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営業部便り・2005.8 『営業直納作戦第二弾!!【和歌山出張】』

2005 年 8 月 6 日 土曜日

8月1日に小社から発売された、短期間で新宮高校野球部(和歌山県)を全国レベルのチームに育てた監督・古角俊郎の評伝『古角イズム』を販促するため、発売日に合わせて遠く和歌県へ出張営業にいってきた。昨年同じく小社から発売された『北但馬ムラの生活誌』の時は北但馬地方(兵庫県北部)へ出張に行き、思った以上の成果を出すことができたので、今回はそんなに気張らずにわりと気軽に出発することができた。今回も北但馬出張の時と同じく、車に(ちなみに自家用車・・小社には社用車は無い)本を積んで、直接現地の書店に営業して、ご注文いただいた部数をその場で直接納品してくるという手段をとった。『古角イズム』は『北但馬ムラの生活誌』より薄くて小さい本だったので、今回は350冊も積んでいくことになった(ちなみに『北但馬ムラの生活誌』の時は140冊だった)。

<7月28日(木)・出発当日>
和歌山は遠い。もしかしたら北但馬よりも遠いかも・・・。移動は丸一日かかりそうだ。まず自宅から会社へ車で向う。すでにこの時点で運悪く渋滞にはまる。やはり夏休みだからか・・・。AM10時半頃やっと会社に到着。車に『古角イズム』350冊と他の売れ行き良好書を数十冊積みこむ。AM11時前にやっと会社を出て一路東名高速のインターへ向かう。渋谷周辺でまた渋滞にあたる。幸先が悪い・・・。やっと東名高速にのり「ぶっ飛ばすぞう!」とアクセルを踏みこもうとするも、今度は事故渋滞で、ひたすらノロノロ進む。日本坂に着いた頃にはもうすでにPM4:00を回っていた。「まずいなあ・・今夜中に和歌山に着けるのか・・」焦り始める。日本坂を過ぎたあたりから、やっとスイスイ流れ始めたので、思いっきりぶっ飛ばす。遅れを取り戻さなければならない。
名古屋を過ぎ、名神高速に入る。もうすっかり夜になっている。京都を過ぎ、大阪に入る。そしてまた事故渋滞・・・。もうPM8:00を回っている。
事故渋滞は思ったより長くかからなかったので、またぶっ飛ばす。名神から近畿自動車道に入る。東大阪市を通り過ぎ、堺ジャンクションから阪和自動車道に入る。このまままっすぐ行けば和歌山だ。阪和自動車道はガラガラだったので、かなり飛ばして、いっきに遅れを取り戻す。岸和田、泉南、阪南と過ぎると、あとはずっと山、山、山。
その山を越えると眼前に和歌山市街の灯りが見えてきた。やっと着いたか・・・。もう時計はすでに9時半を回っていた。
和歌山市街に入る。夜の和歌山城はライトアップされていて、とても美しい。和歌山城の近くのホテルにチェックイン。さっさと寝ることにする。

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<7月29日(金)・営業第1日目>
普段僕は布団で寝起きしているため、昨夜は慣れないベットでよく眠れず、寝不足気味。AM9:00にホテルをチェックアウトする。まだ書店は開店していないか、開店していても雑誌を出したりで慌しい時間帯なので訪問はもう少し後にする。ひとまず和歌山城でも見学しつつ、いろいろと作戦を練る。

第1日目の最大の目標は、和歌山市で一番店の宮井平安堂本店に営業をすることである。今回は小社の『古角イズム』の編集担当の河野が事前に三木店長様に会って、きっちりと営業していて、確実に100冊直納することが決まっていたので、気持ち的にはとても楽である。
出発前に三木店長様から電話で29日は不在と聞いていたので、この日は店長様にはお会いできず。ビジネス担当のMさんに本を100冊届け直納する。てっきり本店だけの販売かと思いきや、チェーン全店で販売していただけるとのこと。ありがたい。
さすがに地域一番店。結構午前中からお客さんが入っている。各棚担当の方々に挨拶をする。芸能担当のMさんと趣味実用担当のYさんから、9月に出る予定の本の注文もいただく。みなさん丁寧に対応していただき、長旅の疲れも忘れ宮井平安堂本店を後にする。次は宮脇書店ロイネット和歌山店を訪問。趣味・実用担当のHさんにお会いする。さっそく現物の『古角イズム』を見てもらいつつ営業をする。「そうですね。とりあえず10冊ください」とのお言葉。ついでに小社から最近出た野球本の『男泣きスタジアム』も見せつつ営業。「う・・んこの本は出た頃に平積みしてたけど、2冊ぐらい売れたかな・・」とのこと。「じゃあこっちは3冊ください」とのお言葉。早速車に駆け戻り。『古角イズム』10冊と『男泣きスタジアム』3冊を持ってきてお店に直納させていただく。H店長と人文担当のMさんにもお会いでき、いろいろ和歌山の書店情報を教えてもらう。どうやら近くにもう一店、同じ宮脇書店のチェーン店があるとのこと。早速その宮脇書店和歌山店に向かう。運悪く店長様は配達中で留守。また明日にでもあらためて伺うことにする。
この後は結構きつい状況が続く。和歌山城近くにあったかなり昔からある雰囲気の書店を数軒訪問するも、何処も店長様は不在。次は商店街の中にある書店をまわる。老舗っぽいT書店に営業をかける。『古角イズム』を見せつつ営業するも、「新宮高校は同じ和歌山でもここから車で4時間以上かかる遠方やからね。なかなか売れへんと思うけど・・」とのこと。う・・ん。確かに新宮はここから遠い。「でも和歌山市の海草中学(今の向陽高校)の伝説の投手、嶋清一の話も載ってますよ。古角さんは嶋投手と同じチームで甲子園に行って優勝した人なんです」とさらに営業トークをかまし、なんとか2冊注文をもらう。
あっという間に夕方になり。そろそろ第1日目の営業を切り上げることにする。宮井平安堂チェーン全店舗の注文分100冊があったので、とりあえず今日はまずますの成果。
営業第1日目の『古角イズム』の納品部数は112冊。

