは大阪人の畳み掛ける感じはキツイので、滋賀人のゆっくりとした関西弁の方が私のような若干疲れたサラリーマンには調度いいのかもしれない。

「いぬい書店」をあとにし、さてどうしようかと少し考える。思い切って敦賀まで行ってくるか!と思いたち。高速を使って敦賀まで猛ダッシュする。

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敦賀まで高速を飛ばす

 

高速で行くと長浜から敦賀まで30分ぐらいで着いてしまった。近い。

敦賀は長浜で徴兵された兵士達が配属された敦賀連隊の本部があった場所なので、本に縁のある土地でもある。

敦賀で最初に訪問したのは、「SuperKaBos 敦賀店」。SuperKaBosは関東にも進出していて、かなり大きいチェーン店だが、それぞれの店舗も大きい。ここ敦賀店も280坪ぐらいありかなり大きい書店。つくりは蔦屋書店に近い雰囲気の郊外型書店だ。しかし、担当の方に営業するも、直納の場合はチェーン本部の了解がないと基本的にダメとのことで直納ができない。チラシを渡して、案内だけして終了。

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SuperKaBos敦賀店

 

次に訪問したのは敦賀駅前のスーパー内にある「ABCブックセンター敦賀店」。担当者が不在だったので諦める。

その次に、中心街からちょっと離れたところにある郊外型書店の「勝木書店敦賀店」を訪問。ここでも担当の店長が不在。別の担当の方にチラシを渡すのみで店をあとにする。

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勝木書店敦賀店

 

敦賀でいっこうに本を直納できない状況が続く…

 

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玉砕。うなだれる俺

どうやら敦賀にはツキが無いらしい…。
このまま敦賀を深追いして、初日から惨憺たる営業結果になるのはマズイ…。

 

敦賀はもう諦めることにして、高速を使って長浜に猛ダッシュで引き返す。

 

そして、長浜市木之本町に向う。

長浜市は、この木之本町や長浜市や虎姫町などの6市町村が合併して誕生した市で、広さは湖北一帯におよび、なんと面積は680㎡もあるらしい。私の故郷の鳩ヶ谷市(2011年10月11日に川口市に吸収合併された)の百倍ぐらいの面積がある…。ちょっと広過ぎですね(ていうか、鳩ヶ谷狭すぎ)。

木之本の商店街内にある、なんと戦前からやっているという老舗書店、「いわね書店」を訪問。応対していただいた岩根社長は、なんと80歳!! 50年以上書店をやっているとのこと。驚きです。しかも髪も黒々としていて、70歳ぐらいにみえる。そんな岩根店長から2冊注文をいただき直納する。

その次に「いわね書店」のすぐ近くにある「ますや書店」を訪問。現在は店売りにはほとんど力を入れていなくて配達が主体とのこと。小社も参加している版元ドットコムとの繋がりも深く。「本屋の村」に所属している。店長から2冊注文をいただいて、さっそく直納する。

帰ってきてツイッターで店長が呟いているのを見かけ、なんと私と東京で版元ドットコムの集会か何かで以前会っていたらしい…失礼しました。たぶん名刺交換をちょっとしたぐらいだったのでしょう。お許しください。

これで木之本町の書店は他にはないようなので、また長浜の中心街に戻ることにする。

長浜に戻り、たぶん長浜で一番大きいと思われる書店、「サンミュージック・ハイパーブックス長浜店」を訪問する。280坪ほどある。蔦屋書店によく似ている。雑貨なども多く販売していて、店内の3割ぐらいは雑貨で占められている。担当の奥村さんから5冊注文をいただき、さっそく直納。ついでにPOPも渡して付けてもらうことにする。

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サンミュージック・ハイパーブックス長浜店

 

気がつけばもう遅い時間だ。今日は長浜一帯と敦賀の書店をまわって終了。

想像以上に不況の嵐はきつく、一店あたりの注文部数が少ないので、なかなか総注文部数も伸びない。とても厳しい状況だ。

日が暮れ、せっかく近くまできのだからと、琵琶湖を見に行く。ちょうど日が沈んだ後で、青くて幻想的な琵琶湖が見れた。

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琵琶湖のすぐ近くに建つ長浜城

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青い湖。琵琶湖

 

