人はなぜ移動するのか移動と定住の文化誌

移動と定住の文化誌 人はなぜ移動するのか

専修大学人文科学研究所 編
A5判 / 288ページ / 上製
定価:2,800円 + 税
ISBN978-4-7791-1615-5 C0033
奥付の初版発行年月:2011年04月 / 書店発売日:2011年04月01日
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内容紹介

 古来、人間の移動が歴史を作った例は多い。「移動」ということばが、学界やジャーナリズムで広く使われ出したのは1990年代からである。それは、1980年代後半から90年代前半にかけて、人・物・金(資本)・情報が国境をも越えて移動する「グローバリゼーション」が、もてはやされたことと関連している。その後、グローバリゼーションへの疑問や不安が強まっても、その現象は容易に止めがたいものとなっている。こうした状況が人の移動と定住への広い関心を呼び起こしてきたのである。
 「移動」といっても、移動する距離が近距離であったり地球規模の移動であったり、また自らの自由な意志に基づいたもの、状況に強制された移動やそれらの中間的な動機による移動などがあり、そうした要因の相違によって「定住」の形も異なっている。
 多面的な「移動と定住」の側面を史的な視野から論じた論文集。 

著者プロフィール

専修大学人文科学研究所(センシュウダイガクジンブンカガクケンキュウジョ)

●執筆者紹介
井上幸孝(いのうえ ゆきたか) 専修大学文学部准教授
大阪府出身
専門:メキシコ史
著書・論文:「メキシコ史における先住民概念についての一考察──征服と植民地時代の事例から」(2008年)、Indios, mestizos y españoles. Interculturalidad e historiografía en la Nueva España (共著、2007年)。「ヌエバ・エスパーニャ先住民村落の創設と境界──メキシコ盆地の権原証書の分析」(2007年)、「植民地時代初期の先住民文書に見るメシーカ史 ──テペチパン、クァウティトラン、テノチティトランの歴史文書の分析」(2004年)。「アルバ・イシュトリルショチトルの記録文書に見る先スペイン期の歴史」(2001年)。

日暮美奈子(ひぐらし みなこ) 専修大学文学部准教授
千葉県出身
専門:ドイツ近現代史
論文:「大量移民現象と婦女売買──第二帝政期ドイツでの議論を中心に」(2011年)、「1890年代ドイツにおけるキリスト教福音派系社会事業と婦女売買──婦女売買撲滅ドイツ国内委員会設立前史」(2008年)、「女がシュテトルを離れるとき──ユダヤ人移民史の一側面」(2002年)、「20世紀の汚辱──ヴィルヘルム期ドイツにおける婦女売買」(1998年)、「〈女〉という名の罪? 「ボック=クーンズ論争」──ナチス第3帝国下の女性の位置と役割をめぐって」(1995年)。

田中正敬(たなか まさたか) 専修大学文学部教授
東京都出身
専門:朝鮮近代史
著書・論文:「千葉県における関東大震災と朝鮮人犠牲者追悼・調査実行委員会の活動──『いわれなく殺された人びと──関東大震災と朝鮮人』刊行まで」(2009年)、「日本における工業用塩需要の拡大と朝鮮塩業──内外地塩務主任官会議・内外地塩務関係官会議を中心に」(2006年)、「関東大震災と朝鮮人の反応──その意識を考察する手がかりとして」(2005年)、「近年の関東大震災史研究の動向と課題──現在までの10年間を対象に」(2004年)。

内藤雅雄(ないとう まさお) 専修大学文学部教授
福井県出身
専門:インド近現代史
著書・論文:「インドの民族運動とガンディーの登場」(2010年)、『南アジアの歴史』(共編著、2009年)、「近代アジアにおける宗教と政治──インドのキラーファト運動とトルコの選択」(2008年)、G.パルレーカレ著『インド先住民解放の道──ワールリーの戦いの記録』(邦訳、1997年)、『ガンディーをめぐる青年群像』(1987年)。