<7月30日(土)・営業第2日目>
今日は土曜日。通常なら営業はしない曜日だが、今回の出張は、本が出来上がったのが木曜日だったので、一日も早く和歌山の書店へ本を届けるためには土日を挟まざるをえない。
昨日に引き続き宮井平安堂本店を訪問する。三木店長様にお会いすることができ、今回チェーン全店で『古角イズム』を販売していただくことのお礼を述べる。この日は三木店長様自らPOPを作っていただき、入り口入ってすぐの一番良い場所で多面展開してもらう。三木店長様は宮井平安堂本店の店長様でもあり、かつ全店の営業統括もしているとても偉い方なのだが、とても腰が低く丁寧に対応していただく。僕のような若輩者に・・なんて良い人なんだ。

この後資格担当のNさんから小社の「ケアシリーズ」の注文をいただき、気持ちよく店を後にする。

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次ぎに宮脇書店和歌山店を訪問する。昨日店長様にお会いできなかったので、今日こそは、と思い訪問。すぐに店長様らしき人が目に留まる。「あの・・出版社の彩流社ですが、店長様でしょうか?」「はい!そうです!店長の西田です」と元気の言い返事。「どうされたんですか?土曜日ですけど・・」。やはり土曜日に出版社の営業マンが来ることは稀みたいだ。早速『古角イズム』を見せつつ店長様に営業トーク。「う縲怩?B売れそうですね。ちょっと他の棚担当にも聞いてみます」とのこと。「これどう思う?売れそうやけど」と棚作業をしていた仕入担当の和田さんに意見を伺う西田店長。「いけると思うな。じゃあ50冊いきましょうか!」。「ええ・・いいんですか?」と逆に驚く僕。普段東京で営業していても、いきなりの飛び込み営業でそんなに大きな部数が出ることはめったにないので、なぜか反応がこうなってしまう。「じゃあこの棚に50冊並べちゃいましょう!」と案内された棚はなんと入り口を入ってすぐの特設台だった。普段は大手版元のベストセラーが置いてあるような棚であある。「ありがとうございます!!」早速車に戻り、50冊持ってきて納品する。和田さんは午前中の忙しい時間帯にもかかわらず、快く対応してくれて本を並べるのも手伝ってくれる。ずらっと並んだ『古角イズム』。「う縲怩?ヌい眺め」。
西田店長様からはいろいろと今の和歌山の書店のことや現状などを伺い、お茶までご馳走していただく。今日は幸先が良い。心の中で何度も感謝しつつ店を後にする。

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「さあ。そろそろ和歌山市から出るか」。午前中に訪問した宮脇書店和歌山店の西田店長から「え!今日の宿の予約をしていない!? それは早くしないとまずいですね。今は行楽シーズンだし、白浜あたりではまず予約はとれませんよ」と言われていたのを思い出す。北但馬出張の時もそうだったけど、初日の宿の予約だけして、和歌山に乗り込んできたので、この後の日程、ホテルは全て当日予約するつもりである。なぜかというと出張前に宿の予約などを全部決めてしまうと、もし現地で想定外のことがあった場合(例えば書店の店長に気に入られて、「俺の家に泊っていけ」と言われたり(以前九州に出張に行った時にえらく気に入られてそう言っていただいたことだある)、営業しようと思って訪れた街が予想以上に寂れていて、書店がほとんど無くなっていたりした場合)、急遽予定を変更して、別なルートを組むことがあるので、柔軟に対応するためにもホテルの予約はなるべく初日だけにしている。あと書店へのアポも取りすぎると、約束の時間に訪問しようとするあまり、偶然訪問した書店でとても厚遇してもらった時に、足早に去るわけにもいかないので困る。なのでアポもどうしても必要な書店以外は取らないようにしている。ただ・・今回の和歌山出張はいつもと事情が違っていた。そうもうすでに8月。行楽シーズンである。子供たちは夏休みだ。これから行く予定の紀伊半島の海岸沿いはまさに観光地・・・。「ホテルの予約をしとくべきだった・・」携帯電話で当日予約可のホテルや旅館を検索するも白浜あたりでは一軒も見つからず、結局やっと見つかったのは、和歌山市からかなり遠い那智勝浦町のホテルだった。「那智勝浦まではかなり距離がある。今日行く予定だった海南市や有田市はパスするしかないな・・・」、急遽予定を変更。御坊市と田辺市に攻略目標を絞ることにする。
和歌山市から阪和自動車道に入り一路御坊市へ。道は空いていたので、思ったより早く御坊市に到着。老舗らしきS書店を訪問。S店長と書籍仕入担当のHさんにお会いする。御坊市の書店はCDやDVDとの複合書店が多く、あまり地元本は売れないとのこと。それでもなんとか『古角イズム』を5冊置いてもらうことになる。次に和歌山では一番店を持っていると思われるチェーン店のW書店を訪問。ストアマネージャーのFさんにお会いする。「僕は新宮出身ですけど、たまたま転勤でここに来ただけです。御坊市にはあんまり新宮の人は居ないと思いますね」とのこと。う・・ん御坊市はキツイか。嶋清一のこともみんな知らなかったし・・。早々に御坊市は切上げ次の目的地、田辺市に向かう。
宮脇書店和歌山店の西田店長から「田辺には地元本をよく売るT書店があるらしい」との情報をいただいていたので、早速そのT書店を訪問。T社長様にお会いする。明日棚卸しとのことで、ちょっとタイミングが悪かった。「新宮はちょっと遠いですね」とのこと。それでもなんとか『古角イズム』を3冊地元本コーナーに置いていただけることになる。次に海のすぐ近くにあるY書店を訪問。一軒CDとの複合書店で地元本はあまり置いてなさそうであったが、よく見るとちゃんとした地元本コーナーがある。これはいけるかも、と思い営業をかける。書籍仕入担当の女性の方に5冊置いていただくことになる。

