書店をたずねて三千里

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書店員との出会いは一期一会

ここ十年、本当に数多くの書店が閉店してしまった。そして、思い出深い書店員も、一人また一人と業界を去って行った。中には亡くなられた方も何人かいる。とても世話になり、感謝の言葉も言い尽くせない書店員。そんな方々の葬式に出たこともあったし、一周忌に参列することもあった。

都内の、よく通っていて毎月会っているような書店員もいれば、首都圏でもちょっと離れたところや、地方の書店員とは、何年かに一度しか会わない場合も多い。一度会っただけで、次に訪問した時は、もうその書店員は辞められてしまって、たった一度会っただけで、もう二度と会わないかもしれない書店員もいる。

一期一会、もしかしたら、この人ともこれが最後に言葉を交わす瞬間かもしれないと思えば、やはりその貴重な時間を大切に過ごしたいと時々思うことがある。営業はそういう意味では儚くて切ない。

先日、決して遠い書店ではないが、なかなかその地域は、弊社の本の注文を多くは取ることができない書店が多く、正直足が向かなかった地域だったが、先日、本当に久しぶりにその書店を訪れた。そしたらまた楽しい出会いがあった。
人文担当の人は、十年ぐらい前に、出版人の会合で一度だけ会ったことがあるKさんだった。久しぶりに、そして二度会うことができて言葉を交わすことができた。一度で終わらなくてよかった。もう一人、文芸担当のSさんとは初めて会った。とても細部まだこだわった海外文学の棚を作っている方だった。正直いままで、この地域の書店に営業をしてきた経験では、どこの書店も海外文学の棚には力が入っていなくて、つまらない棚が多かったが、Sさんは本当に好きで頑張っているような方で、かなり気合いの入った、欲しくなる本、他の書店であまり見かけない本がたくさん並んでいる棚だった。そのSさんから今度の出版社の人が勧める本のフェアに並べる本の選書と推薦文を書いてほしいと頼まれた。嬉しいことである。この提案を快く受けて、頑張って気合いの入った推薦文を書けば、Sさんの私に対する好感度はかなりアップすること間違いなしである(笑)

私は頑張って推薦文を書いてSさんに送ったところ、とても喜んでくれたようだ。フェアが始まれば、また会うことができそうだ。

ということで、営業という仕事は、まだ会ったことのない、素敵な書店員と出会い続けられることが、何よりの喜びでもある。

営業は数字を上げることだけでは続かないと思う。良い出会いが仕事に喜びと彩りを与えてくれる。
まあ、その良い出会いが最終的には数字にもつながっていくわけですがね。

今日も、新たな出会いを求めて、知らないに街でも営業に行きたいな。

【文責 春日俊一】