書店をたずねて三千里

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書店の現場で思うこと

最近は、書店に営業に出たくても、年々社内業務が増えつつあるのと、新しく入ってきた営業部の人間達に重要な書店の担当はどんどん譲ってきたこともあって、正直言いますと、それほど書店営業に行けていないのが実情です。

ただ、それを声高に言い続けると、どんどん言い訳に近づいていくという危惧もあったので、今月は時間を作って久しぶりに普段行っていない書店にも営業に出かけました。

で、これもずっと前から思っていたことなんですが、特に小社のようなニッチな内容の本が多いと、大型書店でワゴン販売というようなこともあまりできないので、単純に坪数が大きい有名大型書店だったら売れるとかいうことも絶対的になく(ただジュンク堂書店さんのように坪数が大きくて、人文書とかも長く返品せずに陳列していただけると当然長いスパンでみると小さい書店より総売行き冊数は多いですが)、新刊時に取次から自動的に日本中広く本が書店に配本されることもないので、あまり書店の坪数や売れ行き結果のPOPSデータだけ見ていると、その売れ方の本当の中身・内容を意外と見落としていることがあったりします。

先日、ちょっと東京から離れた地域を営業してきたら、やはりそう思うことがありました。
その地域では一番坪数が大きい有名書店が、一番小社が売りたい本をあまりに多くの本があるのでしょうがないのですが、ちゃんと陳列していただいてなくて、棚に埋もれて売れていなかったり、駅前の一番粒数の小さい書店が、目立つ場所に置いてくれていて、ちゃんと売ってくれていたりしました。さらに小さい書店なので売る点数が少ない分、小社のその本の印象も残っていて、私が売れ行きを確認したらPOSデータを検索しなくても、即答してもらえました。

ということで…書店営業はデータ主義に陥ると危険だなと、あらためて思ったわけです。

書店の売上POSデータは、あくまで結果しか示していないので、その書店で「0冊売れ」の原因は実は様々で、「配本が無かったから」と、「配本があったけど即返品したから」と、「1冊だけ入ったけど棚ざしでずっと売れていない」というように、いくつも理由があるので、売れなかった原因は、現場の書店に確認しないと本当は分かりません。

また逆に「5冊売れ」だとしても、その理由が「5冊入って完売」と、「15冊入ったけど5冊しか売れなかったから10冊返品した」と、「1冊しか入らなかったけど、売れそうだと思って5冊追加して5冊売れて1冊残っている」のとでは、データ上は同じ「5冊売れ」なんだけど、中身の売れ方の意味はまったく違ってきます。

だから、やはり書店営業は重要なことなんですね。ただ分かってはいるんですが、問題はコストなんです。営業に一日出かけて、数冊の注文しか取れなかった場合や、訪問したけどあまり相手にしてもらえなかった場合、その人的コストはやはり問題になってしまいます。

そういう手間がかかるわりに費用対効果が目に見えては少ない書店営業は、小零細版元にとっては非常に難しい。
あと精神的にも、たとえ書店に営業のため頻繁に訪問しても、あまりヒット作がそもそも少なく実績が貧しいと、書店から常に歓迎されることも当然なく、営業マンのモチベーションを保ちにくいという根本的な問題もあります。
「それでも根性で訪問しろ!!」などと言ったところで、経営・ビジネスとしては…根本的な解決にはなりません。

でも、それでも、やはり地道に営業して、少しでも書店に小社の本を覚えてもらうことは、これからも続けたいと思うことは変わらないし、続けなくてはなりません。

加えて、やはり版元営業にとって一番嬉しいのは、顔の見える書店員から「あの本売れましたよ!」と言ってもらえた時です。
それは圧倒的にそうなんです。アマゾンで売れても担当者の顔はまったく見えないので…。

書店のみなさま、もし彩流社の営業マン&ガールが来たら、3分でも良いので話を聞いていただけたら幸いです。

そうでないと、ますます小零細営業は、書店に訪問しにくくなりますし、配本も少なくなりますので…切にお願いしたいです。

文責:春日俊一