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マリア・クロス

マリア・クロス 現代カトリック系作家の想像力作用のパターン Maria Cross

ドナト・オドンネル 著, 山形 和美 訳
四六判 / 410ページ / 上製
定価: 4000 + 税
ISBN978-4-7791-1699-5 C0098
奥付の初版発行年月:2011年12月 / 書店発売日:2011年12月16日

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内容紹介

アイルランドの優れた批評家ドナト・オドンネルの文学批評の名著の初訳!
 ドナト・オドンネル(本名ドナト・オブライエン)は、歴史家であり、随想家であり、ジャーナリスト的政治評論家であり、学者であり、政治家であり、本職は外交官で、閣僚(ほとんど四年間)も経験し、その他多くの役職に就いた人物である。そして同世代の多くのアイルランド人と同じように、フランスの文化に深く影響された知識人であった。
 本書に収録した「フランソワ・モーリヤック秘密の扉」で文学批評家として認知され、1940年代のネオ・カトリック系の小説家たちについての批評を展開した。
 本書では、各作家にカトリシズムの浸透によって精彩に富む想像力の作用が如何に表出されたかの実例を抽出し、最終章「マリア・クロス」では、これらの個々の様態の共通項を展開し、キリスト教作家の内面構造の比較を試みる傑作。

版元から一言

本書はアイルランドの優れた批評家ドナト・オドンネルの文学批評の名著Donat O’Donnell, Maria Cross (Chatto & Windous,1954,London)の全訳である。これは、本書の副題にあるように、「一群の現代カトリック系作家の想像力作用のパターン」(Imaginative Patterns in a Group of Modern Catholic Writers)の研究の批評的著作である。ドナト・オドンネルというのは本書でも用いられているが、それはドナト・オブライエンDonat Obrienのペンネームである。
(中略)
 私たちが本書で向き合うドナト・オドンネルの文学批評家としての才能の優秀さには、どの読者も感動するに違いない。そのような意味で、本書の批評的作業としての素晴らしさはめったに遭遇できない類のものである。長い間国内外の批評とつきあってきた私も、この『マリア・クロス』ほどの批評的作業に出会ったことはないのである。取り上げられる各作家の作品世界の読みの巧みさは批評世界では希有なるものであるこれが、私が本書の翻訳に乗り出した主な理由である。
 だが、オドンネルの文学的卓越性は、彼の政敵たちを悩ました。というのは、彼のこの文学的卓越性によってオドンネルは他の政治家たちとは異なる階層の人になっていたからである。現在のアイルランドの閣僚で、いやイギリスやアメリカの閣僚で、ミシュレとかモーリヤックとかカミュなどについて秀逸な文章が書ける人はいないのではないか。オドンネルはジョイスの才能を認めている。だが、オドンネルの真のヒーロはエドマンド・バークやイェーツであった。オブライエンの長いイェーツ論(“Passion and Cunning”)はイェーツの生誕百年を祝って書かれたものだが、これはこの詩人について今まで書かれたもので最高の文章の一つとして広く見なされているし、二〇世紀アイルランドを理解することを願う人にとっての最高の導入論文の一つとなっている。
 なお、『マリア・クロス』が献呈されているクリスティーヌという人は、オドンネルが大学生の時に結婚し、のちに離婚した女性で、彼女はそのときの彼の先生の娘であった。(「訳者解説」より)

(社)日本図書館協会 選定図書

著者プロフィール

ドナト・オドンネル(オドンネル,D.)

Donat O’Donnell 本名はドナト・オブライエン。アイルランドの文芸批評家。
1917年 ダブリンで生まれ。2008年 91歳で死亡。
本職は外交官だが、閣僚も経験した政治家であり、同時に歴史家、随想家、
政治評論家、学者としての多面的な顔を持った才人である。
主な著書に
観点が独立的であるのが特徴的なイスラエルに関する著作 『包囲』
エドマンド・バークの伝記である 『大いなるメロディー』
学問的な歴史家として評価されている 『パーネルとその党派』
妻との共著で有益な要約調査で何版かを重ねている『要約アイルランド史』
イェーツの生誕百年を祝って書かれた長いイェーツ論『巧妙と受難』 など。

山形 和美(ヤマガタ カズミ)

1934年生まれ。東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。文学博士(筑波大学)。
筑波大学名誉教授。
主な著書・訳書『グレアム・グリーンの文学世界』(研究社出版)
『言語空間の崇高性──ロゴスへの意志』(彩流社)
『日本文学の形相──ロゴスとポイエマ』(同)
『G・K・チェスタトン』(清水書院)
『グレアム・グリーン入門』(彩流社)
『差異と同一化──ポストコロニアル文学論』(研究社出版、編著)
スーザン・ハンデルマン『誰がモーセを殺したか──現代文学理論におけるラビ的発想の出現』(翻訳、法政大学出版局)
エドワード・サイード『世界・テクスト・批評家』(同)
ノースロップ・フライ『力に満ちた言葉』(法政大学出版局)
スティーヴン・マークス『シェイクスピアと聖書』(日本キリスト教団出版局)
アーサー・シモンズ『象徴主義の文学運動』(平凡社ライブラリー)
T・R・ライト『神学と文学』(聖学院大学出版会)
ウイリアム・キャッシュ『グレアム・グリーンと第三の女』(彩流社)ほか

目次

Ⅰ フランソワ・モーリヤック――秘密の扉
  1 太陽と雨
  2 女性と少年たち
  3 カトリック教徒と小説家
Ⅱ ジョルジュ・ベルナノスのファウスト
Ⅲ グレアム・グリーン――憐れみの詳細綿密な分析
Ⅳ ショーン・オフェイロンのアイルランド自治政策
Ⅴ イーヴリン・ウォーの敬神
Ⅵ 記憶の聖霊の宮――シャルル・ペギー
Ⅶ ポール・クローデルのラインの黄金
  1 黄金
  2 水
  3 水と黄金
Ⅷ レオン・ブロアのパラダイス
Ⅸ マリア・クロス
訳者解説——あとがきに代えて

参考文献
索引

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