この時点でもう夕方。夜の9時ぐらいまでには今日予約した那智勝浦のホテルに着きたい。のんびりしている暇もないので、田辺市を後に一路那智勝浦に向かうことにする。
途中山間を抜ける時は本当に真っ暗で、国道なのに携帯電話が圏外で繋がらなかったりする。「う・・ん那智勝浦までどれぐらいかかるのか・・」。なんとか夜9時過ぎに那智勝浦に到着。ホテルにチェックインする。
営業第2日目の『古角イズム』の納品部数は63冊。あと車に175冊の『古角イズム』がある。

<7月31日(日)・営業第3日目>
今日は日曜日である。そう日曜日になんて普通は営業するものではない(笑)
ホテルのフロントの方としばし歓談。僕が「出版社の者で新宮高校の監督だった人の評伝を営業に来てます」と言うと。「そうですか。私は新宮出身ですから、新宮高校野球部が強かった頃のことは覚えていますよ」とのこと。話が弾みいろいろと話しているとその人の旦那さんは写真家で本も数冊だしている人とのこと。とりあえずその旦那さんの写真家の名前を聞いてホテルを後にする。後で家の妻に電話してインターネットでその写真家を調べてもらったら、熊野地方をずっと撮り続けている写真家で、講談社とか大手版元からも写真集を出している有名な写真家だった。偶然すごい人の奥様と知り合った。これだから出張は何が起こるかわからない。こういう出会いがまた出張の面白さでもあるわけだが。
那智勝浦は大きな港のある町で、鯨や海豚が捕れ、とても美味しいらしい。僕は昔子どもの頃給食で出る鯨の肉が大好きだったのを思い出した。ただ日曜日であんまり店も開いてなくて、あいにく鯨の肉は食えなかったが・・・。
さすがに日曜日は書店も休みが多く、今日はあまり無理をせずに那智勝浦周辺を営業をすることにする。まず昨日来た道を和歌山に戻る形になるが、『古角イズム』の編集担当の河野の故郷でもある串本町に向かう。ここにも和歌山に多くチェーン店を展開するW書店があったが、地元本のコーナーも無く社員もあまり居なくて、ちょっと厳しい。とりあえず訪問するだけに終わる。
次に串本の商店街にあるK書店を訪問。「もう串本の個人経営の書店はうちだけになりました」とのこと。確かに書店総目録には串本にあと数軒書店があるはずだったが、ここ2年の間に全て閉めてしまったみたいだ。地方の書店の厳しい現実を垣間見る。K書店では『古角イズム』を3冊置いていただくことになる。これで串本はもう書店が無いので、とりあえずまた那智勝浦に戻ることにする。

那智勝浦へは『古角イズム』の著者の田中氏も近いのでよく書店にも来るらしい。よく田中氏を知るO店長の居るN書房を訪問。出発前に電話をいただいた時は10冊の注文だったが、訪問すると「もうすでに3冊予約注文が入っているから、あと5冊追加します」とのこと。計15冊注文をいただき早速納品させていただく。O店長からいろいろと那智勝浦や新宮の書店のことなどを教えてもらう。「ここまで来るのは大変でしょう」とのこと。「取次ぎの営業マンも年に2回ほどしか来ないからね」とのこと。
次にT書店を訪問。CDとの複合書店だが、那智勝浦では一番大きい書店のようだ。T店長と書籍仕入担当のIさんにお会いする。T店長はとても元気でな方で「こりゃ売れるでえ縲怐vと30冊の注文をいただく。Iさんも小社の他の書籍にも興味を持っていただき何点か置いていただけることになる。那智勝浦には他にも2軒ほど書店があるが、日曜日はお休みとのこと。また明日訪問することにする。
ちょっと時間が余ったので、車で15分ほどで行けるので那智の滝を見に行く。落差日本一の滝。「う・・ん確かに美しいけど、華厳の滝の方が大きいような・・」
営業第3日目の『古角イズム』の納品部数は48冊。あと車に127冊の『古角イズム』がある。

