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シンポジウム「21世紀に求められる 人文科学と大学教育ー大学改革と人間形成」

昨日は、国際メディア・女性文化研究所の設立記念シンポジウムを拝聴しに日本女子大学まで行ってきました。
題目は「21世紀に求められる 人文科学と大学教育ーー大学改革と人間形成」でした。
濃密な4時間でした。パネリストとして最初にお話になった巽孝之先生の発表「人文学の通義ーその生命・自由・幸福の探究」では、人文学がそもそもなんのためにあるのかを根本から問い直すもので、知識の再分配や言葉の意義、そう、言葉ひとつで物事が立ち上がったり、そうでなかったり、つまりは、レトリックをどう身につけるのかだということだと思うのです。そもそも「実学」の意味は「真実を探求する」というもので、現在大学教育に期待される「実学教育」とは本来の意味からかけ離れているなど、大変意義深い発表で、巽先生のこの発表が昨日のシンポジウムのまさに基調になっていたようで、その後の発表者や、最後の討議の場面でも、巽先生のはなされた内容がなんどか言及されていました。
続く作家の芦辺拓氏の「仕事をサボってツイッターをやってて見えてきたこと」も興味深く、「知の共有」とは何かをその危うさを独特な表現力で話してくださいました。「印象操作」「悪魔の証明」「推定無罪」などどどのように起きるのかが非常によく伝わってきました。
岡山大学前副学長の荒木勝氏の提言は、大学の経営者からみた社会に役立つ人材とは何か。鍵語は「リベラルアーツ」でした。
そして、極めつけは上野千鶴子先生の「人文科学はなぜ必要か?」です。上野先生のマルチチャンネル、世界を複眼で見る、前提(予件)を疑う=問い続ける、専門知と人文知、メタ知識、システムとシステムの境界の間でノイズは生まれ、ノイズの一部が情報になるなど非常に簡潔に分かりやすく話してくださいました。改めて、上野先生、頭がきれると実感しました。
中沢けい先生の「フェイクニュースの時代を考える」、阿木津英先生の「無用無益のゆたかさと近代精神」も興味ひかれました。
その後の、質疑応答の時間は、正直、もっと、パネリストたちの言葉を聴きたかったし、フロアの声ももっと積極的に拾うべきだったと思いますが……。
お忙しい巽先生は別の学会のため最後の質疑応答時にはいらっしゃらなかったのですが、上野先生などと丁々発止やってほしかったなと思います(笑)。でも、お二人の考えは、なんのために人文学があるのかでとても通底しているように感じました。
久しぶりに、とても意義あるシンポジウムを拝聴したなと、充実感を噛み締めながら帰路につきました。
(小鳥遊)