ホームレス青年の絶望のレンズから見る世界
評者は三浦天紗子氏
322ページのBookGuideに掲載。
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それが愛かどうかの確信もないままに、青年は女性の体を心配し、いたわり、時折ふらりといなくなるその年上女性に嫉妬までするようになる。女性は青年をからかうようでもあり、甘えて頼りにしているようでもあるが、どちらも女性の無意識の本心なのだろう。振り回される青年はさらに転落していく。
青年がなぜホームレスとして駅に流れ着いたのか、過去に何を背負っているのかはまるで説明されない。それは「気づいたらそこにいた」という事実しかなく、過去の栄光もしがらみも不運も「転落」には関係ないと、突き放されているかのようだ。
…本書の著者は、本国韓国でも注目を集める若き実力派。
…30歳手前の若さで、この絶望が描けるとは恐ろしい。
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