今日は計9軒訪問。

営業第一日目の『赤紙と徴兵』の納品部数は22冊。

 

 

【8月2日(火)・営業第二日目】

長浜市は広いので、まだ訪問していない書店が何軒かあるらしい。まさにシラミ潰しに長浜の全ての書店を営業する。

まず最初にスーパーのアルプラザ内にある「いけだ書店長浜店」を訪問する。全国展開する「いけだ書店」のチェーン店。ちゃんと郷土本コーナーもあるのでいけそうだと思うも、担当の店長がお休みとのことで会えず。

次に、近くにあるはずの「竹内書店」を探す。グーグルマップにも出てくるし最新の共有書店マスターの一覧にもあった書店だったが、何度車で周辺をまわっても見つからない。よく周辺の店舗を眺めてみると、書店らしき看板を剥がした跡がある未入居の店舗が残っていた。本当につい最近廃業したらしい…残念。

次に、長浜駅前にあるスーパー内にある「ABCブックセンター長浜」を訪問。担当者不在でここも直納できずに終了。

次に、昨日行った長浜大手門通りにある創業400年の書店、「文泉堂」を訪問。店内に座敷があり奥に庭園もある江戸時代の雰囲気を漂わせた書店。座敷でイベントもやるとのこと。本はあまり多くはおいていないが民芸品も置いてあって、とても風格のある書店。店長から3冊注文をいただいて即直納する。

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創業400年の書店、文泉堂

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文泉堂の店内。奥に座敷がある

 

次に、「文泉堂」の近くにある、ここも格子戸でとても風格のある「川瀬書店」を訪問する。店長は不在だったが、携帯電話番号を奥様に伝えたところ、後で電話がかかってくる。しかし、「うちは配達専門でせっかく来ていただいたけど、厳しいので遠慮する」とのこと。残念。

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川瀬書店も建物に風情があっていい

 

これでついに、長浜市の全書店をまわり切り、地元長浜での営業は終了。
なかなか厳しい状況はまだまだ続く。

 

長浜の次に向った地は、彦根城で有名な彦根市。中心街もかなり活気があるようで大きい建物も多い、これは期待できるかも。

まず最初に訪問したのは、かなり大きい郊外型書店の「あおい書店彦根店」。310坪ぐらいあるらしい。そうとうデカイ。期待しつつ店長らしき人に勇気を出して話しかけるも、「申し訳ないが棚卸しが近々あるので今日は注文は取れない」とのこと。トホホである…。まあしょうがないか。

次にちょっと中心街近くの国道沿いにあった「宮脇書店彦根店」を訪問。店長はあまりチラシも見てくれず「とりあえずパンフ置いてってや」で終わり。またまた厳しい…。

次に向ったのは長浜にもあった、チェーン店の「サンミュージック・ハイパーブックス彦根店」を訪問。わりと新しい書店だと思われるが、そうとう大きな書店でなんと500坪ぐらいあるとのこと。鷹田店長も若くてイケ面。5冊注文をいただいて即直納! ありがとうございます!!

次によく以前から小社に注文を出してくれていた書店で、一度訪問してみたかった「天晨堂ビバシティブックセンター」を訪問。やはり小社のような零細版元の本を注文してきてくれる書店だけあって、人文書や郷土本コーナーもしっかりしている。担当の馬場さんから3冊注文をいただき即直納する。

次に彦根の商店街に向う。はやりここ彦根もドーナツ化現象がおこっていて、昔中心街だったと思われる商店街にはシャッターを閉めている店が目立つ。書店も大きい書店は郊外へ移り、駐車場があって大型化している。
しかしそんな商店街の中でも頑張っている老舗らしい書店、「太田書店」を訪問。店長は不在とのことで、レジにいらしたお婆さんにチラシを渡す。

次に「太田書店」の何軒か隣にあった「ブックプラザ」を訪問。30坪ぐらいの小さな書店だが、ここも老舗らしく郷土本もかなり置いてあって在庫も豊富。店長から3冊注文をいただいて即直納!

