レンツとシラー「愛の時代」のドイツ文学

「愛の時代」のドイツ文学 レンツとシラー

菅 利恵 著
四六判 / 300ページ / 上製
定価:3,000円 + 税
ISBN978-4-7791-2450-1 C0098
奥付の初版発行年月:2018年02月 / 書店発売日:2018年02月26日
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内容紹介

恋愛、家族愛、祖国愛──
18世紀の啓蒙時代、近代化の中で孤立した人々が求めたのは、
宗教でもナショナリズムでもなく「愛」だった。

宗教的な枠組みがゆらぎ、近代化の中で孤立した「わたし」を
「人間的なもの」につなぎとめ、理想主義的な自己像の支えとなった愛は、
国民意識の形成過程にどのように組み込まれたのか。

「愛の時代」からナショナリズムの時代への移行はどのようなものだったのか。

ドイツ語圏の啓蒙時代を新しく「愛の時代」ととらえ、
レンツ(1751-92)とシラー(1759-1805)のテクストを
中心に「愛の時代」に生まれたさまざまな言説を分析。

市民知識層のアイデンティティ形成の主軸が
「道徳」から「ナショナリズム」へ変化した過程を
批判的に再構築する。

著者プロフィール

菅 利恵(スガ リエ)

すが・りえ
三重大学人文学部文化学科准教授。
【著書】
『ドイツ文化を担った女性たち
──その活躍の軌跡』
(共著、鳥影社、2008年)、
『ドイツ市民悲劇とジェンダー
──啓蒙時代の「自己形成」』
(彩流社、2009年)。

目次

序章
  1 愛の時代
  2 愛の時代の背景──宗教とナショナリズムのあいだ
  3 本書の流れ──レンツとシラー


第1章 主体的なものと規範的なもの
    ──愛をめぐる言説と市民的アイデンティティ
  1 市民的なものと愛
  2 啓蒙時代における愛の観念の変化
  3 啓蒙時代の愛における「反市民的な」ものと「市民的な」もの
  4 主体性の表現としての愛の矛盾
  5 作品例──『エミーリア・ガロッティ』ほか


第2章 J. M. R. レンツ
    ──「愛の時代」をめぐる寓話
  1 『哲学者は友達によって作られる』における友情と恋愛
   1・1 脱理想化された市民男性像
   1・2 「策略/政治」としての恋愛
   1・3 メロドラマの意味
  2 「自伝」としての恋物語──『森の隠者』
   2・1 恋に刻印された作品構造
   2・2 混乱した恋、混乱した「わたし」
  3 錯誤としての恋──レンツ作品の批判的可能性


第3章 フリードリヒ・シラーにおける愛と政治(1)
  1 シラーにおける愛の特徴──『ドン・カルロス』を糸口に
   1・1 私的な愛から政治的な愛へ
   1・2 シラーにおける愛の描写の背景
   1・3 愛か政治か──ドラマを貫く問い
  2 『マルタ騎士団』論──フリードリヒ・シラーにおける「男同士の愛」
   2・1 シラーにおける友情礼賛とその時代背景
     A 若者たちと権力者
     B 友情礼賛の意味
   2・2 理想の愛の形象化──『マルタ騎士団』
     A 作品概要
     B 『マルタ騎士団』における根本問題
     C 『マルタ騎士団』における私的な愛
   2・3 「男同士の愛」の両義性


第4章 18世紀後期における「政治的な愛」の諸相
     ──ヴィーラント、シューバルト、ハイン同盟
  1 市民的な言説空間の発展
  2 コスモポリタニズム──ヴィーラントを中心に
  3 パトリオティズム──アプト、シューバルト、ハイン同盟
  4 コスモポリタニズムとパトリオティズムの重なり
  5 コスモポリタニズムとパトリオティズムを分かつもの


第5章 フリードリヒ・シラーにおける愛と政治(2)
  1 『オルレアンの処女』と1800年前後のドイツ
   1・1 『オルレアンの処女』の基本構造──戦うための理念の消失
     A 厭戦的な作品世界
     B 『オルレアンの処女』における愛
   1・2 過渡的な時代の表現としての『オルレアンの処女』
   1・3 「神の啓示」という「実験」
  2 「政治的な愛」をめぐる新たな葛藤
    ──『ヴィルヘルム・テル』における愛と政治
   2・1 理想化された愛のドラマ
   2・2 「自由」なテルの背後に──ふたつの政治的な愛
   2・3 暴君か、人間か──時代の狭間の苦悩
   2・4 『ヴィルヘルム・テル』にみる私的な愛の政治的機能


終章
  1 愛国とジェンダー──愛の言説の二面性
  2 A. W. イフラントの家庭劇──「国父イデオロギー」とジェンダー規範
  3 コスモポリタンの愛──ヴィーラントの『アリスティッポス』

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