日々是好日

最新の記事5件

彩マガの連載

このコーナー内を検索

月別一覧

日々是好日 第16回

2021 年 1 月 15 日 金曜日

山本有紀

 

◇1月○日

宝塚大劇場へ、雪組公演「fff/シルクロード」を観に行く。

2021年観劇初め。

⁂ ⁂ ⁂

大きい半紙に墨で宝塚大好きと書きたい。

「fff」よいです。望海さん(雪組男役トップスター)の声がどんどん出ます。役の人生がなかなか上手くいかないところもまたよい。

「シルクロード」は中華料理屋(?)で戦うシーンが本当にはちゃめちゃによいです。永久に見たい! 演出家さんこのモチーフ好きね! 後でパンフレットをよくよく読むと、演出家さんは意図的だったということがわかりました。ごちそうさまです……。

久々の宝塚大劇場での雪組公演に心はたぎり、つい饒舌になってしまいました。

2021年、感染拡大防止には努めつつも、外から刺激の得られる1年になればよいなと心から思います。

不安の強い時期ほど、愛と希望を忘れない宝塚に助けられたいです……。

 

◇12月△日

弁護士ドットコムと有料契約し、自分のページを作ってもらう。 (続きを読む…)

日々是好日 第15回

2020 年 12 月 15 日 火曜日

山本有紀

 

◇11月○日

「証拠開示のデジタル化を実現する会」(※1)の署名が回ってくる。

⁂ ⁂ ⁂

刑事事件で、検察によって起訴がなされると(この時、起訴された本人はその事件について「被疑者」から「被告人」という呼び名に変わります)、しばらくして弁護人をしている弁護士のところに検察から「証拠準備できました」と電話がかかってきます(証拠開示)。

証拠は、検察官が裁判で主張する事実の根拠なので、被告人の防御を行う立場の弁護人は証拠をよくよく検討しておく必要があります(例えば、犯行を目撃した人の供述調書に、矛盾した内容が書かれていないか─供述調書の証拠としての信用性は低くなります─とか、そもそも犯行を立証するための証拠が揃っているかとか)。

検察の言う、「証拠が準備されている」とは、検察庁で証拠が閲覧できるようになっているということなので、弁護人は、検察庁に足を運んで証拠を見にいかなくてはなりません(閲覧)。もっとも、枚数のある証拠を検討するには時間がかかるので、弁護人の多くは証拠をコピーして(謄写)、手元で検討できるようにしています。

証拠のコピー!

弁護人が検察庁に10円玉をたくさん持っていって一枚一枚コピー機でコピーすることもできますが、とにかく時間が膨大にかかります。なので司法協会等(コピーの業者さん。検察庁や裁判所の一角にあることが多い)に謄写をお願いし、事務所に郵送してもらうことが多いです。

しかし……まず業者さんに頼むコピーは、横浜地検内の業者さんだと白黒が1枚30円のカラーは1枚60円。横浜地裁小田原支部内の業者さんだと白黒が1枚45円のカラーは1枚80円(2020年調べ)。 (続きを読む…)

日々是好日 第14回

2020 年 11 月 15 日 日曜日

◇10月○日

建築の技術面の知識が必要な事件。

依頼者さんと打合せを重ねる。

⁂ ⁂ ⁂

生活を取り巻く物理的なあれこれが、どう作られているのかを聞けるのはとても興味深いです。いろんな専門の業者さんがいらっしゃるんだなあ……と感心します。ひっそり街にたたずむこの建物も! あの建物も! いろんな人の手と技術によって生まれたんだねえ……。

しかし感心しているだけでは当然済まず、ご依頼を受けたからには、こちらがちゃんとお話を聞き取って書面に書かなければなりません。そして聞き取ったままを書面にするだけでなく、法的な主張の形にする必要があります。

弁護士は大抵文系ですが(かなり稀ですが、時々医師や技術士の免許を持ってらっしゃる弁護士もいますね……すごい)、書面を読む側の裁判官もおよそ文系なので(別の仕事をしていたことのある裁判官、は別の仕事をしていたことのある弁護士、より少ないと思う)書面をわかりやすく書くよう心がけ、工夫をするようにしています。

また私は近頃、先輩弁護士に見習って、事件を理解するために、依頼者さんにお話を聞くのと併せて実際に現地に繰り出してみるようになりました。同じように歩き回っている弁護士は結構多いのではないかと思います。

弊所最年長弁護士の言っていた「弁護士3つのW」。WRITE(書く。書面をとにかく書く)、WAIT(待つ。相手の出方等。調停事件も待ち時間が結構あります)、WALK(歩く)は的を得ている……弁護士の友人はこの前佐渡まで行ったと申しておりました。