 

かなりヘトヘト状態…。

まだ夕方6時頃なので、まだやれそうだが彦根もほぼ営業し尽したので、今夜の宿泊先の長浜のホテルに戻る。

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ペリー?彦根の商店街にあった店

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ちょっと太り気味の彦ニャン

 

今日は計11軒訪問。

営業第二日目の『赤紙と徴兵』の納品部数は14冊。

厳しい…。

 

ついでに日が沈む前に小谷城址でも登ってみるかと思いついて、猛ダッシュで小谷城址を目指す。小谷城址は、長浜の中心街から車で20分ぐらい行った、小谷山にあるらしい。

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小谷城址がある小谷山

いままでも地方に出張した際には、昼休憩や夕方営業終了後に各地の城址を登ってきた経験がある私は、小谷城址も同じように軽い気持ちで登れると思っていて事前情報をあまり集めていなかった。
それがこのあと災いする…。

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小谷城址に登るための歩行者ルート。ここを登っていくと本丸跡まで行けるらしい

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もう18:30で日が暮れそう。
ふもとの売店や観光バスが登る登山入り口が営業終了で閉まっていたので、基本的に登る時間ではないので、当然人っ子一人山にはいない…

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どこまで続くんだ…

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20分登ったが…本丸はどこまで登れば見えてくるのか…

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やっと本丸かと思いきや…どうやら出城のようなところに出る。まだまだ先らしい…
『美人が見ている!ゴミ捨て注意!』の看板があるが、「爺さん婆さんが見ていればゴミ捨てOKなのか?」と独りつぶやく…

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小谷城址の案内版を見て呆然…まだまだずっと先、一番高い場所にある山王丸まで、ここから歩いて登ってまだ一時間はかかるかもしれない。

しかも完全に日が暮れた…
やばい、こんな山の中で、ただ独りということに今更ながらちょっと怖くなる。

このまま意地で、山王丸か、せめて長政がいた本丸を目指してみるか…いやいや、いままで来た道には街灯がひとつも無かったから、このままだと真っ暗になって帰れなくなるかも…。

そしてふと隣の看板を見ると…そこには『クマ出没注意!! 目撃情報複数あり』の看板が…。
(山を降りてネットで調べて初めて知った小谷城址のクマ出没についての誰かが書いたブログ記事→http://outdoor.geocities.jp/hijiyan_yh/Enikki-Odani.html

こんな看板、歩行者用の登山道の入り口にはなかったぞ!!(見落としていたのかもしれないが、後で知るが、バスや車で登る登山道の入り口にはこれらのクマ注意の看板がいくつもあった)

ていうかこんな時間に登るやつなんて普通いないのか…。

ヤバイ!引き返そう…と思ったが、いま登ってきた道は、非常に狭くて真っ暗な道…。クマが出てくる可能性が高い。かといって前には延々と本丸へと続く登山道…。

どうしようかと思案していたら、登ってきた登山道の方から「パチ!」と枝が折れる音がした!!

「え…まさかクマ…」

音がした30メートルぐらい先の森の中に目を凝らす…

「いる!何かいる!」

その時、

ガサガサ!!

と音がして、80センチぐらいの黒い動物が姿を現した!

「うわあ!マジかよ」

あたりはかなり真っ暗になっているし、近くによって見ることは当然できないから、間違いなくクマだったかどうかは今となってはなんともいえない。が、80センチぐらいの黒い動物なんて…クマの他に何かいるのか…(後でインターネットで小谷山について調べたら、クマの他に野生のカモシカも生息しているらしい)。

「ああ…なんてこった…山を甘く見ていた…マジでどうしたらいいんだ。30分以上は登ってしまったし、午後5時頃に登山道は閉めているはずで誰も山にはいないだろうから助けも呼べない…」

「まさにピンチだ。でもどうすれば…」

「確か死んだふりは有効ではないと、何かで読んだ気がする…」

埼玉県の、山などない県南の東京のベットタウンに生まれ育った私は、登山の趣味もなく、クマに対する知識がほぼゼロだったので、こういう時どうしたらいいのか、何も浮かんでこない。スマホで検索しようかと思ったが、電池が切れる寸前!もうダメだ…。

こんな場所で、こんなことで命を落とすには悔しい…。息子はまだ2歳だし、かみさんもこんなことで俺に死なれても困るだろうなあ…。

などと、ああだこうだ思いをめぐらしていたら、ふと横を見ると、運よく、いま来た徒歩の登山道の山の反対側に、観光バスが登ってくるための舗装された道路があった。この道路を降る方がはるかに安全かもしれん…。

