文学と神学の狭間でフラナリー・オコナーの受動性と暴力

南山大学学術叢書
フラナリー・オコナーの受動性と暴力 文学と神学の狭間で

山辺 省太 著
四六判 / 288ページ / 上製
定価:3,000円 + 税
ISBN978-4-7791-2573-7 C0098
奥付の初版発行年月:2019年03月 / 書店発売日:2019年03月22日
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内容紹介

アメリカ南部を代表するカソリック作家、
フラナリー・オコナー(1925-64)。

彼女の文学世界は、なぜグロテスクで暴力的な光景に
満ちているのか。

暴力性は、どのように神の倫理と結びつき、
神の恩寵の瞬間を迎えるのか。

暴力と恩寵が混在したオコナーの文学/神学世界において、
どのように登場人物の主体性が奪われ、
神の啓示の前で受動的な存在になるのか、
具体的な作品分析をとおして、
オコナー文学が内包する倫理に着目する。

◉ フラナリー・オコナー(1925-64)
アメリカ南部を代表するカソリック作家。
父親と同じ紅斑性狼瘡を煩い、39歳の若さで亡くなる。
短編小説の名手として知られ、
名前を冠した「フラナリー・オコナー短編小説賞」がある。

◉ 映画『スリー・ビルボード』【第90回アカデミー賞(2018年)
主演女優賞・助演男優賞受賞】が、オコナーと関連づけられ、
話題になりました!

◉1960年代のアメリカ南部を舞台にした
映画『グリーンブック』(20019年3月1日公開)が、
第91回アカデミー賞(2019年)作品賞・助演男優賞・脚本賞を受賞!
アメリカ南部に注目が集まります!

版元から一言

◉書評……週刊読書人/大串尚代氏(2019年6月21日)

著者プロフィール

山辺 省太(ヤマベ ショウタ)

やまべ・しょうた
南山大学外国語学部准教授。

【著書】
『ノンフィクションの英米文学』
(共著、富士川義之 編、金星堂、2018年)、
『「1968年」再訪――「時代の転換期」の解剖』
(共著、藤本博 編、行路社、2018年)などがある。

目次

序章 文学と神学の狭間で
  受動性と主体/オコナー文学と新批評
  暴力、受動性、レヴィナス/日本のオコナー研究と本書の位置づけ

第I部 秘義における物質と知覚
第1章 彷徨の身体
      ──『賢い血』と不安定な神の表象
  神聖と冒瀆/浮遊する眼差しとグロテスクな形象
  故郷の喪失と不気味なもの/善としての彷徨
第2章 物質と秘跡のリアリティ
      ──「グリーンリーフ」と「川」にみられる文学の美学と創造世界の表象
  秘跡と受肉の芸術/リアリティと知覚
  「グリーンリーフ」と「川」におけるリアリティ
  人間と物質の類似

第II部 受動性という倫理──他者の歓待と神の恩寵
第3章 倫理、暴力、非在
      ──「善人はなかなかいない」と「善良な田舎者」における善と他者
  経験と倫理/同一性の記号としての「善」
  暴力、隠蔽、顕在
第4章 アクチュアリティ、グロテスク、「パーカーの背中」
      ──行為、融合、再創造
  グロテスクな創造/行為と再創造
  暴力、受動性、融合

第Ⅲ部 オコナーの終末的光景──想像力、時間、現実性
第5章 不可解な黒さと虚構の力学
      ──「作り物の黒人」と「高く昇って一点へ」の差異と終わりの意識
  黒さ、原罪、人種/黒さと神の恩寵/本物の黒人と作り物の黒人
  贖罪の時間、虚構、現実
第6章 故郷、煉獄、飛翔
      ──「永く続く悪寒」における神の降臨と時間の詩学
  煉獄という過程/境界侵犯への憧れ、あるいは煉獄からの離脱
  供犠、イメージ、飛翔
  アズベリー・フォックス、フラナリー・オコナー、進化の贖罪

第Ⅳ部 共同体/国家における政治と宗教
第7章 農園から共同体へ
      ──「強制追放者」におけるアイデンティティの構築と崩壊
  戦争、死、アイデンティティ/南部の労働者からアメリカの市民へ
  農園主から南部人へ/一時の共同体、無限の共同体
第8章 生の政治と死の宗教
      ──『激しく攻める者はこれを奪う』
  公的なアメリカと私的な南部/生の享受と死の洗礼
  アメリカの市民宗教、ターウォーターのキリスト教
第9章 偽善と暴力の相補
      ──「奴隷解放宣言」と「高く昇って一点へ」
  奴隷解放宣言、神話的暴力、神的暴力/オコナーの曖昧な人種態度
  偽善という神話的暴力が生み出すもの
  計測可能な正義の危険性 

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