書店をたずねて三千里

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出版は文化事業か?

古い話になる。

まだ信濃路の高速道路も無い時だった。甲州街道をひた走り、甲斐の国から八ヶ岳を右手に認める辺りから中信に入る。
その書店は、諏訪湖に近い国道より一本裏手の街道に古書店と見間違うほどの本屋さん、だったと思う。いささか記憶に揺らぎがあるが、なぜそんな古ぼけた書店を訪ねたのか。店主は、東京の出版社で本造りをしていたが、親元の事情で帰郷して本屋をやっている。チョッと癖のある親父だが、との話を小耳に挟み、顔を出してみたいと思ったのだろう。
「出版は文化事業と思って、図に乗っていたら大間違」「そんな、大したもんじゃないよ」、キツイことばで立て続けにいわれたことが、記憶の闇から聞こえてくる。

いま、「いい本、本当に読みたい、読んでもらい本」を、この手で、この小さな出版社で1冊でも、造り続けていくことが、これに応えることなのだと、思う。

こちらも、気づけば、あの親父さんと同じ年ごろに、なっていた。

(力丸@)