書店をたずねて三千里

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ドブ板営業していたあの頃…

タイトルがちょっと懐古調になってしまったが…やはり歳をとったせいでしょうか…。

今日社長が「『神奈川の古墳散歩』が品切れ(正確に言うと在庫僅少で少しだけ残っていますが、あまり綺麗な本もない状態)になってるんだね」と言うのを聞いて、「ああ…あの夏は暑(熱)かったなあ…」などと、まだ20代だった、この本が刊行された2000年当時に想いを馳せている彩流社・営業マン、春日です。ご無沙汰しております。

この『神奈川の古墳散歩』が刊行された2000年に、私は彩流社に入社し、営業マンとして人生の再スタートを切った。
彩流社の前はIT企業を転々とし、その前は文教堂書店で書店員を4年ほどやっていましたが、「営業マン」という職種は初めてであり、しかも子供のころからシャイな性格の私にとって「営業マン」は、絶対になりたくない、なるはずのない職種でした。
そんな私が、気が付けば彩流社で、かれこれ13年も営業マンとして働いているのが不思議でなりません。

入社当時は、まだいまのように自分の業務も多岐にわたっていなくて、基本的に書店営業か、社内で書店からの受注データの入力ばかりやっている日々でした。
多い時は、週5日、毎日のように書店営業に出ていた時期もありましたが、この『神奈川の古墳散歩』が刊行された時は、まさに神奈川のご当地本だろうということで、とにかく「神奈川にある全ての書店をまわってやる!」という意気込みで、駅前の書店の位置が一目でわかる駅前情報の地図ガイド『全駅前便利ガイド』(昭文社)なるものを購入し、神奈川県内のかなりの数の駅を降りて、駅周辺の書店を虱潰しに営業してまわりました。
この本が刊行されたのは、8月10日頃で、まさに真夏の炎天下のなか、ひたすら『全駅前便利ガイド』を手に、書店をたずねて歩きました。今もその地図ガイドは会社に置いてあるのですが、開くと汗の臭いがします(笑)。
冗談ではなく(汗の臭いという香りではないのかもしれませんが)、とにかく開くと異様に臭いです。あんまり根性論は好きではないのですが、ついこの汗臭い地図ガイドの話をして、ついつい若かりし日の苦労自慢をしてしまう、面倒臭いオヤジになってしまいました…。

まあでもその営業努力の成果もかなりあって(あったと思う…。版元営業は、本が売れても「本の内容が面白かったから売れた」ともいえなくもないので、なかなか営業が頑張ったから売れたとははっきり言えない哀しさがある)、古代史関連書としては異例の初版3000部が、見事にほぼ売り切れた(まあ、13年かかったが…)。

40歳を過ぎ、書店営業以外の仕事が膨大に増え、なかなか毎日のように書店をまわることができなくなった今も、あの2000年の真夏に、汗をかきかき書店をたずねてまわった自分が今に繋がっている実感がある。
なにもかも半人前で、シャイな性格を打ち破って忙しそうな書店員に話しかけて営業をし続け、そうして営業した本が売れていったことは、確かな自信となっていまも自分自身の心のなかで生き続けている。

先日、もう長い付き合いの書店員に久しぶりに営業をして言われた。
「春日さん、すっかりお腹もでちゃって。もっと書店に来てくださいよ。そうしないともっとお腹でちゃいますよ(笑)」
すっかり中年オヤジになってしまった自分にあたらめて気付かされ、まだまだ41歳なんだから、サッカーのカズよりも若いんだし、お腹引っ込めるために運動でも再開すっか…
などと、思う今日この頃。

文責 春日俊一