著書(共著)に『英語圏文学―国家、文化、記憶をめぐるフォーラム』(人文書院、2002年)、『イン・コンテクスト』(「Epistemological Frameworkと英米文学」研究会、2003年)、『歴史の悲歌が聞こえる―〈戦前〉としての今日』(未来社、2007年)など。 彩流社 サイリュウシャ 序 章 インディアンをめぐる文学地図
1 アメリカ文学のインディアン
2 アメリカ先住民の文学
3 アメリカ文学と先住民文学の交点
4 トマス・キングの帰属と越境
第1章 新世界の磁力――ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの『アメリカ人気質』を軸に
1 ワスプの人種主義とアメリカの文化的多様性
2 ウィリアムズの不透明性
3 文化を横断する想像力
第2章 消えゆくインディアンの救済――プリミティヴィズム、アメリカニズム、モダニズム
1 インディアンへの新たな関心
2 南西部モダニズムのインディアン
3 文化人類学と文学の接点
第3章 大平原の部族民から代表的なインディアンへ――三人のスー族作家の越境
1 先住民同化政策とインディアン自伝
2 文化を架橋する意志──チャールズ・イーストマン
3 アメリカを救う先住民──ルーサー・スタンディング・ベア
4 差異を攪乱する赤い鳥──ジトカラ=シャ
第4章 変容する部族社会、抵抗する先住民作家――北西部インディアンの文化交渉
1 同化政策からニューディールへ
2 文化の差異と欲望の交錯──モーニング・ダヴ
3 文化の界面と対話の回路──ダーシー・マクニクル
第5章 文化の境界域としてのインディアン・テリトリー――オクラホマ文学小史
1 最後のフロンティア
2 チェロキー族とオーセイジ族の移住
3 テリトリーからオクラホマ州へ
4 インディアン・カントリーのアフリカン・アメリカン
第6章 アメリカとヨーロッパとアフリカの結び目――人種主義時代における境界侵犯
1 アフリカン=ネイティヴ・アメリカンの系譜
2 ある混血インディアンの肖像──ロング・ランスの自己成型
3 異種混淆の近代──ウィリアム・フォークナーのインディアン物語
第7章 ネイティヴ・アメリカン・ルネサンスの物語学――再創造される口承伝統と近代文学
1 第二次大戦後の先住民政策とインディアン運動
2 N・スコット・ママディとカイオワ文化
3 レスリー・マーモン・シルコウとラグーナ文化
4 ジェラルド・ヴィゼナーとアニシナベ文化
第8章 オルタナティヴ・アメリカの夢――1970年代インディアン・ブーム再考
1 ブームの見取図
2 環境文学のインディアン
3 インディアンの模倣、ネイティヴの不在
4 黒人文学のインディアン
5 チカーノ文学のインディアン
第9章 ポストインディアンによる世界再構築――1992年への文学的反応
1 至極の黙示録──レスリー・マーモン・シルコウの『死者の暦』
2 トリックスターの理想郷──ジェラルド・ヴィゼナーの『コロンブスの相続人』
3 創世神話の脱構築と再創造──トマス・キングの『青い草、流れる水』
第10章 文化の継承と共生の寓話――シャーマン・アレクシーの挑戦
1 九・一一以前のアレクシー
2 ネイティヴとポップの交差──『リザベーション・ブルース』論
3 ネイティヴとアカデミックの接触──「ディア・ジョン・ウェイン」考
終 章 アメリカ文学史から遠く離れて (社)日本図書館協会 選定図書 ネイティヴ・アメリカン・スタディーズの成果から知的なインディアンの姿が浮かび上がる!
「アメリカ・インディアン文学をアメリカ文学のサブジャンルとして固定化するべきではない、という姿勢に共感する。なぜなら、じつはそれは先住民、白人、黒人のさまざまなコンタクトゾーン、ボーダーゾーンで多種多様なかたちで発生し表面化する作品群の錯綜体なのだから。クレオリティのパラダイムから見られた、まったく新しいインディアン文学論。」(管 啓次郎)
タグ: アメリカ先住民, アメリカ文学(評論)