第一章 穂村弘の「私」
恐ろしいのは
既視感のもつちから―穂村弘の歌を読む
私を語る神
「実感」という迷宮
第二章 まだ自らのために―「平井弘」論
第三章 歌人論の中の「私」
写生短歌私論―佐藤佐太郎『しろたへ』を読む
『方代』の中の方代
〈岸上大作〉というドラマ
歌が文学を捨てるとき
俵万智のいる場所
第四章 嘘をつく「私」
短歌は人を騙すか
『紐育空爆之図』の挑発
「私」に関する三つの小感
事実は語る。―『靖国』と『戦争の歌』
第五章 韻律、定型、主題
レイアウト短歌論
正述心緒がもたらすもの―『昭和短歌の精神史』を再読する
雛の声、蟷螂の斧―平井弘歌集『振りまはした花のやうに』の世界 (社)日本図書館協会 選定図書 どこかで引っかかっていた、歌の解釈をめぐる疑問が氷解する。
短歌や評論の世界がぐっと面白くなる!
短歌を詠む人だけでなく、広く文学を勉強する人に最適のテキスト
本当はいなかった「兄」の死を悲しむ歌、兵役を経験していない人が作った戦争詠
見てもいない風景、体験していないことを読んだとあとで知ったとき
いくら読んでも作者像が浮かび上がってこない歌人
読み方によって正反対の解釈ができる短歌、絵のようにレイアウトした短歌
上の句と下の句のつながりがよくわからない短歌……
予備知識のない通りすがりの読者である多くの私たちは、戸惑う
どう詠み(作者)、どう読んでも(読者)、自由。読者をいかに引き寄せ、
楽しませ、あるいは動揺させ翻弄するか。
そこにこそ、短歌創作の核心はある。
できあがった歌に最後に命を吹き込むのは、作者ではなく読者だ!
タグ: 短歌・俳句