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おお、かなだ。

ついに刊行なったアリス・マンロー『愛の深まり』。マンロー作品は読むごとに違った味わいがもたらされたり、ちょっとしたシーンが心に鮮烈な印象を刻んだりと、一見さらりとした文章でありながら、読後、じわじわと確かな重みを感じることと思います。

「オレンジ・ストリート、スケートリンクの月」という一篇は、二人の少年と一人の少女の物語。読みどころはさまざまだと思いますが、なぜか気になるのが鉄道に乗るシーン。少年少女だからということもあるのですが、乗る際にいろいろと質されるわけです。

「イラクサ」(『イラクサ』新潮社)でも、鉄道に乗ろうとする女性が駅員(切符売り場の人?)にあれこれ聞かれるシーンがありました。電車に乗るのにいちいち訳を聞かれるのも面倒なことだなあ、これって時代のせいなのかしら、それともカナダではよくあることなのかしら、となんとなく記憶していたのです。

そんな折、カナダの鉄道事情のお話を聞く機会がありました。路線図を見ると、駅がまばら。トロントからバンクーバーまで大陸を横断するカナディアン号で9駅しかありません。現在、鉄道はほぼ観光目的で利用され、日常やビジネスの移動には車か飛行機ということですから、マンローで描かれる時代とは多少異なるのかもしれませんが、「鉄道に乗る」ことは「そうとう遠いところへ旅立つ」という感覚が強かったのかもしれないな、と。まあ日本でも昔は、新幹線に子どもだけで乗ってきたら職務質問(?)されたかもしれませんし、されたとしてもさほどの違和感なかったかもしれませんが。

なお、鉄道開通は、カナダの歴史における重要な出来事。マンローの世界に浸るのと同時に、『カナダ検定』でカナダ事情をぜひ学んでみてください。作品をより楽しめるかも?

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(マルタケ牧場)