なお、技術的な知識が必要になる事件は、事件を見極めるべく裁判所が専門家を呼ぶこともあります(民事訴訟法92条の2以下)。 (続きを読む…)

日々是好日 第13回

2020 年 10 月 15 日 木曜日

◇9月○日

事務所の会議で、今後具体的に採用活動をするかどうか……という話が出る。

⁂ ⁂ ⁂

事務所の末っ子である。日本の弁護士全体から見ても、72期の私は末っ子で、73期はまだ司法修習中だ。

72期、73期、という呼び方は、司法修習開始時期により決まる。司法修習とは、司法試験に合格後、法曹三者(弁護士、裁判官、検察官)になるにあたって受ける必要のある(例外あり)研修をいう。弁護士界隈では、期は多くの場合、年齢以上の重みをもっている。

弊所入所時、原則#$%&の間は、国選の刑事事件を除き、仕事は先輩弁護士と共同受任とするという契約をした。弊所弁護士は皆人格者なので(恒例の自分の事務所アゲ)、私は先輩弁護士に助けてもらったり褒めてもらったりしつつ、機嫌よく仕事に邁進している。

しかし、ここにきて採用活動の話題……すなわち私の後輩を加えることも考えるということか……勿論ずっとこのままというわけにはいかないけれども、でも、この末っ子ポジションがもう少し続いてもいいんじゃないかなと思っているんです……さっき! さっき! 働き始めたところなので……。と思っていると、弁護士会から来年の訟廷日誌(弁護士御用達? の手帳。全国弁護士協同組合発行)の配布申し込みのお知らせが来て、働きはじめて1年を迎えつつあることを知る。 (続きを読む…)

日々是好日 第12回

2020 年 9 月 15 日 火曜日

◇8月○日

美容室でドラマ「SUITS 2」の話題がでる。

アメリカの話なんで、実際、日本の法律事務所とは違いますよねえと美容師さん。

 

⁂ ⁂ ⁂

 

この時、私は美容師さんに心から感謝しました。

本連載の原稿、毎回七転八倒しています。優しい担当の方の温情で、なんとか掲載を続けられておりますが、毎回六転目くらいで締切ギリギリになります。

弁護士の仕事を垣間見てもらい、この仕事に興味を持ってもらうとともに、普段はおよそ意識しなくても、法律がいかに皆さんの生活に関わっているか、その影響がどれほど大きいかが伝わればいいなと思っています。そして法律ひとつひとつを定めているのは、結局、立法府である国会のメンバーを選挙で選ぶことのできる一人一人であるということに思いを至らせる内容にしたい(目論見を書いてしまった)という気概だけは捨てていません。しかし実際には、守秘義務違反をするわけにはいかないので具体的な仕事のことを詳しく書くことはできないし(もし書けたら、弁護士ってやりがいのある仕事だなときっとわかってもらえるでしょう)、そうなると読み応えは減ってしまうし、不正確なことも書きたくないし、本業で書面を書くより難しいなといつも感じています。

そんな中、ヒントをくれた美容師さん本当にありがとう。

今回は、日本の法律事務所と弁護士について書きたいと思います。 (続きを読む…)

日々是好日 第11回

2020 年 8 月 15 日 土曜日

◇7月○日

宝塚歌劇・月組「グランドホテル」の公演映像を観る。

ホテルマンのエリックが、生まれた子どもを祝福し、この子は全てを手に入れるだろう(大意)と歌うところで私は毎回泣く。登場人物は各々の(それが叶わないことが観客にはあらかじめ分かっているものもある)希望を見つけて、グランドホテルを旅立って行く。

⁂ ⁂ ⁂

宝塚が大変なのである。

公演のお休みが続いている。

阪急は鉄道もホテルも百貨店も持っている大きい会社だから、きっと大丈夫という分厚い信頼と、そうはいっても多数の生徒・スタッフを抱えた、そして不急不要のエンタメである宝塚が、この状況にいつまで持ち堪えられるのかという不安がないまぜになる。

私にとって宝塚は、オットーにとってのフラムシェン、男爵にとってのエリザヴェッタあるいはその逆だ。小林一三先生どうか宝塚をお守りください。

 

◇7月△日

刑事事件判決。 (続きを読む…)

日々是好日 第10回

2020 年 7 月 15 日 水曜日

山本有紀

 

◇6月○日

事務所に高校生のお子さんがいる人がいる。

そのお子さんがそろそろ、文系か理系かを決める時期とのこと。

⁂ ⁂ ⁂

高校生の頃、アラビア語を勉強したいと思って大学は外国語大学を志望していた。

そのため文系か理系かで悩むことはなかったが、途中アラビア語は語学の授業で勉強しようと思い直し、結局文学部に入った。

しかしその文学部も2回生になる時に転学部してしまった。

その後もいろいろ寄り道をして、一時は病院でアルバイトをしていた。医師という仕事も面白いな……しかも開業医儲かるね……と思った。しかし血を見るのはイヤなので、自分に医師は務まらないだろうと思っていた。ところが司法修習で行政解剖(ものすごくざっくりいうと、犯罪の被害には遭っていないが死因が不明の人の解剖)に立ち会う機会があり、驚くべきことに血を見ても体の中を見てもびくともしなかった。

