書店をたずねて三千里

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ロマニ語は聞けなかったが

先週末、下北沢の「音倉」で「ロマ 生きている炎」の訳者・金子マーティンとロマ研究者・関口義人のトークショウでロマの話と音楽を聴くことができた。国を持たず、家族と特殊なコミューンで移動をしている、ロマたち。その歴史は15世紀に遡る、インド、あのカースト制の国から、バルカン、東欧、新大陸・北米へ。同族に共有する心に流れるリズムとコトバ(歌詞)。それに近いものをマーティンの話と短い映像から聞くことができた。永い「差別」のなかで、世代間の生活観も異なり、表の生き方と真の「ジプシー魂」の乖離があるようだ。国旗ではなくロマの旗を見て、円形の芯を囲む多くの房が何を意味するのか。マーティンさんに、ロマニ語で話してもらう、機会があれば、と思う。なぜか、国に入ることを拒む生き方を、明治初期の漂泊の俳人・井上井月に投影してみた。彼は、明治の国の枠組みに入ることを拒み、守るべき家族も持たず、時代から疎外されるようにして野垂れ死にしていった。遺された書と俳句から「井月」を思い描くしかない。「国」を持つこと、「国」の人として生きること、をあらためて考えさせられた。(力丸@)