<8月1日(月)・営業第4日目>
やっと最終日。長かったような短かったような・・・。「あと残り127冊の『古角イズム』を全部納品できるだろうか・・」今回の僕が立てた目標は積んできた350冊全てを納品することである。
「絶対やる!」という信念のもと出発。
まず昨日日曜日で休みだった那智勝浦のH書店を訪問。予約注文が1冊入っているとのことで、プラス5冊注文をいただく。計6冊納品。「日曜日は兼業でやっている旅館で働いている」とA店長。やはり書店だけだと結構大変なのか・・・。次ぎに同じ那智勝浦のN書店を訪問。文具主体の書店だったが、熊野地方の郷土研究誌「熊野誌」は結構売れたとのこと。とりあえず3冊注文をもらい納品させていただく。これで那智勝浦の書店は全て訪問し、直納したので、いよいよ新宮高校のある『古角イズム』の舞台である新宮市へ向かう。
まず新宮市の老舗書店のA書店を訪問。A社長にお会いする。「今日棚卸しなんや縲怐vとのことでバタバタしている。事前では20冊の注文だったが、「近くのくまの書房さんからは50冊注文いただいてます」と僕が言うと「じゃあ50冊いこうか!」とA社長。これから配達に行くとのことで、あんまりお話できなかったが、配達する雑誌の多さには驚いた。ざっと50冊ぐらいはあるか。かなり地元に根ざしていて、馴染みの顧客も多く持っている書店であるのは間違いない。これはかなり売ってくれそうである。

次ぎにくまの書房を訪問。こちらも地元に根ざした老舗書店らしい。大江店長様はとても気さくで面白い人。新宮高校卒業で、あの偉大な小説家、中上健次と同級生だったとのこと。『古角イズム』のお店オリジナルの販促チラシや、店長様の息子さんがパソコンで作っているという店オリジナルの本の情報誌にも『古角イズム』の広告を出してくれてる。僕が訪問した時、店長様は電話中だったのだが、その相手はなんと著者の田中氏だった。「まだ彩流社の営業は着いてないんか縲怐vとのことらしかったが、電話を切ったら目の前に僕が居たとのこと。早速「50冊じゃあ足らなくなりそうやから、あともう50冊欲しい」とのこと。車を見ると後残りが68冊・・・。すぐに会社に電話して、50冊くまの書房に送ってもらうよう手配する。店頭だけでなく、国際熊野学会でも売ってくれるとのこと。これは本当にかなり売ってくれそうだ。
営業第4日目の『古角イズム』の納品部数は127冊+(追加分50冊)。というわけで、最後はあっという間に本が出て行き、積んできた『古角イズム』は全て無くなっていた。さらに追加50冊もいただけた。ちょうどきりが良いところで営業を終えられることになった。気持ちもスッキリ。ただもうヘトヘトである。
帰路につく。ここから東京まで車で何時間かかるのだろうか・・・。とりあえず名古屋に向かう。結局名古屋に着いた頃には夜中になっていたので、名古屋で一泊。8月2日の夜。やっと帰社する。ここまでは大成功。でもまだ売れたわけじゃない。今度の出張の成果は本が売れた時点で初めて叶えられる。
今回の和歌山出張の成績は思った以上だった。具体的に記すと、営業日数4日、訪問書店は延べ20軒、合計納品部数は400冊、合計納品本体価格は60万円、という感じである。

<8月中旬・出張約2週間後>
宮井平安堂本店では順調に売れているとの情報。三木店長様に電話すると「今秋の宮井平安堂の週刊ベストセラー第3位に入ってます」とのお言葉。すごい! うちの本が第3位。めったに無い(笑)。しかもその翌週は第1位になっていた。宮井平安堂様本当にありがとうございます。
那智勝浦のN書房さんからは二度目の追加注文。「23冊売れてます」とのこと。新宮のA書店は「初回の50冊は全部売り切れた」とのこと。おお!すごい。著者の田中氏が新宮や那智勝浦で宣伝活動をしているお陰でもあります。

今回は多くの方のご支援をいただき、営業結果、そして実売結果ともに予想以上の売れ行きが記録できました。和歌山で出会った多くの書店員の方々。突然の飛び込みにもかかわらず、注文を出していただき、そして急遽売場を設けていただきました。本当にありがとうございました。この場を借りて深く御礼申し上げます。(※今回この「営業部便り」には小社HPへの掲載の許諾をいただいた書店員の方のみお名前を掲載させていただきました。)

(筆・春日)

