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アマリア・ロドリゲス自伝

2003 年 10 月 26 日 日曜日

『アマリア・ロドリゲス自伝』表紙\
書籍名   : アマリア・ロドリゲス自伝 語る「このおかしな人生」
(アマリアロドリゲスジデン)
著者名   : ヴィートル・P・D・サントス(ヴィートル・P・D・サントス) 著
近藤紀子(コンドウユキコ) 訳
発行日   : 2003-09-18
税込価格 : ¥2940
本体価格 : ¥2800
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★「MUSIC MAGAZINE」、04/1 北中正和
「20世紀後半にポルトガルのファドを世界に広めたアマリア・ロドリゲスが86年に研究者に語り下ろした自伝が翻訳された。それ以後99年に亡くなるまでの活動については訳者による簡潔な紹介が加えられ、公演旅行、映画、ディスクなどの資料も本書の3分の1近くを占める。彼女について日本語で読める文献としては決定版といっていいだろう。「アマリアが風邪をひけば、通貨エスクードの相場が下がる」とまで言われ、名声に包まれて亡くなった彼女だが、すべての自伝は子供時代や世間に認められるまでがいちばんおもしろいという原則はこの本にもあてはまる。ただしこの本はそれ以後もおもしろい。それは滑った転んだのエピソード以上に、彼女が曇りのない心と鋭い直感で音楽について縦横無尽に語っているからだ。そこには成功によるおごりなどひとかけらも見られない。たとえばその感覚は、「アラブの歌とファドには通じるものがある」と語り、はじめてブラジルでエスコーラのサンバを聞いた思い出を「サンバとファドのメロディや歌詞には同じ悲しみがある」「(サンバは)ただアフリカの陽気な仮面をかぶっているだけ」と語り、世界的に知られるヒット曲「暗いはしけ」について「はじめ私はブラジルの曲とは知らなかった。アフリカの曲かと思っていた」と語る、そんな言葉のあちこちから伝わってくる。そんな彼女だからファドを型にはめることの愚を誰よりもよく知っていた。「イベリア半島の歌手」というのが彼女の自己規定だ。最近はマリーザなど新世代の歌手でファドに興味を持った人が多いと思うが、そんな人も機会があればこの本を読んで、彼女の初期の音楽を聞いてみてほしい。」

★「読売新聞」樺山紘一 03. 11.30
「たぶん、もっとも有名なポルトガル人だろう。「ファドの女王」とよばれ、映画「過去をもつ愛情」の主題歌「暗いはしけ」の大ヒットがある。世界中の舞台で歌った。日本では、大阪万博で。民衆歌謡として生まれたファドが、その咽(のど)によって世界の音楽になった。黒い衣装と、しぼりだすような哀調。これぞポルトガルと、だれもが認める。四年前、七十九歳の死にのぞんでは、ポルトガルは国葬をもって送った。インタビューによる自伝である。貧しい少女時代にはじまり、いろいろのことがあった。いたって率直にかたっているが、じつはサラザール独裁政治との関係をうたがわれたこともある。真相はともあれ、アマリアの告白の、あたたかい天真爛漫さを信じておきたい。いずれにしても、その全貌がようやくみえてきた。ディスコグラフィや公演記録をはじめとする、完備した巻末資料も貴重である。

