「下山事件」「松川事件」「島田事件」「狭山事件」に関する著作を残し、1976年、自殺説の集大成『下山事件全研究』(時事通信社、2009年8月インパクト出版より復刊)を出版。他殺の根拠とされた各種の物証に関して、地道な調査に基づいて反論を加えた。その後「下山事件」を扱った書物が出版され、諸永裕司『葬られた夏』(平成14)、森達也『下山事件』(平成16年)、柴田哲孝『下山事件 最後の証言』(平成17年)等が刊行。これら下山本平成三部作に共通するのは、殺害を行なった組織として矢板玄という人物がオルガナイザーをつとめた《矢板機関》の名を挙げている点だった。佐藤氏はこれらに自身の調査に基づいた事実から疑問を投げかけた。末尾に、「解題-本書についての若干の付記 松井隆志(戦後研究会)」を付す。2009年7月、「下山事件」は60周年を迎えた。