『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹の深い「魂の物語」

村上春樹の深い「魂の物語」 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

谷﨑 龍彦 著
四六判 / 222ページ / 上製
定価:2,200円 + 税
ISBN978-4-7791-2047-3 C0095
奥付の初版発行年月:2014年09月 / 書店発売日:2014年09月12日
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内容紹介

「灰田という色彩」の裏に秘められた、村上春樹が本当に語りたかった、もうひとつの物語を浮き彫りにする!

河合隼雄との対話、漱石の『夢十夜』、吉本隆明の『夏目漱石を読む』、小林秀雄の『ランボオ』、折口信夫の「他郷」と「異郷」…。

「この物語の題名に意味があるとすれば、この物語は「つくる」の「巡礼」の物語ではなく、姓に色が包含されていない「つくる」と、姓に色を包含している「灰田」との東京での対話を核とした「物語」ということになるだろう。」(「第1章 題名と読点」)


版元から一言

(社)日本図書館協会 選定図書

著者プロフィール

谷﨑 龍彦(タニザキ タツヒコ)

澁澤龍彦に私淑して文芸評論を始める。
著作『村上春樹『1Q84』の性表出』(彩流社、2011年)。

目次

  第1章 題名と読点 

   1 名古屋と東京 ―― 578230 
   2 先取り ―― 「色」という分節化による題名
   3 読点 ―― 「めくらやなぎと、眠る女」との関連 
     
  第2章 物語の方法 
   1 モデル作者 ―― 『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』 
   2 井戸掘り―― 「物語」構造を顕現させた対話 
   3 二つの「物語」―― 「先取り」された「物語」 
   4 魂の会話 ―― 折口信夫の的確な分析 
   5 外界 ―― 漱石と安岡章太郎 
   6 恋愛 ―― 「トワイライトゾーン」内の『物語」 
   7 「天与のもの」としての偶然 ―― 吉本隆明が漱石に見たもの 
  
  第3章 夢=物語 

   1 PTSD ―― 「地震男?」 
   2 最終章 ―― 愛の対象は「新宿駅」 
   3 夢見るようなもの ――『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』 
   4 色つきの夢 ―― 漱石の『夢十夜』 
   5 イニシエーション ―― 河合隼雄の『生と死の接点』 
   6 死と再生 ―― 村上春樹の「夢」の物語化 
   7 「走る」という行為 ―― 自己の肉体をもって再生する「物語」 
   8 「存在でしかない」もの ――「たましい」の欠如した「彼女」 
   9 アニマ ――「性が均質に夢見られている」もの 

  第4章 男の世界 

   1 水の女 ―― 新しい「つくる」が出会う「自己」 
   2 自分ということ ―― 彼の名前は「灰田」といった 
   3 男たち ―― 「つくる」を「知的な刺激」に誘う 
   4 自己凝視―― 「肉体」が微細に執拗に表出されて 
   5 スイング ―― ジャズの「文体」と小林秀雄の『モオツァルト』 

  第5章 心のときめき 

   1 男の足の裏 ―― 「つくる」の「思い」の表出 
   2 心のときめき ―― 漱石の『こころ』 
   3 友人 ―― 性愛の関係性による不自然さ 
   4 日常 ―― 「シロ」(ユズ)の殺害に対しての罪 
   5 ひりひりとした痛み ―― 「魂」に触れる恋情の「思い」 
   6 眼差しの記憶 ―― 「色彩を持たない」世界 
   7 大学紛争の嵐 ―― 「物語」的な非在の登場人物 
   8 ラウンド・ミッドナイト ―― ニーチェの「悪人と音楽」 

  第6章 覚醒したまま「死」を語る 

   1 奇妙なこと ―― 本当は語りたくない深淵の「物語」 
   2 ノモンハンでの出来事 ―― 物語化された「死」の問題 
   3 一般的な「死」 ―― 再生に至る「物語」 
   4 覚醒したまま「死」を語る ―― 中原中也の「骨」 
   5 布袋の中身 ―― 駅長の「六本指」の「物語」 180
   6 「ま」の構造 ―― 全体的秩序としての不可欠な構成要素 

  終 章 

   1 場所 ―― 「文学の初源性」に触れる 
   2 奇妙に中立的な静けさ ―― ランボオが「見たもの」 
   3 哀れな魂よ ―― 小林秀雄とランボオの「魂の会話」 

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