★日本経済新聞 10月26日 黒田恭一
「暗いはしけ」や「ポルトガルの四月」といった歌に誘われたかたちでアマリア・ロドリゲスの歌をきくようになって、しばらくたってから、ファドに運命という意味があると知った。港町リスボンの下町で生れ育ったファドには、軽いリズムに揺れながらうたわれても、うつむいた、寂しげな表情をたたえた歌が多い。
ファドの、歌としての、そのような性格に従ってのことだったのかどうか、アマリア・ロドリゲスは黒い衣装に身をつつみ、しわがれ声でうたった。彼女の独特の節まわしが、歌の陰影をさらに濃くしていた。つまり、ファドとアマリア・ロドリゲスの感じさせる気配は、お世辞にも明るいとはいいがたく、暗く、湿っていた。
「ファドの女王」アマリア・ロドリゲスがその生涯を語ったとなれば、当然、口調も、語られる内容も、明るいはずはないなと、一応、覚悟した。ところが、どっこい、この本から読者が感じるアマリア・ロドリゲスは限りなく率直で、はなし好きな、気さくなおばさんである。’読者がここでその生涯を語るアマリア・ロドリゲスを生々しく感じることができるのは、聞き書きをした著者が彼女を巧みに誘導できたがゆえであろう。人は自分を愛してくれている人の前では率直になれる。アマリア・ロドリゲスは彼女をこよなく愛する、よき著者にめぐまれてしあわせだった。本書の魅力は、そこにつきる。
さらに、本書は、「いつ果てるともないアマリアのおしゃべりに耳をかたむけるように、この本を読んでくだされば、と思う」と、慎ましいことばを「あとがき」にそえる訳者のおかげで、絶好の読み物となっているということも、書きそえておきたい。おしゃべりに耳をかたむけるように読めるのは訳文が充分にこなれているからである。
巻末に掲載されている各種データがまた、詳細をきわめ、この本がアマリア・ロドリゲスを愛する人たちの手で生みだされたことを無言のうちに語っている。読んで、その人をもっと好きになれた自伝は、いい自伝である。

天分カフェ

2003 年 10 月 6 日 月曜日

『天分カフェ』表紙\
書籍名   : 天分カフェ
あるスローな街のラヂオ局から流れている社会教育講座
(テンブンカフェ)
著者名   : 松田道雄(マツダミチオ) 著
発行日   : 2003-09-17
税込価格 : ¥998
本体価格 : ¥950
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★河北新報03.10.6
・『天分カフェ』(松田道雄著 950円 03・9・20刊)「山形市の中学教師松田さんが、生活の中でそれぞれの才能を生かすための着想のヒントを満載した本を出版した。ユニークな大人のための社会教育の指南書とも言える。自らを啓蒙家と名乗り、子どもと地域の人が駄菓子屋に集うワークショップ「だがしや楽校」や駅前文庫など、多彩な地域活動を精力的に展開している。体験を踏まえ、あるカフェを拠点にさまざまな人が集い、それぞれの才能\\を生かして心豊かに生きる。生き方や考え方、仲間、行動、社会の五項目にわたって計25の「ひらめきレシピ」や楽譜、一こま漫画を収録している。?@絵になる本 ?A広がる本 ?Bコミュニティを広げる本──という構想の基に執筆。仕事と家庭生活を両立させ、さらに自分の天分を生かす発想を楽しく多角的に紹介している」

いい酒と出会う本

2003 年 9 月 23 日 火曜日

『いい酒と出会う本』表紙\
書籍名   : いい酒と出会う本 大人の教養としての世界の酒&酒場案内
(イイサケトデアウホン)
著者名   : 森下賢一(モリシタケンイチ) 著
発行日   : 2003-09-08
税込価格 : ¥1680
本体価格 : ¥1600
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★「月刊外戸本epi[エピ]」04.01.25
「週刊誌「サンデー毎日」で連載された国内外の酒をめぐるコラムを編集して単行本化。著者が渡り歩いた世界各国の酒場事情、これぞと太鼓判を押すこだわりの酒、酒の肴、酒場で出会った人々など、様々な酒を知る愉しみ、飲むよろこびが倍増する〈いい酒〉、〈いい酒〉に関するウンチクを凝縮した89話。酒の知識は広く深い方が良いと、実体験にもとづいてワンランク上の大人の飲み方を提案する。」

