内容紹介
歴史的に日本と関係が深い東北アジアの朝鮮族の移動とネットワークを、フィールド調査をもとに壮大なスケールで実証。そのネットワーク形成のダイナミズムから、平和構築に不可欠な要件を提示する。若手気鋭の研究者の著書
版元から一言
・・・その方は、私の祖父と同じ慶尚道なまりの朝鮮語を話していた。私は、その事実にまず驚き、朝鮮族が生まれ育った環境への学問的関心から、中国東北地域に足を運ぶようになった。
・・・そして、次第に当初の驚きは、一つの素朴な疑問へと変化していく。同じ村で暮らしていたであろう祖父母世代の村人が、一方は日本へ、もう一方は中国へとなぜ移動したのか、と。(「はじめに」より)
※朝鮮族、東北三省と日本
1949年以降、中国で少数民族政策が実施される過程において、中国東方区部に居住する朝鮮人に与えられた少数民族としての名称。総数は192万3842人で、そのうち92%が東北三省(吉林省、黒龍江省、遼寧省)に居住している。現在は、グローバル化が進み国内外への移動が著しくなっている。
東北三省は、日本の歴史とも深い関わりがある。「日本帝国」の象徴たる「満州国」の建国と崩壊の舞台となった地域である。中国の歴史で否定される「満州国」は、その歴史的評価の是非に拘わらず、当地で生活を営んだ人々の記憶のなかに深く刻まれている。
日本では「引き揚げ」や「残留孤児」の問題に繋がる開拓移民の経験として、あるいは満州での暮らしに思いを馳せる帰国者の帰国として語られることが少なくない。
(社)日本図書館協会 選定図書
著者プロフィール
- 権 香淑(クォン ヒャンスク)
権 香淑(クォン・ヒャンスク)
1969 年大阪生まれ。上智大学大学院博士課程修了。博士(国際関係論)。主な研究テーマは、人の移動を踏まえた東北アジア地域研究。上智大学アジア文化研究所共同研究員、国会図書館立法調査局非常勤調査員を経て、現在、早稲田大学アジア研究機構客員研究員、恵泉女学園大学非常勤講師。韓国・全南大学研究教授。
主著(共著)=中国朝鮮族研究叢書『朝鮮族のグローバルな移動と国際ネットワーク』(アジア経済文化研究所、2006 年)、早稲田大学アジア研究機構叢書『アジア学のすすめ( 第2 巻) アジア社会・文化論』(弘文堂、2010 年)など。
目次
まえがき―延辺、東北三省、そして東北アジアへ
序章 朝鮮族という研究対象と問題の構成
研究課題―朝鮮族の移動/先行研究と本研究の位置づけ/課題と方法
第1章 朝鮮族社会の編成―〈グローバル・アプローチ〉からの考察に向けて
ナショナルな問題領域/エスニックな問題領域/グローバルな問題領域
第2章 重層的な生活実態の一断面―定量的データから
近年における中国系・韓国系移住者の来日動向/重層的な生活実態の一断面
第3章 来日メカニズムとエスニック・ネットワーク―文化資本をめぐる二極化・階層化の諸問題
来日を可能にするメカニズム/資源としての文化資本/朝鮮族社会の二極化現象と民族内階層化の問題
第4章 移動の歴史と朝鮮族のエスニック・アイデンティティ
朝鮮族の歴史における「事実的な移動」/多重らせん構造における呼称の異相性/エスニック・マイノリティと「身体的な移動」
第5章 「在日本中国朝鮮族」――脆弱性と可能性
集合的アイデンティティの磁場を構成するもの/自集団の内と外における位置取りとの階層的な異相関係/日本の中のエスニック集団関係――ディスタンクシオンの原理から
個人レベルでの限定的な交流/見えない社会集団から見える社会集団へ
終章 跨境人としての朝鮮族――エスニック・マイノリティの自己統治
作業仮説と方法論的課題の再確認/東北アジアにおける近現代と朝鮮族――連続と断絶の中で/エスニック・マイノリティの自己統治
あとがきにかえて
参考文献/索引/(年表)朝鮮族の移動に関するおもなできごと
(地図)東北アジアにおける朝鮮族の移動/延辺朝鮮族自治州周辺の都市/東北アジアにおける日本の勢力変遷図
セジョンダイオウノコリアシ ハングルソウセイトリチョウブンカ 978-4-7791-1770-1 9784779117701 4-7791-1770-4 4779117704 0022 世宗大王のコリア史 ハングル創製と李朝文化 片野次雄 カタノツギオ 昭和10年生まれ。民族学的な見地から僻村の取材を行なうかたわら、李氏朝鮮を中心に歴史研究を続ける。著書に『李朝滅亡 新潮文庫』(新潮社、1997年)、『戦乱三国のコリア史』(彩流社、2007年)、『善隣友好のコリア史』(彩流社、2007年)、『日韓併合』(彩流社、2010年)、『李朝滅亡』(彩流社、2010年)などがある。 彩流社 サイリュウシャ 世宗大王のコリア史――ハングル創製と李朝文化 目次
はじめに
1 世宗の登極 星に祈る
2 倭寇を討つ 朝鮮王朝と室町幕府
3 銅のゆくえ 金属活字の発明
4 武から文へ 中国名著と国書の刊行
5 北辺の紛争 火薬と火砲の改良
6 気象をつかむ 天文儀器と農業政策
7 ハングルの誕生 偉大なる文字
8 うるわしき漢城 李朝文化の源流
あとがき
ドラマに見る世宗大王 網谷雅幸
李氏朝鮮王朝関連系図
参考文献
挿入地図
朝鮮王国全図
漢城の鳥瞰図
南部朝鮮と九州
北部朝鮮
挿入図
景福宮「勤政殿」
癸未字による印刷
金属活字の鋳字法
資治通鑑
朝鮮王朝時代の火砲
天体観測儀器
ハングル構造表
訓民正音図
『訓民正音』序文
現代のハングル一覧表
李氏朝鮮官制表
昌徳宮「仁政殿」
景福宮「慶会楼」
ソウル「普信閣」
南大門
英陵
絵はがきより(世宗大王紀念館蔵)
朝鮮水軍の将・李従茂
集賢殿学士たち
鋳字と文選、組版
李蕆と武臣たち
書雲観の役官たち
測雨器で雨量をはかる
『訓民正音』発布式典
音楽をきく世宗
(社)日本図書館協会 選定図書 朝鮮王朝の“名君中の名君”の全て!
肖像が韓国の一万ウォン札に使われ、全国民に愛され、尊敬されている世宗大王について、
日本語で書かれた物は極めて少ない。
国民におもいをめぐらせ、国民のために政治をおこない、国民のために言語をつくった人物。
李王朝期の文化の源流が、そこにあったにもかかわらず、あまり知られていないのが
現状である。
植民地支配という不幸な関係からも、すでに60年余。韓流歴史ドラマが展開する隣国の
歴史と文化を、より深く理解し、相互交流をさらに進めるためにも“世宗時代”の姿を
分かりやすく伝える物語。
好評を博した韓国ドラマ「大王世宗」(2008年)ほか多数ドラマ制作され、
韓国で2011年10~12月にも世宗を主人公にした新作「根深い木」が
放映された。KNTVでも2月11日~放送開始!
タグ: 韓国・朝鮮史