営業部便り・2004.5 『長野&山梨・御柱祭ミッション』

2004 年 5 月 1 日 土曜日

今年は長野県・諏訪大社の六年に一度の大祭、『御柱祭』が行われる。この祭りは約千二百年前の平安時代から信濃一国を挙げて行われてきたとのことで、非常に歴史的な祭事なわけであるが、この『御柱祭』に関係する本で「諏訪神社謎の古代史」という本が小社から出版されており、ちょうど品切れになりそうだったので、今年は六年に一度の『御柱祭』という絶好の機会、ぜひとも重版がしたい。この本は1995年3月に発売以来ロングセラーを続けていて、なんと今回重版すると5刷り!という快挙を成し遂げることになるのだが、昨今の出版不況、今までのようになんでもかんでも即重版というわけにはいかない情勢が続いていて、最低でも重版前に200冊ぐらいの事前注文が欲しいということになった。『御柱祭』は4月上旬から始まる。2月時点での溜まった注文分が約100冊。あと100冊以上の注文を取ってこないと理想的な重版をすることはできない。私は入社以来まだ一度も長野県の書店に出張営業したことがなかったが、「今行かねば何時行く!」ということで、あまり準備も出来ていなかったが、ちょうどスケジュールに空きができたので思い切って行って見る事にした。
長野の書店は郊外店が多く、駅から離れているので徒歩やタクシーを使うと非常に効率が悪い。なので今回は車で高速道路を使って行くことにして、途中山梨県も営業することにした。3月9日縲怩R月12日まで、4日間で「諏訪神社謎の古代史」の注文を最低100冊以上取ってくるのが第一の目標である。
3月9日、今回は自家用車を使うので練馬の自宅から朝出発、中央道を使って一路甲府まで。PM1:00に甲府に到着。意外と近い。まず甲府駅周辺の書店を周る。やはり地方都市の情況は何処に行っても同じで、駅前なのに通りを歩く人は少なく商店街も8割がたシャッターが閉まっている。「うーん・・・早速厳しい雰囲気・・」萎えそうな気分をなんとか奮い立たせ、駅前の百貨店内にあるS書店を訪問する。人文担当のSさんはとても礼儀正しく丁寧な対応をしてくれ、平積みを3点もしてくれることになった。Sさんは高校生の頃から小社の「連合赤軍関連本」などを図書館で読んだことがあり、どんな出版社なのか気になっていたとのこと。私よりずっと若そうだが、最近の若い書店員からはあまり聞かれない言葉に驚き、また感心する。幸先が良い。
その後は甲府駅周辺の老舗書店などを歩いて周る、なかなか注文を出してもらえない。R書店本店では、ちょっと無理を言って注文をもらったりする。とりあえず甲府駅周辺はこれ以上難しそうなので郊外に営業目標を拡げることにする。駅から車で10分足らずの所にあるR書店本店を訪問。ここも山梨の老舗書店だが、郊外型書店にしては珍しく、人文関係の本の品揃えが非常に充実していた。小社の本も比較的売れており人文担当Kさんから何点か注文をいただく。「まだまだ老舗書店も頑張っているなあ」と思い直された。この後周った郊外店は首都圏と同じような新刊書と雑誌中心の品揃えをしている書店が多くなかなか注文には至らなかった。この日の最後に訪問した書店、敷島にあるY書店は以前から小社のDMやFAXに反応してくれていて、よく注文が来ていたので気になる書店だった。市街からだいぶ離れていてとても小社から出ているような小部数の本は置いてなさそうな場所にあったが、S店長、仕入れ担当とKさんはとても快く対応してくれ、何点か注文もいただいた。9日は韮崎まで行った時点で夜遅くなったのでここで切り上げることにする。山梨県は初の訪問だったが、何軒か頑張っている書店、書店員の方々との出会いがあり、それなりに満足できる内容だったと思う。
3月10日、いよいよ今回の出張の最大の目標である御柱祭が行われる中心地、諏訪、茅野、岡谷周辺の書店へ営業攻勢をかける。このあたりにある有力書店はほとんど郊外店のため、車でないととても周れない。まず諏訪湖近くでたまたま通りかかって見つけたS堂書店を訪問。T店長に『御柱祭』のことをいろいろと教えてもらい、今後の営業に役立つ情報になる。小さい書店だったが、ちゃんと御当地本の充実した棚があったので「諏訪神社謎の古代史」も置いてくれることになる。次に訪れた書店は長野の最大手のチェーン店、H書店の諏訪店。この店は『御柱祭』に向けて大きなフェア台を設けており、神社の模型まで飾ってあって面白い棚ができていた。ここで担当Mさんから20冊の注文をもらい、一気に勢いづいて茅野周辺の書店に向かう。今度は同じチェーン店、H書店の茅野店を訪問。この店も『御柱祭』のフェア台があり、担当のGさんから30冊の注文をもらう。まだ午後1時前だが、かなり調子が良い。「これは行けるぞ!」と喜び勇んで次の書店へ。以前からよく小社のDMやFAXに反応してくれていて注文もよく来ていたB書店へ。ホームセンター内にあるはずだが・・・。フロアの何処を見渡しても書店らしきものがない。フロアの案内図にはちゃんと書店名が載っているが・・・。フロア内の電気屋の店員に聞いて見ると。「最近撤退したみたいです」とのこと・・・。残念・・。気を取り直して、岡谷方面へ向かう。老舗のK書店本店を訪問。意外に首都圏の郊外型書店のような品揃えをしていた。店長は外出中で会うことができず、別の担当者にチラシを渡してもらうように頼む。この後の行程はずっと厳しい情況が続き、何処も不作に終わる。場所を変えようと思い、いったん茅野に戻りそこから杖突峠を越え伊那方面に向かう。途中、私の先祖にあたる武田信玄の家臣「春日河内守昌吉」が織田信忠、滝川一益の大軍と戦って壮絶な戦士をしたと言われている高遠城を訪れ、先祖の霊に今度の旅の無事を祈り。いざ伊那市へ。数店訪問するも思ったような結果が出ず今度は飯田方面に向かうも夜になってしまい、途中の駒ヶ根近辺で通りかかったH書店駒ヶ根店を訪問。担当Iさんは夜遅い訪問ながらも快く対応してくれ、注文もいただける。ここで体力、精神力ともに限界に達したので10日の営業は切り上げることにする。Uターンして松本で一泊するために高速に乗り、一路松本へ・・・。