★日刊ゲンダイ03.9.27
「世界には一生かかっても飲み尽くせない、いい酒がある。本書は、酒をこよなく愛する著者が、世界の「酒場」と「酒」に関するこだわりのウンチクを披露し、ワンランク上の??大人の酒の飲み方?≠?提案する。著者は古い酒場が好きだ。日本での洋風酒場なら、明治13年からの浅草「神谷バー」、昭和初年からの銀座「ボルドー」「ルパン」など。飲む暇がなければ前を通りかかるだけでもいい。ヨーロッパには驚くほど古い酒場があって、創業1423年のロンドンのパブ「ギニー」は、街の中心部ではいちばんの古株。それを上回る歴史のあるパブは、アイルランドの首都ダブリンにある「ブレイズン・ヘッド」。なんと創業1192年だとか。世界最古の酒ともいわれるのは「蜂蜜酒ミード」で、今でもケルト系の酒飲みは蜂蜜酒が好きらしい。大人ならば知っておきたい知識が満載」。

★産経新聞03.9.23 ほかに『サンデー毎日』03.10.5など
「スポーツでもゲームでも、よりよく楽しむためには基本的なルールを知る必要がある。ロンドンのパブだけでも二百軒以上回ったという著者の古今東西、世界中の酒と酒場の話。三十歳のころ、アメリカで未成年とみられてビールを売ってもらえなかった話、大阪マンモス・キャバレーのあれこれ、クリスマスの各国の酒などなみなみと」。

廃車幻想

2003 年 9 月 19 日 金曜日

『廃車幻想』表紙\
書籍名   : オフサイド・ブックス29
廃車幻想 ポンコツ車からみえた「昭和」
(ハイシャゲンソウ)
著者名   : 丸田祥三(マルタショウゾウ) 著
発行日   : 2003-09-05
税込価格 : ¥1680
本体価格 : ¥1600
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★条/読売新聞03.10.5
・『廃車幻想』(オフサイド・ブックス29 丸田祥三著  1600円 03・9・20初版、10・102刷) 売れています!
「デビュー作「棄景」以来、廃墟を撮り続けた写真家の原風景だろうか。空き地や河原に捨てられたブルーバード、コロナ、パブリカ……。1960年代からの高度経済成長とともに、一般家庭に急速に普及した「マイカー」は、5、6年で耐用年数がやって来た。「幸せな家族の象徴が惜しげもなく捨てられるさまを残したかった」と写真家は言う。そのポンコツ車を見ると、会社のために働いた末、リストラされたサラリーマンのよう。掲載された全136点のうち、約100点を小学生時代に撮影。すでに時代を先取りしていた。ただし、安易な作品は一つもない。将棋棋士九段の父、祐三(84)が「写真はぜいたくなもの」と、一粒種の息子に対し、どんなに時間があっても、一つの風景に一カットしか許さなかったからだ。それは「待った」が許されない世界に生きる父の優しさだった」。

★週刊読書人03.9.19
▼その他『毎日新聞』03.9.21、『週刊朝日』03.9.17、『日刊ゲンダイ』03.9.13、『週刊将棋』03.9.22→今後共同通信、時事通信からも配信の予定。

・『廃車幻想』(オフサイド・ブックス29 丸田祥三著  1600円 03・9・20初版、10・102刷) 売れています!
「昭和が流行っている。電化製品から雑貨までレトロさが若い世代には新鮮に映っているようだ。あるものは古着など当時のままのかたちで使用され、あるものは外見は当時のままに中身を最新の技術で新たに創り直されたりと様々だ。車も例外ではない。昭和三、四十年代の車たちは復元されテーマパークなどに展示保存されている。だが、本書は昭和四、五〇年代に町の空地によく転がっていた廃車の写真により構\成されている。ボロボロになっても存在感のある車たちが詰まった一冊。

<新しい女>の系譜

2003 年 9 月 1 日 月曜日

『<新しい女>の系譜』表紙\
書籍名   : <新しい女>の系譜 ジェンダーの言説と表象
(アタラシイオンナノケイフ)
著者名   : 武田美保子(タケダミホコ) 著
発行日   : 2003-05-30
税込価格 : ¥2625
本体価格 : ¥2500
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★『英語青年』9月号 植松みどり

