ユーカリ林の少年

ユーカリ林の少年 THE BOY IN THE BUSH

D.H. ロレンス 著, M.L. スキナー 著, 大平章 訳, 戸田仁 訳, 青木晴男 訳, 田部井世志子 訳
四六判 / 599ページ / 上製
定価:4,500円 + 税
ISBN978-4-7791-2125-8 C0097
奥付の初版発行年月:2015年06月 / 書店発売日:2015年06月01日
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内容紹介

オーストラリアを舞台に描かれた文明社会と野性の相剋……
ロレンス“ 最大の問題作”、ついに翻訳なる!本邦初訳!

 主人公ジャック・グラントは校則違反により本国イギリスの農業学校から
追放され、「罪人」の心境で親戚を頼ってオーストラリアの農場で働くことになる。
古い文明社会の支配から逃れたジャックは、やがて文明に汚染されていない
オーストラリアの無垢の自然に出会い、原生林での体験をとおして
自分の「内なる魂」に忠実に生きるようと決意する……。

 文明社会を拒否し、野生に戻ることに生の意義を見出す主人公ジャックの
選択にはロレンス自身の生の価値観が反映されているとも言える。
こうした観点に立つならば、この小説は、『アーロンの杖』から
『翼のある蛇』にいたるまでのロレンスの「指導性小説」を理解する上で
不可欠なものと見なされる。したがって、小説そのものは、
オーストラリアの女性作家M・L・スキナーとの共作であるとはいえ、
その底にはロレンス自身の文学的価値観が流れていると言っても過言ではない。
またこうした共作形態は、一人の作家によって構築される小説空間の
絶対性という従来の文学的固定観念を疑問視する意味でも興味深い。
複数の小説家のよって創られる作品の問題性は、
ポスト・モダンの文学に通じる部分もある。
 さらに、この小説には、オーストラリア独特の自然風景の描写のみならず、
宗主国イギリスと植民地オーストラリアとの政治的、文化的対比も
随所に見られ、また農場で白人の支配のもとで働かされている
黒人(アボリジニー)の生活にも言及されていることから、
ここにポスト・コロニアリズムの視点を導入することも可能であろう。
そうした、意味でもこの小説は興味深いと言えよう。

版元から一言

(社)日本図書館協会 選定図書

著者プロフィール

D.H. ロレンス(ロレンス,D.H.)

D.H.Lawrence.
1885 ~ 1930 年。イギリス出身の作家。
大胆な性表現や文明社会と未開社会の葛藤などを主なテーマに据えた。
イギリスからイタリア、オーストラリア、ニューメキシコ、メキシコと遍歴。
この間に、『アーロンの杖』『カンガルー』『翼ある蛇』などの問題作を
次々と執筆。ローロッパへ戻ってものした『チャタレイ夫人の恋人』が
発禁処分となるなど、文壇の無理解もあり長編の筆を折る。
その他の代表作に『息子と恋人』『虹』『アメリカ古典文学研究』
『アポカリプス論』など多数。

M.L. スキナー(スキナー,M.L.)

M.L.Skinner
1876 ~ 1955 年。オーストラリアのクエーカー教徒、看護師、作家。
オーストラリアでロレンスと出会い、彼女の書いた小説をロレンスが
改変、共著書として『ユーカリ林の少年』が完成する。

大平章(オオヒラ アキラ)

広島県生まれ。早稲田大学大学院博士課程満期退学。
早稲田大学教授。著書『ロレンス文学のポリティクス』(単著:金星堂)
『ロレンス文学鑑賞事典』(共著:彩流社)『D・H・ロレンス全詩集』
(共訳:彩流社)ほか。

戸田仁(トダ ヒトシ)

岡山県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。就実大学名誉教授。
著書『イギリス文学と神話』(単著:大阪教育出版)
『ロレンス文学鑑賞事典』(共著:彩流社)『D・H・ロレンス全詩集』(共訳:彩流社)
ほか。

青木晴男(アオキ ハルオ)

埼玉県生まれ。早稲田大学大学院博士課程退学。
元高知県立大学教授。著書『ジェンダーと歴史の境界を読む
- 「チャタレー夫人の恋人」考』(共著:国文社)
『エンプソン入門』(北星堂)『D・H・ロレンス全詩集』(共訳:彩流社)ほか。

田部井世志子(タベイ ヨシコ)

福井県生まれ。お茶の水女子大学大学院博士課程退学。
北九州市立大学教授。
著書D. H. Lawrence: Literature, History, Culture( 共著:国書刊行会)
『ロレンス研究シリーズ』(共著:朝日出版)『ロレンスと現代』
(共著:国書刊行会)『D・H・ロレンス全詩集』(共訳:彩流社)ほか。

関連書

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