ほんのヒトコト

最新の記事5件

このコーナー内を検索

月別一覧

ゆかいなセリアとマドリッドーー西村英一郎(『ゆかいなセリア』)

『ゆかいなセリア』の主人公のセリアは、スペイン、マドリッドのセラーノ通りに住む裕福な家庭のおしゃまで、活発な7歳の少女です。セラーノ通りは、現在、高級ブティックや皮製品の店があって、日本の女性旅行者にも人気のあるところです。パリのサンジェルマンをモデルにして街区が発展してきましたが、お話のなかでセリアの家族も、スペイン的なものよりも、どちらかというとフランスのファッションや食べ物を楽しみながら暮らしています。

第5話「シンデレラ」では、セリアが仮面舞踏会とそのときのアンクロヤブル(信じがたい)豪華な衣装やフランスのお菓子を門番の娘ソリータに自慢しています。しかしソリータから近々行われる下町のカーニバル、お祭りに着るソリータのスペイン風の衣裳や食事の話を聞くと、フランスの事物ではなくて、スペインのお祭りのほうにセリアの気持ちが傾いていくくだりがあります。

ところで、カーニバルですが、キリストの復活祭の日から四旬節と言われる断食の期間40日間をさかのぼった(日曜日は数えません)水曜日の前日3日間と決められています。今年を例にとると、4月1日が復活祭の日で、さかのぼった水曜日(四旬節の初日)が2月14日。カーニバルが3日間とすると、2月11日から13日ということになります。日本では、毎年、リオのカーニバルのニュースが届きますが、今年は平昌オリンピックでかき消されています。

セリアの連載が始まった1929年は復活祭が3月31日でしたので、今年と1日ずれているだけです。ですから、カーニバルは2月10日から12日に行われたことになります。なお当時の新聞記事によると、ピントール・ロサーレス通りでのカーニバルはこの年が最後で、翌年からは別のところに移されたとあります。山車(だし)のほか当時は目新しい自動車も列に加わりパレードはにぎわいました。

キリスト教を基本とするフランコ政権ができると、異教の風習であるとして、カーニバルは禁止になります。今はカーニバルが復活して、盛んな地域や町があります。第5話のなかにあるように子どもたちは仮装して楽しみます。現在はそうした衣裳やグッズはネットで購入するようです。それと子どもたちが楽しめるように仮装はカーニバルの前の土、日です(今年で言えば、2月10日、11日)。

ソリータの家族は、カーニバルで宿屋と食堂を兼ねた下町の店であばら骨つきの肉(チョップ、スペイン語ではchuletaチュレータと言う)を食べるのを楽しみにしています。フランス語のカツレツにあたりますが、パン粉をつけて揚げる日本人になじみのカツレツとは違い、フライパンの上で焼いただけの肉料理です。

それから月の暦にしたがいますので、復活祭が4月の下旬になる年は、カーニバルは3月初めに行われます。

978_4_7791_2412_9.jpg

(N)