イケ彩ダメ彩

最新の記事5件

このコーナー内を検索

月別一覧

JR大惨事の危険性は、この本が指摘していた!!

4月25日に発生した、兵庫県尼崎市のJR宝塚線(福知山線)の脱線事故、あまりの悲惨さに言葉を失います。事故の報道が進むにつれ、事故原因についてもさまざまなことが伝えられています。「JR西日本での事故」ということで、02年に出した本を思い出していました。そのなかに、大事故の発生を危惧する記述があったはずだと思ったのです。

その本とは、JR総連の委員長・小田裕司氏が書いた『反グローバリズム労働運動宣言』のことです。
この本は、「グローバリズム」の名のもとに、働く者の生きる権利を圧迫するさまざまな動向に対し異議を唱え、21世紀型の労働運動を模索しようというものです。なので、現在労働者(著者の立場上、とくにJRの労働者)が、どんな目に遭っているが詳しく描かれています。
◆テレビでもさかんに報道されていますが、50秒電車を遅らせたがために、ほとんどいじめといっていい「日勤」という「再教育」を強要され、自殺に追い込まれた尼崎電車区(JR西日本!)の運転士についても詳説されています。自殺の背景には、労働者とくに組合運動をするような労働者を、人間扱いしないJRの体質があります。
管理のもの凄さはこれだけではありません。たとえばJR東海では、運転士の控え室に監視カメラが据えられているそうなのです。
そして、オーバーランや遅延が起こった場合は、原因究明ではなく、徹底的な個人への「責任追及」=処罰が行なわれるのです。この処罰をおそれるがために、小さなミスが隠蔽され、大惨事につながった可能性がある、といっていいのではないでしょうか。
個人への必要以上な責任追及は、結局のところシステム全体の責任を覆い隠し、そこには「恐怖」による支配だけが残ります。
◆なぜ必要以上な責任追及がなされるのか。それは「そうしないと競争に勝てない」という大義名分があるからです。「グローバリズム」の名のもと、市場原理を至上のものとし、競争による効率を追求するには、そのような過酷な管理体制が必要とされる、と言い換えてもいいでしょう。だから労働者は、生身の人間ではなく、数値にすぎないのですね。
そんなところに労働の倫理がなくったって、ちっとも不思議ではありません。モラルの崩壊(「悪いことはわかっているが、仕方ない」という心性)が起こっても、当然といえるでしょう。

◆ついでなのでいっておきますが、会社は株主のものだと言っている人は、会社の現場=職場での「やるき」だとか職業倫理といったものをどのように考えているんでしょうか。「株主様のために働け」といわれて「やるき」がでると考えているのでしょうか。昨今見受けられる、常軌を逸したようなミスやモラルハザードは、そんなところに淵源しているのかもしれません。
経済学の教科書や学者が何といおうとも、働いている者にとって、その職場は自分(たち)のものです。この場合の「もの」とは「所有」を意味しませんが、自分たちの意思がいくぶんなりとも反映しうるもの、くらいの意味はあります。ほとんどの働く者は、1日の多くの部分を仕事に費やします。それを「豊か」にしよう(働いている時間を当事者にとって親和的なものにすること)という意図がない思想は、グローバリズムだろうが地域主義だろうが、全部クソだといっていいと思います。
◆いずれにしても、惨事の責任が、現場の特定の個人だけに押し付けられないように見守っていく必要があると思います。『反グローバリズム労働運動宣言』には、安全に関する取り組みについても多くを割いています。参照していただけたらと思います。

【オフサイド通信05.5.2杉山】