「本著は「新しい女」に焦点を当て、今までにないほどの重点をそこに置いて、考察したものであり、著者の博士号取得論文をさらに膨らませたものであり、新鮮な視点からの意気込みにあふれたものである。パラダイム、言説に興味がある著者は文学作品を文化的に、社会的に読みこむことによって、新しい女の系譜を探求しようと試みる。……「新しい女」が実は営々とその姿を現代、未来にまで投影させており、モダニズム、ポスト・モダン創出へと、英国小説への影響を与え続けていることの発見の楽しさが随所に語られている。」

★産経新聞 6/22
「十九世紀末、イギリスに誕生した「新しい女」の概念。その成立の過程や社会に与えた影響を小説を通して読み解く。貞淑で家庭的な妻という既存の女性像を覆したのが進歩的な考えを持ち、あえて結婚しない生き方を選んだ女性たちだ。社会から白い目で見られる一方「新しい女」像は当時の小説に色濃く影響を与えた。ハーディの作品に象徴されるように、性道徳の厳しい拘束を逃れ、さっそうと生きるヒロインが登場するようになったのだ。同時に女性化する男性や同性愛などのテーマを扱う小説も出現。ほかにもロレンスやウルフなど、斬新な女性像を描いてみせる作家が次々に誕生した。しなやかに変容し続ける女性像は、小説や歴史をひもとく新しい視点を提供してくれる」

アルゲダス短編集

2003 年 9 月 1 日 月曜日

『アルゲダス短編集』表紙\
書籍名   : アルゲダス短編集
(アルゲダスタンペンシュウ)
著者名   : ホセ・マリア・アルゲダス(ホセ・マリア・アルゲダス) 著
杉山晃(スギヤマアキラ) 訳
発行日   : 2003-06-19
税込価格 : ¥2625
本体価格 : ¥2500
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★『スタジオ・ボイス』9月号・越川芳明
「20世紀のペルーを代表する小説家であり、民俗学者でもあったアルゲダスが描くのは二つの文化(山岳文化と海岸文化)のぶつかり合いである。ここに訳出された13編の短篇のほとんどの舞台が山岳でもなく海岸でもない、その中間の麓の草原地帯であるのも、そうした理由からだ。麓の草原にこそ、二つの文化がぶつかりあうペルーの現実が見られる。その端的な例が水の権利だ。ごく少数の白人農場主は自已の経済力にまかせて、インディオの長老と手を組み、軍隊や警察を抱きこみ、水の権利を一人占めする。熱帯の草原では、水は命の次に大切なものだが、水を確保できない多数のインディオの小作人たちの畑は干からび、トウモロコシも実が小さく貧弱なものしか出来ない。アルゲダスは慈悲心に欠けた強者の海岸文化(白人農場主、軍隊)への怒りを隠さない。かれらはインディオと寝た自分の女を崖から突き落としたり(「復讐」)、村一番の乳をだす牝牛をインディオの手から強引に奪いとったり(「小学生たち」)、未成年の少年を力ずくで軍隊に徴用し善良な母親を狂気に陥らせたり(「ドニャ・カイターナ」)するような「悪魔の心」をもつ人間として描かれる。

★「産経新聞」7/28
「ペルーに生まれた白人の作家が、白人とインディオの二つの文化のはざまで暮らすアンデスの人々の姿を描く短編集。恋い焦がれていたインディオの娘を白人の農場主にとられた事件を通して、少年が大人の世界の汚さを垣間見る「ワルマ・クヤイ」。毎年洪水をおこす雄大な川やパンパを舞台に、自然と共存する村人の素朴な生活を礼賛する「ケルカタイ・パンパ」。浮気性の妻を使用人に寝とられ、復讐を決意する男の心情描写が鬼気追る「復讐」。優しく信心深いインディオのお針子が、最愛の息子を亡くした悲しみから狂気に向かってゆくさまを少年が見つめる「ドニャ・カイターナ」など。生活の中に迷信や伝説がいまも息づく世界と、情感豊かな人間の姿を鮮烈に描いた十三編。」