11日、さすがに松本駅周辺は都会といった感じで少しは活気があるが、やはり地元の老舗書店などは経営が厳しいらしく何処も慎重な数の注文をくれるか、全く注文は出せないといった感じであった。R書店は2週間前に廃業したらしい。結局一度も訪問できなかった。残念・・・。ただ何処の書店も御当地本や長野県の版元の本を置いているコーナーが充実していて面白そうな本が結構あり、思わず買いたくなる。唯一外国文学の棚が充実していたR書店で文芸担当のNさんから小社の外国文学の既刊本の注文をいただき、その後昼休みに松本城を見学する。小学生の頃訪れたことがあり、すごく大きな城だった印象があるが、20年ぶりに訪れてみると、「え・・こんなに小さかったっけ・・」と思ったが、やなり美しい城であることは変わらず、「日本の城は美しい」と改めて感じさせられる。午後は周辺の老舗書店のT書店、K書店などを訪問。その後松本駅ビル内にあるK書店へ、この書店から、かなり以前になるが小社の鉄道本の注文がよく来ていたらしく気になっていたので訪問してみる。結構\\\広い店内は客入りも良く充実した品揃えの書店だった。M店長から松本の情報などをいろいろと教わり、注文も多くいただく。鉄道本の注文がよく来ていたのは、この店に鉄道マニアがよく来るとのことで鉄道本のコーナーは常に充実させているからだった。小社の鉄道本はもうなくなっていたので、もう一度置いてもらうことにする。その後はS大学生協へ、人文書がかなり充実している生協だった。ただ担当Iさん曰く「それでも人文書はだんだん売れなくなってきていて、棚も縮小しつつある」とのこと。松本周辺を周り尽したので、郊外店を営業することにする。かなり大きいという噂のM書店を訪問。確かに大きい、400坪ぐらいはありそうだ。小社の「新右翼」が平積みになっていて、ちょっとこだわりのある陳列をする書店員がいそうな気配が漂う。担当のM店長さんはM書店チェーンの中心地、四国の香川から来ている人で、関東の人間にはほとんど大阪弁と同じに聞える香川弁で弾丸トークを浴びせられる。今年に入って2日しか休んでいないそうで、かなり忙しいということだったが、いろいろと話を聞いてくれて注文も多くもらう。11日はここでとりあえず切り上げ、長野市に向けて出発、長野駅前のホテルに一泊する。
12日、いよいよ最終日である。長野駅前にあるH書店を訪問。洒落た内装、書棚で各ジャンルとも充実した品揃えの店だった。次に長野駅ビルにあるK書店を訪問。小社の販売実績はほとんどないにも拘わらず、御当地本コーナーで「諏訪神社謎の古代史」を置いてもらえることになる。その後は善光寺方面に向かう。蔵造りの書店が多く、書棚に歴史の匂いが染み込んだようでとても良い感じだった。その中のC書店のH店長は知的な雰囲気でかなりのベテランといった雰囲気を漂わせていた。小社の本は「よく図書館から注文がくる」とのことだったが、何点か試しに店売でも売ってもらえることになる。その後は善光寺の近くの書店、K書店、N書店を訪問。店長はどちらも不在だったが、K書店の新刊棚に小社の「ジョン・コットンとピューリタニズム」がひっそりと陳列してあった。都内の超大型書店ぐらいにしか置いていないその本がこんな所で売られていたのにはちょっと驚いた。長野駅と善光寺周辺の書店を周り尽くして、夕方になり、最後にどうしても行ってみたかったM書店大豆島店に向かう。長野市街からかなり離れており、道を間違えたかと思うぐらいだったが、なんとか辿り着く。一見普通の駐車場付きの郊外型書店だったが、店長のNさんはサブカル本好きで小社の本もよく売ってくれている人だった。ただ「注文しないと彩流社の本は新刊で取次ぎから入ってこないね・・」と言われる。取次ぎの配本パターンに頼るのはやはり問題で、ちゃんと売れている店でも配本が無いことはよくあるということを改めて実感させられる。この後、日が暮れるまで周辺の郊外型書店などを周るがなかなか良い書店に出会えず川中島の古戦場近くで日没を迎えたのだった・・・。
今回の「長野&山梨・御柱祭ミッション」は4日間で延べ34軒の書店を訪問し、約50人近くの書店員の方々と出会えた出張営業だった。別に狙ったわけではないのだが、終わってみて「諏訪神社謎の古代史」の合計注文冊数を数えてみると、ちょうど100冊ぴったりだった。こういうことってよくあるんですよね縲怐E・不思議なものである。
この場を借りて、山梨、長野で出会った多くの書店員の方々、初めての突然の訪問ながらとても礼儀正しい対応をしていただいたこと、生涯忘れません。本当にありがとうございました。「諏訪神社謎の古代史」を何卒よろしくお願い申し上げます。

