湘南蛇物語タケタのタタリ

タケタのタタリ 湘南蛇物語

山影 冬彦 著
四六判 / 240ページ / 並製
定価:1,800円 + 税
ISBN978-4-7791-1611-7 C0093
奥付の初版発行年月:2011年02月 / 書店発売日:2011年02月21日
1800円+税
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内容紹介

 江ノ島鎌倉で知られる風光明媚な湘南は、閑静な住環境をもそなえている。その湘南の町中に、日本の製薬業界を代表する薬品会社が東京ドームに数倍する巨大な研究所の建設を計画した。中では創薬研究のため、国内最高度に危険な遺伝子組換(いでんしくみかえ)実験やRI(アールアイ)実験や動物実験等が組み合わされて実施され、それら諸実験で使用される空気も水も周辺地域にまき散らされる構造だという。これは一大事、服用後の害として知られる薬害が服用もしない前から創薬公害という形で発生しかねないと住民は恐れ、建設反対運動に立ち上った。
 本作品は、一方で、こうした現実の動きに取材しているが、他方で、安珍・清姫の道成寺物語、上田秋成『雨月物語』、泉鏡花『南地心中』、森鷗外『蛇』、夏目漱石『行人』等、蛇に絡む文学作品や、湘南地方に伝わる大蛇伝説「影(かげ)取(とり)おはん」にも取材している。そのため、作品は、虚実とりまぜた根も葉もある虚構小説(フィクション)と性格づけられよう。
 作品の構造は、物語の中にもう一つの物語があるという「劇中劇」である。すなわち、湘南の町中につぎはぎ増築された巨大バイオ実験場が、影取おはんとその末裔の大清水(おおしみず)おらんらの新種大蛇(おろち)=蛇族(へびぞく)郎党(ろうとう)や、その助っ人の江ノ島お龍にたたられて、ついに操業停止へと追い込まれ、廃墟と化すという筋書きの蛇(へび)芝居(しばい)をめぐって展開される。
 作品は全六章から構成される。
 「第一章 脱線――蛇芝居構想」では、視点的人物の速見(はやみ)淀(よど)治(はる)が、影取おはんや大清水おらんの縁者である水底(みなそこ) 紅(くれない)と登黒真紀(とぐろまき)を呼び込んだため、巨大バイオ実験場建設に反対する住民運動の会合において瓢箪(ひょうたん)から駒(こま)式に蛇芝居構想が持ち上がる。
 「第二章 たたき台――台本作成過程」では、速見淀治による蛇芝居の台本作成過程が描写される。影取おはん役には水底 紅、大清水おらん役には登黒真紀がそれぞれ内定する。
 「第三章 蛇芝居第一幕――魔界(まかい)奇(き)っ怪(かい)デッカイ実験場」では、「蛇降る湘南新名所 魔界(まかい)奇(き)っ怪(かい)デッカイ実験場、その実、妖怪(ようかい)排気排水塔、妖気(ようき)怪(かい)水(すい)空中散布の因果応報、奇想天外(きそうてんがい)黒雲(くろくも)靡(なび)く十五夜臨月(りんげつ)蛇(じゃ)身(しん)の面妖(めんよう)紅斑(べにまだら)」という蛇のように長い演題の蛇芝居の公演とその結果が描写される。
 「第四章 蛇芝居第二幕へ――内部告発」では、第一幕への反響から第二幕の構想が持ち上がり、道(みち)成清(なりきよ)美(み)による巨大バイオ実験場側からの内部告発も起こる。
 「第五章 江ノ島詣――望外の御利益」では、主要登場人物による江ノ島散策が第二幕の取材に結実し、江ノ島お龍の登場となる。江ノ島お龍役には道成清美が浮上する。
 「第六章 虚と虚の虚――巨大バイオ実験場の未来」では、危機管理無能力外国人所長

〔 作者紹介 〕
 作者の山影冬彦は、『坊っちゃん』『こころ』『道草』等、「漱石異説~」という形で漱石作品についての異色な評論活動に取り組んできた。今回はその実績を活用して、『行人』を素材に、評論ではなく創作の分野に新境地を拓こうとする。

著者プロフィール

山影 冬彦(ヤマカゲ フユヒコ)

作家・元高校教師。著書に『夫婦で語る「こゝろ」の謎』(木村澄子・山影冬彦 著、彩流社、2006年)、『漱石異説「坊つちやん」練想』(山影冬彦 著、文芸社、2005年)、『漱石異説「坊つちやん」連想』(山影冬彦 著、武蔵野書房、2003年)、『漱石異説二題 「坊っちゃん」抱腹・「道草」徘徊』(木村直人 著、彩流社、1994年)などがある。

目次

第一章 脱線――蛇芝居構想
第二章 たたき台――台本作成過程
第三章 蛇芝居第一幕――魔界奇っ怪デッカイ実験場
第四章 蛇芝居第二幕へ――内部告発
第五章 江ノ島詣――望外の御利益
第六章 虚と虚の虚――巨大バイオ実験場の未来

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