1952年千葉県銚子市生まれ。
筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科中退。明治大学教授。
主な著書には『アメリカの彼方へ』(自由国民社、1994年)、
『トウガラシのちいさな旅』(白水社、2006年)、
『ギターを抱いた渡り鳥』(思潮社、2007年)、
[共編]越川芳明、柴田元幸、沼野充義、野崎歓、野谷文昭
『世界×現在×文学作家ファイル』(国書刊行会、1996年)等がある。
訳書多数。 彩流社 サイリュウシャ 第一章▼経済格差の壁 現代の「南北問題」
第二章▼政治体制の壁
第三章▼ローカルな壁、グローバルな壁
第四章▼国境の壁、民族の壁
第五章▼意識の壁
男女の「壁」、年齢の「壁」、会社の上司/部下の「壁」、経済格差の「壁」、法律の「壁」、階級の「壁」がある。世界に目を転じれば、経済格差を克服しようと越境を試みる移民にとっての国境という「壁」がある。宗教対立や民族対立が激しい場所では、宗教や民族の違いが「壁」になる。それらの「壁」は、教育やメディアなどによる「刷り込み」によって人間の心に相似形のものをつくる。厄介なのはそうした無意識の「壁」だ。私たちはその「壁」の存在を自覚できない。社会的に優位にある者には、それらの「壁」が見えない。劣勢にある者だけに「壁」は見える。社会的な周縁におかれている者だけに、「壁」は目に見えるのだ。