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第10回「ギターとビウエラの博物館」を訪ねて
──西川和子(『ビウエラ七人衆』)

 

 

この春スペインを旅したのですが、いろいろ調べていて、マドリッド近郊にシグエンサという小さな町があり、そこに「ギターとビウエラの博物館」がある、ということを知りました。昨年『ビウエラ七人衆』を刊行したのだから、今回この町に行ってみようと、拙著『ビウエラ七人衆』と、自己紹介や本の内容を簡単に書いたスペイン語の手紙を持って、私は旅立ちました。

9_1.jpg「ギターとビウエラ博物館」入り口

博物館には、ガイドブックにあるとおり著名なギター工房が再現されていて、ギターやビウエラが数多く展示されていましたが、誰もいません。写真を撮りながら1時間近くいましたが、誰も来ないし、ここの人もいないようなので、館長さん宛てに『ビウエラ七人衆』を置いて帰ろうと思って受付に戻りました。

そのとき、博物館に入ってきた年配のご夫婦とすれ違ったのですが、このご夫婦が、館長のロマニリョスさんとその奥様でした。ロマニリョスさんという方は、今や世界的なギター製作者なのですが、彼がここの館長さんだったとは、実は全く知りませんでした。

お二人のことを受付の人に教えていただき、さっそく奥様とお話し、「私は日本人で、スペインの歴史をずっと書いています。昨年、七人のビウエリスタたちのことを書きました。館長さんにお渡ししようと思い本を持ってきたのですが、受け取っていただけますか」と言うと、奥様もロマニリョスさんもとても喜んでくださり、一緒に写真も撮ることができました。

この日は、たまたまここでギター製作に関する専門家たちの集まりがあって、それで館長さんご夫妻もいらしたとのことで、ここでお会いできたのは、本当に信じられない偶然だったのです。

その後、ロマニリョスさんは、専門の人たちを相手に、ギター製作についてのお話をされ、私も聞かせていただきました。

実はスペイン旅行はひと月前に計画していたのですが、航空機のトラブルで成田に行ってからキャンセル、ということになってしまい、ひと月後に再出発をしたのです。もし、予定どおりにスペインに行っていたら、当然にロマニリョスさんご夫妻には会えなかったでしょう。何が幸いするかわからないと、今でも思い出す度驚いています。

9_2.jpg9_3.jpg

ロマニョス夫妻と筆者。本をお渡ししたときのもの。