ということで、私は一目散に、100m何秒ぐらいか分からないが、たぶんここ20年で最高の力を振り絞って舗装されたバス用の登山道を駆け降り始めた。

しかし…服装が問題だった、営業を終えたままの服装だったので、ワイシャツにチノパンに、そして最近買ってまだ革が硬くて足に馴染んでいない革靴という格好。アスファルトの道路をダッシュして5分ぐらいで、両足の親指と小指の爪に激痛が走る…。ヤバイ…爪割れたかも…。

これ以上爪を傷めると、もし途中でクマに遭遇した時、闘うのに不利になるかもしれないと思った私は、走るのをやめて、もうある意味観念する。「もうクマの野郎!くるならこい!」という感じで、近くにあった棒切れを掴み、ゆっくりと降りはじめた。まあボクシングとキックボクシングを計5年ぐらい習っているから、いざとなれば意外と闘えるかもな。なんて思ったりしつつ、内心はかなりビクビクしながら、早足で降っていった。

このバス用の登山道。登ってきた歩行者用の登山道とは違って、バスが登ってくるために、道が日光の「いろは坂」のように蛇行している。これは計算外だった。いくら降ってもなかなか標高が下がらない、しかも蛇行しているから、また一度クマが出たらしい場所に、もう一度近づくではないか!

でももうこの道路を降るしか他に道はないので、息を殺しつつ、降ることにした。

そして…はたして何分かかったか、30分か一時間か、やっと小谷山に近い街の灯りがチラホラと見えてきて、やっと登山口まで降りることができた。

駐車場のラパンに乗り込み。深いため息をついた。

「ああ~生きててよかった。もうこんな無茶は二度とすまい」と、心に誓った春日であった。

 

 

 

【8月3日(水)・営業第三日目】

長浜のホテルを出て、一路近江八幡に向う。

だいぶ京都に近くなり、より都会化して人口も多いようだ。昨日痛めた両足の爪に激痛が走る…。

 

最初に訪問したのが、一日目と二日目に訪問したチェーン店の「サンミュージック・ハイパーブックス近江八幡店」を訪問。430坪あるかなり大きな郊外型書店。蔦屋書店タイプの書店で店員も若い女性が多い。担当の方(すいません…名前を訊くのを忘れました)から3冊注文をもらって即直納。

次に訪問したのは、ここも滋賀のチェーン店で有名な「本のがんこ堂アクア店」。この書店が入ってるスーパーのテナントが若い女性や中高生向きのショップが多いので『赤紙と徴兵』は客層的に厳しいとのことで注文は断れるも別の店舗の「八幡駅前店」は年配客も多いから行ってみたらと店長から紹介される。

それならばということで、さっそくその紹介された「本のがんこ堂八幡駅前店」を訪問。駅前の48坪ほどの小さな書店だが、年配客が多いので『赤紙と徴兵』は売れるかもとのことで3冊注文をいただいて即直納。担当の原口店長はラテンアメリカ文学が好きということで、なんと彩流社のアルゼンチン文学の『愛と狂気と死の物語』を買っていた。他の彩流社の本も薦めたら個人的に注文をいただけた。意外な場所に彩流社のマニアックなラテンアメリカ文学を購入されている書店員がいたことに驚く。

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本のがんこ堂八幡駅前店

近江八幡をあとに、次に守山に向い、またチェーン店の「サンミュージック・ハイパーブック守山店」を見つけて訪問。かなり巨大で600坪もある大型郊外型書店だが、担当者不在で別の方にチラシを渡して終了。

次に、さきほどの「がんこ堂」チェーンの「本のがんこ堂守山店」を訪問。ここで久しぶりにビンコ! たまたま最初に声をかけた女性店員が総括部長で、私が「車で本を運んできた」と言うと、こちらの気持ちに応えてくれて、がんこ堂全店一括で30冊注文をいただく。やっと出ましたチェーン店一括! ということで、突然の訪問にも拘わらず英断していただいた大栢(オオガヤ)総括部長には本当に感謝します。

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本のがんこ堂守山店

守山は「がんこ堂」さんの一括注文により、これで終了。草津に向う。

 

草津で最初に訪問したのは、巨大なイオンショッピングセンター内にある660坪の大型書店、「喜久屋書店草津店」。棚のつくりはジュンク堂書店とほぼ同じ。『赤紙と徴兵』は入ってすぐに1冊売れたとのことで、担当の河合さんから5冊注文をいただき即直納。

