1959 年、札幌生まれ。東京都立大学卒、
成城大学大学院博士課程中途退学。
文芸評論家、成蹊大学などでも教鞭を執る。
著書に、『ゴジラの精神史』(彩流社)、
『モスラの精神史』(講談社現代新書)や
『大魔神の精神史』(角川one テーマ21 新書)のほかに、
『〈男らしさ〉の神話』(講談社選書メチエ)、
『社会が惚れた男たち』(河出書房新社)、
『日経小説で読む戦後日本』(ちくま新書)、
『フランケンシュタイン・コンプレックス』(青草書房)、
『『ギャツビー』がグレートな理由』、
『本当はエロいシェイクスピア』、
『フランケンシュタインの精神史』(ともに彩流社)、
『『東京物語』と日本人』(松柏社)など多数。 彩流社 サイリュウシャ 第1部は、「ルーク三部作」と「アナキン三部作」それぞれの特徴と連続性について考えてみた。製作順で考えるのと、時系列で考えるのとで、ライトセーバー戦やクローンやドロイドの兵士の意味合いが変わってくる。スピンオフ作品についても、クローン戦争を扱ったアニメやイウォーク物について触れた。こうした広がりを持つのがまさにサーガの魅力だろう。
第2部は、日本人の私たちは忘れがちだが、この作品がアメリカ産でしかも七〇年代に着想されたという原点に立ち返り、四つの角度から迫ってみた。最初は「共和国」として始まったアメリカにとっての「帝国」の意味がどう投影されているのかを考えた。次に、砂漠や氷原や溶岩流といった崇高な風景が描かれるが、それと「循環する世界」やエコロジーの発想がどうつなるのかを追及した。第三に、「西部」というルーカスが育った土地が与えた世界像を探り、最後に「戦争」をし続けてきたアメリカとサーガとの関連を考えてみた。作品が時代や環境や社会と無縁に作られていないことがよくわかると思う。多様な異星人が出てくるが、それは「西部劇」以来人種や民族の「坩堝」を描いてきた伝統にのっとってもいるし、先住民への白人優位の歴史をそこに読むこともできる。そして戦争の前線に兵士を派遣する戦争国家としてのアメリカの現実を映してもいるのだ。
では、このあまりにアメリカ的な特徴を持つ映画の普遍的な魅力の秘密をひもとくことにしよう。もちろん私たちの合言葉は「フォースのともにあらんことを(メイ・ザ・フォース・ビー・ウィズ・ユー)」だ。 (社)日本図書館協会 選定図書 なぜタトゥイーンに2つの太陽が必要だったのか
アメリカ的な物語がどうして世界に広がったのか
「父と子」と「母と子」の物語が絡み合う
2つの三部作の関係を読み解く
12月18日、いよいよエピソード7「フォースの覚醒」公開!
この公開に併せて刊行する本書は、これまでのエピソードⅣ「新たなる希望」Ⅴ「帝国の逆襲」Ⅵ「ジェダイの帰還」の三部作、そしてⅠ「ファントム・メナス」Ⅱ「クローンの攻撃」Ⅲ「シスの復讐」三部作をあわせた全六作の新たな読みを提示する「スター・ウォーズ読本」です!