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【書評】『アナーキストの銀行家』――「図書新聞」(2019年10月5日)

着想をする「自分」と「書く者」のずれ
感文一致を夢見た者たちの闘いは、いつも孤独だ

(評者は作家の乗代雄介氏。)

“ フェルナンド・ペソアが死んだ時。そのトランクには2万5000点以上からなる雑多な原稿が詰め込まれていた。それが日の目を見ることなく多くの異名において書かれていたことが、この人物の死後の評価を決定づけることになる。

(……)

異名者という形式が忘我の賜物だろうと責任逃れの手続きだろうと、それは着想をする「自分」と「書く者」のずれに由来するはずだ(…)

言文一致ならぬ感文一致を夢見た者たちの闘いは、いつも孤独だ。その判定を下す者は自分しかいないし、彼らは自分が望む判定を決して下さない。完璧などないことを知りながら、それでも書かねばならない者のかりそめの完成の手段として、もしくは自分の口から完成と嘯かぬための手段として、断片が残され、異名者が求められたように思える。「致方が」ないとでも呻きながら。(……)”

 

 

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