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喜久屋書店草津店が入っているイオンモール。巨大です

次に南草津に向かい、南草津駅前のスーパー内にある書店、「アバンティブックセンター南草津店」を訪問。260坪ぐらいあってそこそこ大きく客入りも良いが、あまり郷土本や人文書は売れないとのことで注文は貰えず。残念。

以上で今日の営業は終了。近江八幡は、大型のショッピングセンターも多く、人口もかなりある感じだが、完全に郊外にシフトしていっている感じ。どこの書店も彩流社の本は最近ほとんど入っていない状況のようだ。

 

今日は計7軒訪問。

営業第三日目の『赤紙と徴兵』の納品部数は43冊。

「がんこ堂」の一括注文が出たお陰で復調!

 

 

【8月4日(木)・営業第四日目】

昨夜は京都駅前のホテルに宿泊したので、また草津に戻って営業を開始する。

最初に訪問したのは、またまた国道沿いで見つけたチェーン店の「サンミュージック・ハイパーブックス草津店」を訪問。客層も品揃えも雑貨が多くて女性客メインなので厳しいとのことで注文は貰えず。残念。

次に訪問したのは、また同じチェーン店の「サンミュージック・ハイパーブックかがやき通店」。周囲に特に大きな街があるというわけでもなく、住宅地に忽然と現れる、中心地から少し離れた新興住宅地内にある大型書店。634坪あるらしい。店員がちょうど少ない時間のようで営業で声をかける隙がない。しょうがなく営業を諦める。ただとても大きい書店だが、人文書となると厳しそうだ。

次に、草津駅前のスーパー内にある「ダイレクトショップABC草津店」を訪問。235坪でそこそこ大きい書店。店長は最初ぶっきらぼうな印象を受けるも、3冊注文をいただき、新刊台の一番目立つところに面陳で置いていただく。感謝です!

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店長のご好意で新刊棚の目立つところに陳列!!

昼飯を食おうかと思い、草津駅前のビルの地下街に入る。するとなにやらとてもレトロな雰囲気の地下街が出現。でもなんかそういうレトロを売りにしている地下街にしては、看板も少なく、照明も暗くて、昭和を再現した地下街なのか、本当に昭和の造りのまま現代まで続いている地下街なのか判断がつかない。お客さんもあまり歩いていないので、本当にタイムスリップしたようだ(あとでインターネットで調べたら、やはり昭和30年代を再現した地下街で「ばんから横丁」というらしい。公式HPもある→http://lty932.com/bankara/banenter.html

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レトロな映画館。やくざ映画の名作「悪名」を上映中!?

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いろは書店という謎の書店

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ウィンドウには『毛沢東偏 思想方法論』が陳列!!

 

次に、噂の超巨大書店の「大垣書店一里山店」を訪問。巨大ショッピングセンター内にあり、なんと900坪の超大型書店。客入りもかなり良く、レジにお客さんが並んでいる。担当の池田さんも午後3時時点で新刊を出せていないぐらい忙しいとのことで、手短に営業トークを済ませる。10冊注文をいただき即直納。ありがとうございます。

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大垣書店一里山店が入っているSC

次に、琵琶湖のすぐ傍で眺めのいいイオンショッピングセンター内にある「旭屋書店イオン西大津店」を訪問。130坪とそれほど大きくはないが郷土本コーナーは充実。中浜店長から5冊注文をいただき即直納。

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琵琶湖が美しい

次に、近くの大津の繁華街のパルコ内ある「紀伊國屋書店大津店」を訪問。400坪ありかなり大きい書店。品揃えも充実している。しかし担当者不在とのことで別の方にチラシを渡して終了。

そして次に本日最後の訪問書店となる、西武百貨店内にある「ふたば書房大津西武店」を訪問。103坪ほどの書店だがしっかりした品揃え。応対してくれた川崎店長は気さくで面白い人。郷土本コーナーも充実していて年配客が多いとのことだが、彩流社の本は近年ほとんど見かけないとのこと。さっそく3冊注文をいただき即直納する。