(筆・春日)

営業部便り・2002.6 『本が輝く棚とは』

2002 年 6 月 1 日 土曜日

書店に行くと実に多種多様な本があります。特に大型書店などの巨大な棚は、単にベストセラー本や新刊本だけを並べただけではスカスカになるので、かなり以前に出版された本や規模が小さい出版社の本も置いて、様々なお客さんのニーズに答える商品構成をしなくてはなりません。当然この作業をするのは現場の書店員であり、それぞれのジャンルの棚の仕入れ担当者であるわけです。“棚に本を並べる”実はこれが簡単ようでいてかなり奥が深く難しい作業なのです。今現在私は出版社に在籍していますが、以前割と長い期間書店で働き書籍仕入れと棚担当をしていたことがある経験上、身に染みてそのことはよく分かります。最近巷(特に出版業界内)では、「金太郎飴書店が増えた」とか「ついつい衝動買いしてしまうような棚のある書店がなくなった」などとよく耳にします。私も一時期そう思っていました。しかし私は営業で全国の様々な書店を周る間に、その考えが誤りであることに気付かされました。ちゃんと頑張って、本を仕入れて魅力ある棚を作れる、または作ろうと努力している若い書店員達と数多く出会ったからです。
今回紹介させていただく三省堂書店神田本店で文芸書棚を担当する奥澤さんもその中の一人です。本が輝く棚、つい買う目的の本だけでなく、その隣りに並ぶ本や、その書店でしか見られない個性的なフェア台の本も衝動買ってしまうような棚。それを作れる書店員です。ただ、奥澤さんの作った棚に感心し、興味を持った人が私だけなら、たまたま私と奥澤さんの好きな本の趣味が一緒だっただけで、悪く言えば自己満足の棚に過ぎないと思う人もいるかもしれませんが、奥澤さんの棚に感心しているのは、私だけではないということを、最近出版社同士の会合や、三省堂神田本店を訪れたことのある友人、知人複数人から「あそこの外国文学の棚は凄いよね、ポップとかも個性的だし本好きにはたまらないよ」と言うのを聞きくにつけ、確信へと変わりました。この前なんて某出版関係の業界紙の記者の方が「あそこは凄いよね、ぜひあの棚の担当者の取材をしたいな」と言っていたぐらいです。
毎月奥澤さんが仕入れて行う外国文学のフェアは実に面白かった。今月はサッカーワールドカップに因んで「ワールドカップ文学フェア」それぞれの出場国の文学を集めたフェアで、小社からも「あらゆる名前(ポルトガル)」、「カカオ(ブラジル)」、「僕のうちは殺された(クロアチア)」などを並べていただきました。先月のフェアは「自殺の文学史フェア」で自殺に関係する作家や内容の本を並べて、自殺をイメージさせる洒落たポップ(ちょっと恐い・・)もついていました。その前の月は確か「ダメ男フェア」とかいうので、例えばニック・ホーンビィ著の「ハイ・フィデリティ(新潮文庫)」(この本は私も読んだことがあるが、本当にうだつのあがらないダメ男が主人公だった)が並んでいたのを覚えています。さらに凄いのはこれらのフェアはただ面白いというだけでなく、ちゃんと売れていてフェア全体で百冊以上売れることもあったということです。
ただここで残念なお知らせをしなくてはなりません。そんな素晴らしい書店員の奥澤さんが移動になることを本人の口から先週営業で三省堂を訪れた際に聞くことなりました。三省堂書店の別の部署(売り場ではない)に移動とのことです。

そこで私は言いたい「三省堂書店さん!!もったいないですよ。奥澤さんの作った棚を見てください!!!」と。
会社だから人事異動はしょうがありません。でもせめて後半年、一年はやっていただきたかった。奥澤さんがいつか売り場に戻ってくる日を願っています。
他にもぜひ紹介したい素晴らしい書店員の方々は日本全国にたくさん居られます。みなさんも今度書店に行った時はじっくり棚を観察してみてください。その棚の本を仕入れて並べた書店員の想いが感じられるかもしれませんよ。

奥澤さん
ワールドカップ文学フェア

(写真・三省堂書店神田本店にて、左:奥澤さん、右:「ワールドカップ文学フェア」)

(筆・春日)

営業部便り・2002.3 『本は売れているか?』

2002 年 3 月 1 日 金曜日

私は子供の頃、近所にある三軒の書店をよく梯子して暇を潰していた。特に買いたい本がない時でも書店に入り、何か新しい発見はないか、興味をそそられる物はないか探していた。好奇心を刺激してくれるものがあれば、そろそろ飽きはじめている今の遊びを止めて新しい遊びができる、そんなふうに思っていたような気もする。小学生だった私がそうであったのなら今の子供もそう思っている奴は結構いるはずじゃないかとも思う。そうだ書店は夢の宝庫だったのだ!小学生の頃私は天文学者になりたかった。読めない漢字がたくさんある天文関係の本を辞書を引きながら読んだものだ。ある程度理解できれば子供の私には満足だった。
やはり書店は雑多な世界が並び、くだらない本から小難しい本、子供が欲しい本、大人が欲しい本、男が欲しい本、女が欲しい本、なんでもあるべきだろう。前振りが長くなってしまったが、ようするに私が言いたいのは最近よく耳にする「活字離れが進んでいる」「今や世間一般の人の興味は携帯電話やTVゲームに向いている」という類の話、「あれは嘘だ!」「違うだろ!!」と言いたいのである。携帯電話で友達や恋人と楽しい話をするためには、それなりに雑誌を読んで情報を仕入れたり、小説を読んで何か違う言葉使いをしたくなったりするから、また楽しいはずで、TVゲームを作るためには相当の想像力が必要だろう。想像力を養うには本で活字を読むのが一番だ。
そして出版営業マンは売上をあげることだけに喜びを感じているわけではないのである。本と人の出会いを演出できた時にまた違う喜びを感じることがある。以前小社から1万五千円もする『鬼の大事典』という本が発売されることになり、いざ書店に営業に向かったわけであるが、大型書店でもこの不況下、高額商品は敬遠されがちで1冊縲怩Q冊しか受注できないところ、都心からすこし離れた60坪ほどのあまり大きいとは言えない書店で1冊だけ置いていただけることになった。販促用のパンフレットも店の入り口のラックに置いてもらい。内心は売れるかどうか自信はないがとりあえず試す価値はあるだろうという気持ちで、売れることを祈りつつ発売を待ったのであった。『鬼の大事典』は発売後、神保町の老舗の本店や最近増えてきた500坪クラスの大型書店などで一冊づつ売れ始めた。新宿の老舗の本店でも一冊売れた。そしてなんとあの60坪の書店からも発売後一週間で『鬼の大事典』の追加注文が入ったのである。その書店の店長に詳しい話を聞いたら「その買っていかれたお客さんは、あなたが置いていった『鬼の大事典』のパンフレットを見て、発売を心待ちにしていたそうで。買っていく時に『こういう本を探していたんだよね』と言っていたよ」とのこと。私は本当にこの書店に営業して良かったと心から思った。
本屋は大きさだけが勝負ではない、そこに出入りする本を愛する人々が何を求めているか知っているかいないのかが大事だとその書店の店長に身をもって教えてもらったような気がします。
買っていただいたお客様にも心から感謝いたします。本はまだまだ売れている。

