ほんのヒトコト

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第29回 ポーランドの変化とともに 変わるものと変わらないもの
──加須屋明子(『中欧の現代美術──ポーランド・チェコ・スロヴァキア・ハンガリー』ポーランド担当)

2015 年 3 月 27 日 金曜日

 初めて中欧(当時は東欧)地域を訪れたのは1988年の夏、ポーランド留学を控えてワルシャワ大学での語学のサマーコースに参加した時のことでした。あまり前知識なしに出向いた場所で、あまりにも大きなギャップに驚きながらも、初めて見る風景に驚き、惹かれました。当時は社会主義体制の末期でしたが、ちょうど夏休みだったせいかどうか、広い道はからっぽ、英語がほとんど通じない、物がない、電話が通じない(当時国際電話をかける、というのはものすごく大変なことでした。申し込んで一日待っても繋がらないこともありました)、というような困難な状況に直面しました。 (続きを読む…)

第28回 日本古代国家成立の秘密ーー林順治

2014 年 11 月 26 日 水曜日
※本記事は、2014年11月16日に名古屋YWCAで行われた〈日本のなかの朝鮮文化・東海フォーラム〉(主催・三河塾)での講演録に基づいています。

『アマテラスの正体』では、『古事記』が古く、『日本書紀』が新しいという通説に対して、藤原不比等が太安万侶など優秀な文人たちを登用して「記紀」をほぼ同時に作らせたことを説明しましたが、中身はかなり難解になりました。 (続きを読む…)

第27回  作品は海を越えて台湾の土に…
──鈴木れいこ(『台湾 乳なる祖国──娘たちへの贈り物』)

2014 年 10 月 6 日 月曜日

2014年明けて早々、彩流社から『台湾 乳なる祖国 娘たちへの贈り物』を出して頂いた。

早くも9月、中国語の翻訳本『南風如歌』(蔚藍文化)が、台湾の店頭に並び、邱慎さんの上質な翻訳の力もあって、作者があれよあれよと思っている間に、作品は海を越えてあちらの土に馴染んでくれている。

台湾で販路が広がりつつある背景を一言でくくると、時代の移りぎわの、スポンと抜けていた隙間を、『台湾 乳なる祖国』が埋めた作品だったのではないか、と今にして思っている。

既刊の台湾現代史の研究書や、敗戦までの50年間の日本統治時代の記録などは、多く出版されているが、敗戦から蒋介石軍の進駐をみるまでの、台湾の様子を一人の日本人の少女の目を通してみたのはまれなのだろう。 (続きを読む…)

第26回  増殖するテクスト
──武田悠一(『フランケンシュタインとは何か──怪物の倫理学』)

2014 年 9 月 29 日 月曜日

 メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』は増殖するテクストだ。200年にわたって増殖し続け、そして今も増殖している。今度出版されたわたしの『フランケンシュタインとは何か──怪物の倫理学』の内容をひと言で要約すれば、こういうことになるだろう。その増殖ぶりについて語っている本書もまた、そうした増殖の一部にほかならない。そうした増殖ぶりを知らない(あるいは気づいていない)人たちのために、こんなのも、あんなのもあるんだと書き綴ったのが本書なのだが、その増殖ぶりを知っている人たちには、あれもこれもあるのに、なぜそれが書かれていないのだ、となるだろう。 (続きを読む…)

第25回 アルムサーラ (Almuzara) 社「フラメンコ・コレクション」のこと
──岡住正秀〔訳者〕(『そしてカルメンはパリに行った』)

2014 年 8 月 27 日 水曜日

著者シュタイングレスは、30年前からセビーリャでフラメンコ研究に携わり、刷新されたフラメンコ学を牽引してきた社会学者。従来の色あせた感のあるフラメンコ学(フラメンコロヒーア)、いわゆるアフィシオナード(おもに愛好家あるいはフラメンコ実践家など)が打ち立てたフラメンコ観に対しては適度の距離をおく著者は、数多くの優れた研究書で知られます。 (続きを読む…)

第24回(その2) セウォル号沈没事故とソウル市教育監選挙から考える『動員された近代化』
──李泳采(恵泉女学園大学、『動員された近代化』監訳者)

2014 年 7 月 25 日 金曜日

前回記事:(その1

 

2.ソウル市教育監選挙と開発動員型教育の改革への期待

300名以上の犠牲者を生んだセウォル号の沈没事故の影響もあり、6月4日に行なわれた地方自治体選挙(投票率56.8%)では朴槿恵政権の惨敗が予想されていた。だが、蓋を開けてみると、広域団体長選挙は、与党・セヌリ党(仁川、京畿道、釜山など8地域、得票率:48.38%)と野党・新政治民主連合(ソウル、忠清道4地域など9地域、得票率:41.14%)はほぼ同様の成績であった。ソウルでは、朴元淳市長が再選となり野党優位の地域であることを見せたが、地方では中高年を中心に朴槿恵政権や保守与党の影響力が未だに根強く残っていることが明らかになった。 (続きを読む…)

第24回(その1) セウォル号沈没事故とソウル市教育監選挙から考える『動員された近代化』
──李泳采(恵泉女学園大学、『動員された近代化』監訳者)

2014 年 7 月 22 日 火曜日

※去る6月4日、韓国では地方自治体選挙が行なわれた。同じ日、教育監選挙も行なわれ、『朴正煕――動員された近代化』の著者・曺喜昖(チョ・ヒヨン)さんを含めて13名の進歩派の教育監が大挙当選された画期的な結果となった。

セウォル号沈没事件という大きな事件を受け、韓国社会のいまを、本書の監訳者である李泳采(イ・ヨンチェ)さんに投稿していただいた。

1.セウォル号の沈没事故と韓国社会の構造的な問題

2014年4月16日、仁川(インチョン)港から済州島へ向かっていた大型旅客船「セウォル(世月: SEWOL)」が、沖海上で転覆し沈没した。2カ月以上過ぎた現在も、毎日海中や船内捜索が行われているが、死亡者293名、失踪者11名(2014年6月28日現在)という韓国最大の海難事故となった。高校生を含め300名を超える乗客が転覆した船内に残されているのに、「動くな」という放送が続き、一方で船長と船員12名が先に救助されていたことに韓国社会は衝撃を受けた。 (続きを読む…)

第23回(その3) アマテラスの正体
──林順治(『アマテラスの正体』)

2014 年 7 月 18 日 金曜日
前回記事:(その1)/(その2
◎ 邪馬台国の女王卑弥呼=神功皇后の作為

こ こで倭の五王の話を石上神宮の七支刀と関連づければ、倭の五王のことがもう少し具体的にわかると思います。七支刀の話に移行します。七支刀が泰和4年 (369)に百済王第一三代近肖古王(在位346-75)の太子奇生聖音(第一四代近仇首王、在位375-84)から倭王旨に贈られたことは本当の話で す。しかし、 (続きを読む…)

第23回(その2) アマテラスの正体
──林順治(『アマテラスの正体』)

2014 年 7 月 17 日 木曜日
前回記事:(その1
◎  溝口睦子の『アマテラスの誕生』

ここでは直近の事例として、溝口睦子著の2009年に出版された岩波新書『アマテラスの誕生』をとりあげます。この本はベストセラーとなり、『アマテラス の正体』の執筆の動機となっています。 (続きを読む…)

第23回(その1) アマテラスの正体
──林順治(『アマテラスの正体』)

2014 年 7 月 16 日 水曜日
◎ 三つの仮説

「まえがき」にも書きましたが、『アマテラスの正体』は三つの説、言いかえれば三つの仮説の助けを借りて書いています。 (続きを読む…)