徐々に京都に近くなって、街や人の雰囲気もより京都人的になってきている。繁華街も大きくなり、大垣書店一里山店など超大型書店が多く出店している。ただ彩流社の本にはどこの書店も最近は馴染みがないというか内容が難しすぎてなかなか平積みでは置けないという声も多々聞かれるも、どこの書店でもみなさん快く対応してくださって本当に感謝です。

 

今日は計7軒訪問。

営業第四日目の『赤紙と徴兵』の納品部数は21冊。

 

【8月5日(金)・営業第五日目】

いよいよ今日で営業最終日。実は本当は昨日で最終日とする予定だったが、『赤紙と徴兵』の注文冊数の合計が100冊に達していなかったので、これでは悔しいということで、最後に京都を営業して100冊越えを目指すことにする。

最初に訪問したのは、去年の11月に京都駅前にオープンしたヨドバシカメラ内にある書店、「大垣書店京都ヨドバシ店」。担当の重田さんは人文書にとても詳しく、期待したが、なんとこの書店では人文書の動きが悪いので近々売り場を縮小する予定とのこと。なので棚差し分1冊のみ注文をいただくことになる。人文書は特に西洋史の動きが悪いとのこと、ただ彩流社の『徐福王国相模』の三回転ぐらいしたとのことで日本の古代史は人気があるみたいだ。

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大垣書店京都ヨドバシ店が入っていたヨドバシカメラのビル

次に京都駅前の有名老舗書店「アバンティブックセンター京都」を訪問、担当者が休憩で不在だったので残念だったが、この書店からはすでに『赤紙と徴兵』の注文をいただいてあって、ちゃんと良い位置に平積みされていた。リニューアルしてさらに充実した人文書コーナーになった気がする。

 

だんだん時間が無くなってくる。遅くても夕方には京都を出ないと、夜中までに東京に帰れそうにない。

最後は何処の書店にするか…。

そうだあそこしかない!ということで、前回京都出張の際にとてもよくしてくれた立命館生協存心館ブック&サービスの篠原さんを訪ねることにする。もしいないと困るので、行く前に出勤を確認してから訪問。

篠原さんは2年前に『憎悪と和解の大江山』を直納営業した時に会った書店員。今回も快く迎えてくださり、注文も5冊いただく。大学が夏休み中ではあるにも拘わらず、店内に本をみている学生やオープンキャンパスに来た一般人もみている。人文書がかなり充実している生協。

そして、篠原さんのお陰で、ついに『赤紙と徴兵』の注文総冊数が100冊を超える!!

最後に訪問した書店で、やっと最低目標をクリアできてホッとする。

篠原さん、本当にありがとうございました!!

 

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やっと最低目標に達し、本や伝票、営業資料を詰め込んだ旅行カバンを閉め、ホッと一息をつく。

 

というわけで、今日は計3軒訪問。

営業第五日目の『赤紙と徴兵』の納品部数は6冊。

 

もう夕方4時頃になってしまったが、できれば今夜中に会社に戻りたい。明日はジュンク堂書店池袋店でトークセッションがあるし。今夜中に帰らないと風呂に入る暇もなくなるかも…。

ということで、一路東京を目指して高速にのる。

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高速のインターから夕暮れを眺める。まだまだ東京は遥か彼方だ

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かなり疲れが溜まって眠くなってきた。これ以上は危険かも

 

途中浜名湖あたりで、疲れがピークに達し、車で寝ることにする。
午前5時頃目覚めて。また一路東京へ出発。

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夜明けや…

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やっと東京ついたで~

とにかく早く会社に寄って、仕事関係の荷物降ろして、その後自宅に帰って風呂入って、今度は池袋行ってトークセッションや~

お疲れさん~

一週間関西にいたら関西弁が中途半端にうつって、インチキ関西人になった春日であった。

 

 

今回の「滋賀・京都出張『赤紙と徴兵』直納営業作戦」の総注文冊数は、

『赤紙と徴兵』104冊

がんこ堂のラテン文学好きの店長からいただいた、

『あらゆる名前』、『リカルド・レイスの死の年』各1冊、

合計106冊の注文をいただきました。

 

突然の私の飛び込み営業にもかかわらず、快く対応してくださった滋賀と京都の書店員さん達に深く感謝申し上げます。

今後とも彩流社をよろしくお願いいたします。

 

【文責:春日俊一】

立命館生協存心館ブック&サービス