解剖では、ご遺体をかなり細かく分解してその各々を見ることになるが、怖さや血がイヤという気持ちはどこかに吹き飛んで、人間の体はこうなっているんだな……こんなに精緻な作りなのね……と心から興味深かった。こんなに細かいいろいろで人間の体が成り立っている(本当に凄いのです)のだから、そりゃ少しでもおかしいところがあったら全身に影響するだろうね……でも人はみんなこのいろいろがバランスをとって生きているんだねぇ……そしてそのトラブル対応ができる医師や薬を作ってる人! すごいね! と医療従事者への畏敬の念が大変に高まった。15歳で行政解剖に立ち会っていたら、理系に進んでいたかもしれない。 (続きを読む…)

日々是好日 第9回

2020 年 6 月 15 日 月曜日

山本有紀

 

◇2020年5月○日

彩流社さんに原稿を提出。ホームページの設定の関係で林タムタムのペンネームで書いていた連載に引続きという形で掲載されるとのこと。焦る。ちょっと照れる。

⁂ ⁂ ⁂

去年の今頃、「司法修習生」をしていた。

司法試験を受けて合格し(例年9月発表)、司法修習採用選考に申し込むと、最高裁判所に司法修習生として採用される(病気で修習できないなどの事情がない限り、採用されるとのこと)。12月に始まる1年間の司法修習を修め、その後考試(二回試験と呼ばれる。これを読んでいる司法修習生がもしいたら、君、とにかく集合修習で出た問題をちゃんと復習しよう、さすれば受かる)に合格すると判事補(裁判官)、検事(検察官)、弁護士となる資格を取得できる。

現実には、裁判官、検察官になる(裁判官になることを任官、検察官になることを任検と呼ぶ)ためには、司法修習が始まった早い段階で、任官あるいは任検したい旨教官である裁判官、検察官に売り込んでいったり、見初められたり(成績が優秀だとか、司法試験一発合格だとか、プラス熱意だとか)する必要がある。そして、司法修習中も優秀な成績をキープし、アンオフィシャルな内定をもらわなくてはならないとのこと(私のような平凡な修習生にはその全貌は可視化されなかった……)。 (続きを読む…)

日々是好日 第8回

2020 年 5 月 15 日 金曜日

山本有紀

 

◇2020年4月◯日

横浜地裁民事部から事務所に繰返し電話がある。緊急事態宣言発令を受けて5月6日までの期日は取消し・おって指定とのこと。各事案の依頼者さんに事情を伝える電話をする。

 

⁂ ⁂ ⁂

 

3月末に横浜の家庭裁判所に行ったとき、申立人待合室の窓とドアが全開になっていた。

風がびゅーびゅー通り抜け、裁判所もコロナ対策大変だな……と思いつつもまだこの時点の私は、期日が取消しになるとは予想していなかった。

期日というのは、裁判の日程(日程にもいろいろ種類があるがここでは割愛)のことで、一般の民事事件であれば事案にもよるが約1ヶ月おきに期日が入る。多くの場合はその日の期日の最後に、次の期日を決める。裁判官が「○月○日の午後はどうですか?」等というので、訴訟の両当事者(代理人がいればその代理人(弁護士))が「お受けできます」や「その日は差支えです……」等と答えて次の期日の日程が決まる。 (続きを読む…)

日々是好日 第7回

2019 年 12 月 15 日 日曜日

#7 歳末脚立棚卸し編

林タムタム

 

年末ですね。皆さんは2019年が始まるにあたりどのような目標を立てていたでしょうか。タムは体重5キロ減、黒字の生活を守り、読書は1ヶ月5冊、映画は1ヶ月3本、芝居も1ヶ月3本、ジム通いと料理を日課とし、英会話を習って、いつも明るく朗らかに、人のことを気遣い、社会にアンテナを張って、生きて行こうという目標がありました。順調に各目標をクリアして、い、今は完全無欠のタムです、す、す……あれ……? 視界が歪んできた……

ごめんなさい。嘘をつきました。いまだに家には炊飯器すらないです。食パンをトースターで焼くことはするよ! サトウのご飯シリーズでいうと、普通にあきたこまちがおいしいと思う! オーケーストアで銀色の袋のドリップコーヒーと一緒に買うんだよ! その日暮らしのタム。 (続きを読む…)