仲川裕里(なかがわ ゆり) 専修大学経済学部教授
東京都出身
専門:社会人類学
論文:「韓国における学校性教育の現状と課題」(2009年)、「『両班化』の諸相──イデオロギーの社会的上昇機能と限界」(2007年)、「韓国の出生動向──少子化と出生性比不均衡について」(2005年)、‘Written Genealogies: With Special Reference to the Case of Korea’(2003年)、「韓国の親族制度──日本との比較を中心に」(2000年)。

黒沢眞里子(くろさわ まりこ) 専修大学文学部准教授
群馬県出身
専門:アメリカ研究(アメリカの風景画、風景美学、墓地史、死生観)
翻訳・著書:D・G・ ファウスト著『戦死とアメリカ――南北戦争62万人の死の意味』(2010年)、D・C・ミラー著『ダーク・エデン――19世紀アメリカ文化のなかの沼地』(2009年)、『都市空間の再構成』(共著、2007年)、『アメリカ1920年代──ローリング・トウェンティーズの光と影』(共著、2004年)、『アメリカ田園墓地の研究──生と死の景観論』(2000年)。

伊吹克己(いぶき かつみ) 専修大学文学部教授
北海道出身
専門:哲学
著書・論文:『歌舞伎と存在論──折口信夫芸能論考』(2010年)、「スピヴァクとインド──脱構築、サバルタン、サティー」(2007年)、「アジアという経験──マルローの『王道』をめぐって」(2006年)、「ジャン=リュック・ナンシーの共同体論をめぐって」(2004年)、「アンガージュマンと美的なるものの行方──サルトルとアドルノ」(2000年)。

目次

まえがき……………………………………………内藤 雅雄
Ⅰ メシーカ人の旅物語…………………………井上 幸孝
  ──アステカ移住譚の形成と歴史
一 メシーカ人の旅物語の概要  二 メシーカ移住譚の形成過程
三 旅物語の変容
Ⅱ 海を渡る娘たち……………………………日暮 美奈子
  ──一九/二〇紀転換期ドイツにおける女中と婦女売買
一 事件の経緯 二 犠牲者像の構築 三 女中としての生活
おわりにかえて──移動する女性としての女中
Ⅲ 関東大震災時の朝鮮人虐殺とその犠牲者をめぐって
   ………………………………………………田中 正敬
一 関東大震災を前後する朝鮮人の日本への渡航と生活
二 関東大震災時の朝鮮人虐殺と地域的な特徴
三 朝鮮人虐殺の事後処理と朝鮮人犠牲者追悼式をめぐって
Ⅳ インド人移民と宗教…………………………内藤 雅雄
  ──グジャラーティー移民社会とスワーミーナーラーヤン教団
一 グジャラーティー移民の歴史
二 近代グジャラート社会とスワーミーナーラーヤン教団 三 イギリスにおけるグジャラーティー社会とスワーミーナーラーヤン教団
Ⅴ 「行ったり来たりする人たち」………………仲川 裕里
  ──一九九〇年代韓国農村社会における移動と定住
一 慶尚南道の山間農村の事例
二 「行ったり来たりする人たち」と「移動」の概念
Ⅵ 宇宙時代の移動と定住………………………黒沢 眞里子
  ──地球は島である
島化する世界のなかの移動と定住/島のイギリスから大陸アメリカへ/「島としてのアメリカ」演説/縮小する世界の認識/レーガン大統領──自由の島アメリカ/レーガンの発言――世界は自由を求める小さな島の集合体/レーガン──自由の島アメリカ再び/ 『デモクラシーの理想と現実――世界の島化』/サンドフォード・フレミング――標準化される地球/「大地」から「世界」そして「地球」へ/宇宙への移動と定住――地球は島である
Ⅶ グローバリゼーションと世界………………伊吹 克己
  ──J・L・ナンシーの世界化の議論について
アグロメレーションとグローバリゼーション/〈地球化=グローバリゼーション〉対〈世界化=モンディアリザシオン〉/世界の破壊/世界と無限 /享受あるいは表象できないもの/世界の創造と虚無/ハーバーマス、ポスト形而上学の思想/immondeとしてのグローバリゼーション/immondeとしての他者

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