(筆・春日)

営業部便り・2002.2 『ナイジェリアの本も出してます』

2002 年 2 月 1 日 金曜日

私は普段、書店を営業で周り、様々なジャンルの仕入れ担当の店員の方に新刊の予約や注文のお願いをしているわけですが、時々逆にその書店員の方からお願いをされることがあります。その内容は主に他店の売れ筋情報であったり、各ジャンルの、例えば「外国文学の棚でこの作家の本は何処の場所に並べるのが一番ピッタリくるか、またお客さんの目に付くのか」など、簡単なようでいて、それなりにいろんな書店の棚を見たり、その分野の本を読んでおくなりしておかないと自信を持って答えられないものが多く、時々冷や汗を掻きながら、「また今度お伺いする時までに調べておきます」と言って立ち去ることもしばしば・・・・下手に知ったか振って即答し、トンチンカンな情報を与えてしまうのは私自身の恥であるばかりか我が彩流社の恥になり、書店の方からも「出版社にいる人だからもっといろんなことを知ってると思っていたのに使えないね」と思われたあげく、ただの押し売りに成り下がる恐れもあります。
というわけなので私は出版社に入ってからまだ1年8ヶ月の新参者であっても、それなりに歳も食ってきたのと、小社はかなりマイナーというかマニアックな外国文学の作家の本を多数出版してきたので「この出版社の営業ならかなり文学には詳しいんじゃないかな?」と思われてしまうことがあり、その道のベテラン並の能力を要求されることがあります。先日もある大手チェーンの本店で外国文学のご担当の方から「サッカーのワールドカップに併せて各出場国の文学書を並べて『ワールドカップ文学フェア』をやりたいんだけど彩流社さんならいろんな国の文学書出してるから、なんかあったら教れてくれませんか?例えばセネガルの文学書なんてあったら面白いんだけど」と質問を受け、さすがの私も「セネガル文学!?<・・>@?・・」は知らなかったのでまたいつものように「また今度お伺いする時までに調べておきます」と言って立ち去ったわけです。社に戻りインターネットでアマゾンや文学愛好家のホームページを調べたりしているうちに、さすがにセネガル文学は見つけられなかったが、ナイジェリア出身でアフリカ人として初のノーベル賞を受賞した作家(ウォレ・ショインカ)の本が、なんと我が彩流社から出版されているではありませんか!!(自社の本なのに知らなかった・・)「神話・文学・アフリカ世界」と題名のついたその本はアマゾンで堂々153157位の売上を記録していたのです(順位が付いていない本もたくさんあるから付いてるだけでも良いほうなんです。)
かくして私は「ナイジェリアも今回のワールドカップ出場国なのでフェアにいれてもらえるよう提案営業しよう」と思い一人悦に入るのでした。

(筆・春日)

今月から「編集部だより」に続き「営業部だより」も設けることにしました。よろしくお願いします。

2002 年 1 月 4 日 金曜日

世間一般の人達の思い描く出版社のイメージは、やはり編集部だと思います。実際に出版業界で働いたことのない知人、友人から「出版社の営業マン・・!?、それって具体的にどんな仕事してんの?」と聞かれることもよくあり、「印象が薄い=大した仕事をしていない」などと思われてしまいかねない出版社営業部の名誉のため(ちょっと大袈裟だが)読者に最も近い存在である書店様との関係、読者に小社の本がどうやって届いているかなど、私、書店営業マンの目から見た「現場の真実」をお伝えしていきたいと思います。
全国に何万軒とある書店に本を流通させているのは主に取次ぎ会社(日販、トーハンなど)であるわけですが、大雑把にい言いますと各取次ぎ会社独自の配本パターンがあって、「この地域の何処そこの書店にはこの本は何冊配本」、というふうに決められた数が効率的に全国の書店に配本される仕組みになっています。毎日何百点と出版される書籍を時間やコストの制約の中で書店に配本するには自動化、効率化はやむを得ないのですが、やはりこのパターンに任せきりになると、実際はもっと売れそうな書店に1冊しか配本がないとか場合によっては配本なしで書店の店員はその本が発売していることすら知らない状態ということもおこりえます。そこを出版社の営業マンは調整するため、発売前に書店を訪問して今度出るこの新刊はぜひこの書店で売れそうなので、置いてみていただけますか、とお願いをする、それに答えて書店の仕入れ担当者が「じゃあこの本はうちは3冊欲しいとか、売れそうだから20冊欲しいなど、はたまた、売れそうもないから見本で1冊で良いよ」などと事前注文をいただき、その注文書を発売直前に取次ぎ会社に持っていって配本パターンに一部組み入れてもらうことによって、全体の3割から多いときには7割の配本を出版社の方で指定して書店に置いてもらうというわけです。配本が済んだ後も全体の売れ行き状況を見て予想以上に売れているから、もっと他の書店を訪問したり、DM、広告などの宣伝活動を加えて販売促進をする。この他にも物流の改善、書店からの受注データ、売上データの分析、またそのデータを営業活動に活かしたりなど、取り組んでいることはたくさんあります。
仕事の全体を簡単にまとめて言うとこんなところです。読者の皆様も書店に立ち寄った際に注意して見てみるとと売り場のあちらこちらに書店員と折衝をしている出版社営業マンの姿を見ることができると思います。今度じっくり観察してみたらいかがでしょうか。

(筆・春日)