夢を追って

2003 年 8 月 17 日 日曜日

『夢を追って』表紙\
書籍名   : 夢を追って ランゴーレンの貴婦人たち
(ユメヲオッテ)
著者名   : メアリ・ゴードン(メアリ・ゴードン) 著
古木宜志子(フルキヨシコ) 訳
発行日   : 2003-06-30
税込価格 : ¥2940
本体価格 : ¥2800
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★『産経新聞』8/17
「18世紀後半のアイルランド。レズビアンという言葉もなかった当時、ウェールズに出奔し、50年間ともに暮らした二人の貴婦人の実話。政略結婚が日常茶飯事で、結婚こそが女の幸せと考えられていた時代にエレナーとセアラは出会った。裕福な日々を送りつつも孤独だったエレナーと、幼くして孤児になり、一族からは結婚の抑圧をかけられていたセアラ。読書や思索に喜びを見つけ、自立心を持っていた二人は心を通わせ合い、駆け落ちする決意をする。故郷でスキャンダラスなうわさが渦巻く中、ランゴーレンに居を構えた二人は地元の人々に敬われ、穏やかな生活を確立していった。家族も名誉も捨て、自分らしい生き方を貫いた誇り高い女性の姿を、生き生きと描く。」

アイルランド建国の英雄たち

2003 年 7 月 20 日 日曜日

『アイルランド建国の英雄たち』表紙\
書籍名   : アイルランド建国の英雄たち 1916年復活祭蜂起を中心に
(アイルランドケンコクノエイユウタチ)
著者名   : 鈴木良平(スズキリョウヘイ) 著
発行日   : 2003-06-24
税込価格 : ¥2940
本体価格 : ¥2800
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★「毎日新聞」 7/20 富山太佳夫

「 そのときジェイムズ・ジョイスは大学生であった。もちろん、20世紀を代表する小説家になってゆく彼のことだから、ひねくれた、頭のいい学生であったに違いない。ところが、教えに来た三歳上の教師というのがアイルランドのゲール語至上主義者で、英語も英文学も不用と主張してはばからない人物。若き日の大作家はあきれかえって、教室を出てゆくしかなかった、という言い伝えがある。別にジョイスでなくても、今風の学生による授業評価をやればさぞかし悪い点のつきそうなこの教師の名前は、パトリック・ピアス。今日のアイルランド共和国の建国の父とも言ってよい人物である。コンピューター産業の成長によるあと押しもあって、現在では経済的な安定を維持できるようになったこの国も、第一次世界大戦のさなかまで、何世紀にもわたってイギリスの属国であり、植民地であった。その状態から脱するための武力蜂起をひきいた人物のひとりが、ジョイスの眼から見れば、ダメ教師だったのである。1916年4月24日(月)、復活祭の休日でにぎわうダブリン市の中心街の平和な雰囲気をつき破るようにして、数百人からなるアイルランド義勇軍とアイルランド市民軍が中央郵便局の建物に入る。その蜂起軍の総司令官として「アイルランド共和国樹立宣言」を読みあげたのが、ピアスだったのである。レーニンの先導したロシア革命の一年半前のことである。しかしこの蜂起は、ロシア革命とは違って、一週間もたたないうちに鎮圧されてしまった。この有名な復活祭蜂起についてはすでにいろいろなことが書かれている。共和国樹立宣言に署名したピアス以下の七人についても、またジョイスや詩人イェイツ他の文学者たちの姿勢についても。だが、一方で、これは大変書きにくい事件でもあるのだ。なぜならば、この武装蜂起にいたるまでの歴史的な背景をまず説明しなくてはならないし、この蜂起を可能にした第一次大戦下の状況を説明しなければならないからである。いや、何よりも、それにからんだ人物たちの思想的な背景がばらばらで、ゲール語至上主義の教育者もいれば、社会主義者もいるし、シン・フェイン党の創設者もいる、アラビアのロレンスを敬愛した男もいるし、のちに共和国大統領となる「二枚舌のマキャヴェリスト」もいる、とても簡単に整理できるものではないのだ。鈴木良平の『アイルランド建国の英雄たち』はまさしくその整理をやってみせた本である。それはピアス、コノリー、コリンズを含む五人(劇作家ショーン・オケイシーのための一章もある)の評伝と思想を簡潔にまとめた、言葉の最もすぐれた意味における紹介書である。わが国ではこのような本がとかく軽視されがちであるが、この本は分量と細密さを誇りとする以外に何の能もないいわゆる専門書何十\冊分もの価値をもつ。しかも話はアイルランドの内側だけに限定されていない。フェニアン問題などをかいしてアメリカとのつながりが説明されるのは当然として、コノリーの政治的立場を説明するために、同時代の幸徳秋水や大杉栄との比較がされたりする。当時の世界各地における国際的な社会主義、民族主義、労働運動などとのからみも十分におさえてある。著者の両足はしっかりと地についていて、この紹介書のかたちをとった本がひとつの確固たる信念の表\明であることを示している」

