書店をたずねて三千里

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ブックス高田馬場

高田馬場の街の本屋さん、ブックス高田馬場が閉店した。また個性的な街の本屋さんがひとつ消えた……寂しい……。

店長さんとは、10年ぐらい前に、初めてこの書店を訪問営業した時に会ったのが最初で、その後は、滅多に昼は店にいなかったので、確かトータルでも二、三度ぐらいしか直接会ったことがないとは思うが、毎年彩流社の常備を更新してくれて、その更新の時だけ、年1回電話でやりとりをしていた。

そんなことで、たったの二、三度しか直接お会いしていないが、店長さんのことはとてもよく印象に残っている。初めてお会いした日はいろいろと長く話した記憶がある。決して大きくはない店内に、彩流社の連合赤軍関連や紀行エッセイの本を毎年20冊近くは常備していただいていたので、なぜ正直こんな裏通りの小さな街の本屋さんに彩流社の渋くてニッチな本が並んでいるのか不思議だったから、いろいろ質問したような気がする。その常備が、5年ぐらい前までは、結構な点数が1〜2回転はしていて、昨今業界全体で常備の回転率が平均1回を切ったといわれていますが、ブックス高田馬場の常備はちゃんと機能していたから驚きだった。立地が良くない小さな街の書店でも、ちゃんと粘り強く売ってくれれば、(当時渋い本ばかり出していた彩流社の本も)着実に売れる、ということを教えてくれた書店であり店長さんだった。

店長さんとは、初めて訪問した日に、初対面にも関わらず、店内だけでは話が尽きず、店の外へ出て近くにある喫茶店ルノアールに場所を移して計3時間近く、いろんなことを話した。確か元は書店員ではなく、図書館だったか取次だったかで、何十年の業界の大ベテランで大先輩だった店長さんから、当時まだまだ若輩者だった私はいろいろと教えてもらった。

効率化が進み、街の書店は次々と消え(高田馬場は、ついに東口は芳林堂書店を残すのみとなった)、書店が電話で版元に注文することも激減し、ネットを駆使して直接言葉を交わさず奇麗にスムーズに注文される時代になった。読者も誰にも会わず、効率的に欲しい本がすぐに見つかって、買ったらすぐに届く、Amazonがよく利用されるようになった。常備は年々回転率が減り、常備をやめる版元や、取らない書店が増えていった。すべて効率化で様々なことが綺麗にスムーズに動くようになった。

そして……残ったものは…。

効率化で消えて行く出会い、書店員と版元営業、読者と書店員、それらすべてがネットに集約されてしまう未来が来るとしたら、そんな時代は来てほしくないと思うのは私だけだろうか……。

「人生は出会いだ」と寺山修司は言っていたけど、「仕事は出会いだ」と私は言いたい。

【文責 春日俊一】