地域研究批判序説マレーシアにおける国民的「主体」形成

マレーシアにおける国民的「主体」形成 地域研究批判序説

井口 由布 著
A5判 / 368ページ / 上製
定価:3,700円 + 税
ISBN978-4-7791-2491-4 C0022
奥付の初版発行年月:2018年06月 / 書店発売日:2018年06月26日
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内容紹介

「マレーシア=多民族社会」は二つの段階をへて醸成された。

第一は、19世紀半ば、イギリスによる「植民政策学」であり、
第二は、大戦後の植民地最終期のアメリカの「地域研究」であった。

これらの言説の形成をになったのは現地の人々ではなかった。
マラヤ=多民族社会は、一種のナショナルな言説として
登場したといえるが、
現地の人々が自画像を描くためには、
それに先行するさまざまな肖像を参考にするほかなかった。
この過程は、植民地主義的な認識の一方的な受容だった
わけではない。
そこでは、みずからにとってつごうのよい表象を選びとり、
つごうの悪いものを捨て去るような取捨選択があった。

本書は、マレーシアにおける国民的な「主体」形成を、
植民政策学、地域研究、自国研究という
学問分野の成立過程とのかかわりで論じた刺激的な論考である。

著者プロフィール

井口 由布(イグチ ユフ)

いぐち・ゆふ
2004年、東京外国語大学大学院
地域文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。
現在、立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部教授。
マレーシア思想史ならびにジェンダー研究を専攻。
論文:「マレーシアにおける社会科学の形成と展開──
「プルーラル」概念史」(『東南アジア研究』44号、
京都大学東南アジア研究所、2007年3月)、
“Post-Colonial Identity Formation in Malaysia:
Tensions in the Canon of Zainal Abidin bin Ahmad”
(Asia Pacific World Volume 5,Number 1,Spring 2014)
など。

目次

序 章 マレーシアの自画像

第1章 学問分野の成立と「主体」形成
   ──植民政策学から地域研究へ──

  第1節 問題の所在
  第2節 オリエンタリズム
  第3節 オリエンタリズム的言説への「応答」
  第4節 国民的な想像を可能にするもの
  第5節 マレーシアにおける思想史研究

第1部 植民政策学の時代

第2章 植民地時代のマレー研究

  第1節 時空間の認識枠組みの変化
  第2節 「人種」概念の登場
  第3節 マレー語研究の誕生

第3章 失われたマレー的なもの

  第1節 『マレー研究論集』 
  第2節 マレー的なものを記述する
 
第4章 アブドゥッラーとザッバにみるマレー論

  第1節 アブドゥッラーとマレー語 
  第2節 アブドゥッラー以降の状況 
  第3節 ザッバの思想

第2部 地域研究の時代

第5章 ファーニヴァルのプルーラル・ソサエティ論

  第1節 プルーラル・ソサエティ論
  第2節 プルーラル・ソサエティ論の特徴 
  第3節 プルーラル・ソサエティ論における折衝の痕跡

第6章 東南アジア地域研究

  第1節 地域研究と国民的「主体」形成
  第2節 太平洋問題調査会と東南アジア
  第3節 「東南アジア」地域研究の成立

第7章 多民族社会マラヤの誕生

  第1節 東南アジアのなかのマラヤ
  第2節 マラヤ大学設立とエスニック・グループ別研究科
  第3節 三大エスニック・グループのルーティン化
  第4節 研究の現地化

第8章 独立期マラヤにおける国語論

  第1節 イギリスによる政策転換と現地社会
  第2節 ASAS、50の国語論
  第3節 ザッバのマレー語論
  第4 節 独立後の国語論

第9章 近代化、多文化主義、構築主義
  第1節 ブミプトラ政策とマレーの近代化
  第2節 マレーシアにおけるエスニシティ研究の展開
  第3節 構築されるアイデンティティ

終章 「地域」の不可能性

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