日本に住むザビエル家の末裔

2003 年 6 月 28 日 土曜日

『日本に住むザビエル家の末裔』表紙\
書籍名   : 日本に住むザビエル家の末裔 ルイス・フォンテス神父の軌跡
(ニホンニスムザビエルケノマツエイ)
著者名   : 鈴木れいこ(スズキレイコ) 著
発行日   : 2003-05-23
税込価格 : ¥1575
本体価格 : ¥1500
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★「キリスト教新聞」6/28
「ルイスさんはスペイン生まれ。ザビエルが日本からパリに送った手紙を16歳の時に読み感動、日本へ渡ることを決心した。25歳でマドリッドの神学大を卒業後に来日。20年間、上智大や早稲田大で倫理学や比較宗教論を教え、84年から10年間は福岡県の高校で教師として働いた。ザビエルの兄ミゲルはルイスさんの父の祖先でフランス系。ちなみにルイスさんの母はケルト系で、祖先にはスペインの画家ゴヤが肖像画を描いている、プラド美術館の創設者ホセ・モニノ・イ・レドンドがいる。ルイスさんは現在、山口県下松市在住。日本での司牧生活はすでに50年以上になる。現在は、字部市アストピアに完成した、チャペルを備えたブライダル施設「フェリース」で働いている。本の著者である鈴木れいこさんは、ルイスさんのスペイン語教室の生徒。「聖フランシスコ・ザビエルがお手本」というルイスさん。神に頼り切った飾らない人柄が、本の中からも十分に伝わってくる。

★『中国新聞』03年6月2日

(鈴木れいこ著 1500円 03年5月刊)
日本にキリスト教をはじめて伝えたフランシスコザビエルの兄の子孫で、下松市に住むルイス・フォンテス神父(72)のザビエルに導かれた運命的な半生を、光市のエッセイスト鈴木れいこさん(68)が執筆した。「日本に住むザビエル家の末裔」のタイトルで彩流社(東京)から出版された。
鈴木さんは4年前、海辺の風景が気に入って光市に移り住んだ。2年前から通う中国新聞カルチャーセンターのスペイン語講座の講師がフォンテス神父だった。スペイン語の講義のおもしろさや知識の深さに人間的興味を覚えたのに加え、ザビエルの子孫という事実が、創作意欲を刺激したという。
2001年6月ごろから聞き取りで取材を続け、ザビエル関連の書籍を求めて図書館通いをしながら、昨年10月に書き上げた。
神父自身が、ザビエルとのつながりを知ったのは六年前。『スペインの親類から送られてきた結婚式の案内状だった。覚えのない署名だったため手元の資料を調べるなどして、自分の14代前がザビエルの長兄ミゲルであることを知った。
ザビエルとのえにしは50年前にさかのぼる。
偶然手にしたザビエルの書簡集が日本への興味をかき立て、神学校を経て日本へと向かわせた。
こうしたエピソードや、宣教の足跡、人々との触れ合いなどを5章にまとめた。
これが3冊目の著書となる鈴木さんは「神父の取材を通じ、人間の信念というものを学べた」と話している。

