日々是好日

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日々是好日 第2回

#2 思い出ハイハイ編

林タムタム

 

私の卒業した大学の話をしよう。

(西の)都に出町柳という駅がある。駅を出たとこの柳月堂でパンを買い、東へなだらかに道を進めば、百万遍の交差点に出る。反対側に見える石垣が、京都大学だ。

ここは有名な研究者を結構多く輩出している。白浜に水族館を持っている。今ホームページを見てみたらチンパンジーの子がおやつを食べることを解明していた。かわいいね。

この大学のもう一つかわいいところは「自由の学風」を掲げているところである。この「自由の学風」こそが、この大学を唯一にして孤高、ユニヰクにしてアバンギヤルドたらしめているのだ。

学生だった私は、日がな1日立て看を書き(正直不得意である)、深夜までサークル棟に溜まり語らい、学生映画を観、突如始まる炎天下の演劇に巻き込まれて過ごしていた。11月祭の頃には、必ずコートを着るような寒さになる。組んだ積み木に火が放たれば、気になるあの子のほっぺも赤く染まるでしょう。小野紀明教授の授業だけは休まずに行った。

驚くほど自由であったし、それがここでの生活においては当然のことであった。自分から動かなければ何も起こらなかったし、動きさえすれば何でもやれるこの場所で、いろんな人を見、いろんな学問に触れた。期せずして行きあったこれら全てを、自由の学風に結びつけて了解していたタムは、単に愚かだったのでしょうか。

今はもう前のように立て看を立てることはできない(道路の無断占有をしたいと言っているのではないよ)。11月祭の期間も短くせざるを得ないような達示が出たそうだ。

他方でこの大学は、「ザッツ・京大」なるホームページを作り、「自由の学風」について大学として発信を試みている。左半分にめちゃくちゃ大きいサイズで出てくるおじさんが、京都大学学長・山極壽一である。

タムは山極さんが前から好きだ。しかし、ザッツ・京大で最初に山極さんが大きく出てくるのはなんか違う。端的に言って、京大の学長が山極氏であっても、山極氏がザッツ・京大なわけではないのである。学生を含め京大に関わる人間を、有象無象を、日替わりとかで貼り付けたなら、そこで初めてザッツ・京大と名乗れるだろう。

今一度言おう。
京都大学はすごいいい大学。自由の学風はめちゃクール。私はその恩恵を全身に受けてここまで大きくなりました(横に)。でもそれがだんだん変わってきている(前回は著作権が、今回は国立大学法人が怖い。しかしあえて書く)。

学生は当局が怖いのである。一生懸命勉強して入った大学だから、自分がサボって留年して最後は退学ならまだしも、立て看立てて放学とかなったら嫌なのである。何が当局のお怒りに触れるかわからなくて怖くてあらゆる行動が萎縮しちゃうのである。11月祭とか最後の最後で告白できるとかあるのに、今より日程短くなったらムード作れなくてチャンスも半減である。

学生がもう立て看ええわ、11月祭ももうどうでもええわ、早よから就職活動必死にやって外資系行くわ、になってるならもうそれはそれでいいのである。老兵は去るのみである。でもそうじゃないのである。当局はそうじゃないことをわかってザッツ・京大をつくってるんじゃないん? それなのにこんなに上から締め付けるなんて、定義しようするなんて、タムは涙が出ます。

前回、自分らしく生きるみたいな大きすぎるテーマを打ち出したけど、そもそも自分の頭で考えると言うことそれ自体を知らなければ、考えるを試みることすらできなかった。知れたのは好き勝手色々考えてやってる人がたくさんいたあの大学でである。自由の学風がどこから出てきたかわからないけど、少なくとも今の大学の態度からは正反対のところからきたんじゃないのかな。深夜のサークル棟で立て看の話をしましょう。寒くっても缶ビールを飲みましょう。学生のことは信じてほしいです。チンパンジーがおやつ食べてるんじゃないかとか思いついた人は、きっと自分で考えることをこの大学で気づくことのできた人です。