★『西日本新聞』8/24
「山口県に住むようになった著者は、スペイン語を学ぶため語学教室を訪れる。そこの講師は神父のルイス・マギーネ・フォンテスさん。何と、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの子孫だった。ルイスさんは来日47年になるが、そのことは数年前まで本人も知らなかった。故国スペインから届いた結婚式の案内がきっかけで家系調べに熱中、系図をつきあわせていくうち、14代前の先祖がザビエルの長兄ミゲルだと分かった。ルイスさんは少年時代、長崎のキリシタン殉教者の絵に日本への興味を募らせた。さらに山口で宣教していた神父が書いた本に出合い、ザビエルの書簡集を読み、日本行きの気持ちを固めた。はるか昔のザビエル、そして今、同じように日本に来た末裔の自分─ルイスさんは「導き」と思う。本書は、宗教土壌の違いに戸惑いつつも日本で神父として歩むルイスさんの姿を追う」

炭焼きの二〇世紀

2003 年 6 月 23 日 月曜日

『炭焼きの二〇世紀』表紙\
書籍名   : 炭焼きの二〇世紀 書置きとしての歴史から未来へ
(スミヤキノニジュッセイキ)
著者名   : 畠山剛(ハタケヤマツヨシ) 著
発行日   : 2003-03-07
税込価格 : ¥2100
本体価格 : ¥2000
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★河北新報6/23
「全国一の木炭生産量を誇る岩手県の炭焼きの歴史をつづった「炭焼きの二十世紀」を、岩手県岩泉町の元中学校教諭畠山剛さんが出版した。木炭が盛衰する社会的背景をたどり、普及に心血を注いだ製炭者、技術者の群像を描く」

★「朝日新聞」03.4.20 堀江 敏幸評
炭焼き、あるいは炭火という言葉は、都会暮らしの人間のみならず、この国の大部分の住人にとって、もはやひとつの付加価値となりつつある。石油、電気、ガスに頼る現代生活において、木炭の使用は贅沢でもあるのだ。肉を焼いたり、珈琲豆を賠煎したり、ソーセージを燻したりするのにあえて炭火を用いれば、量産品にはない味わいが生まれるかわりに価格もそれ相応になる。
また、無煙にして純粋な木炭は、手間と暇をいとわないかつての暮らしのリズムを取り戻すための頼もしい鍵でもあり、雨水や汚水の浄化、木酢液の農業ヘの利用など、環境保護の面からも見直されるべき存在だ。しかし「かつての暮らし」とは消費者の視点にすぎず供給する側の、すなわち製炭者と、彼らを牛耳って大量の炭俵を都市圏に送り出していた業者たちのそれではなかった。世話になった熱源をあっさり見捨てたのも、遅まきながらその良さに気づいたのも消費者であり、製炭にかかわってきた人々ではないのである。
木炭の需要は、第一次世界大戦時の好景気で一挙に高まった。生産が追いつかず、家庭用木炭が手に入らなくなるほどだったという。そんな時期に全国一の生産量を誇ったのが北上山地の豊富な木々を抱える岩手県で、本書は、都市の日常を陰で支えていたにもかかわらず極度に貧しい生活を強いられていたこの地方の炭焼きたちの仕事に焦点を当て、「かつての暮らし」の他面をつつましく埋めてくれた。
読み物として興味深いのは、やはり岩手県が「木炭王国」となるにあたって尽力した男たちの系譜だろう。明治末期、全国をまわって技術指導をした広島県人、楢崎圭三にはじまる岩手の炭焼きは、小野寺がまの小野寺清七、岩手一号がまの佐々木圭\\\助らに受け継がれていくのだが、彼らの小伝も妙な感情移入がなく、訥々とした口調で語られており、それが平成に入って復活した炭焼きの現状を見据える眼差しとよく釣り合っている。記述の重複がいくらか気になるものの、中身は木炭のように渋い。