黄禍・ユダヤ人・男性同盟カフカの〈中国〉と同時代言説

カフカの〈中国〉と同時代言説 黄禍・ユダヤ人・男性同盟

川島 隆 著
四六判 / 294ページ / 上製
定価:2,800円 + 税
ISBN978-4-7791-1528-8 C0098
奥付の初版発行年月:2010年03月 / 書店発売日:2010年04月02日
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内容紹介

カフカが〈中国〉に見たものとは……

カフカがイメージした〈中国/中国人〉は、西洋で表象されてきた「ユダヤ人=東洋人」像につながっている。
カフカ文学に描かれた〈中国〉から、ユダヤ人男性としてのカフカが直面していた「民族問題」と「ジェンダー/セクシュアリティの問題」が浮かび上がってくる――

抽象的に読まれがちなカフカを、同時代の言説と照らし合わせ、「現実」との具体的な関わりで読み直す。

版元から一言

★第9回 日本独文学会賞(日本語研究書部門/2010.1.1~2010.12.31刊行)受賞!
★第8回(2012年)日本オーストリア文学会賞(単行本部門)受賞!

■(社)日本図書館協会 選定図書

■書評……『東京人』/苅部直氏(2010年8月号)

■NHK(Eテレ)「100分de名著」にゲスト講師出演!
 (2012年「5月の名著」として、カフカの『変身』をわかりやすく解説)

著者プロフィール

川島 隆(カワシマ タカシ)

1976年京都府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。現在、滋賀大学経済学部特任講師。専門はドイツ文学、メディア学。
著書:『非営利放送とは何か 市民が創るメディア』(共著、ミネルヴァ書房、2008年)

目次

序章 漢詩を読むカフカ①
  ――フェリーツェへの手紙に見る中国人モチーフ
  1 袁枚の「寒夜」――ハイルマン詩集より
  2 ヨーロッパが見た中国――オリエンタリズムと女性嫌悪
  3 カフカは「中国人」だった――研究史の視点
  4 ユダヤ人と中国人

第一章 ドイツ語圏の黄禍論に表れた「男性の危機」
  1 黄禍の図
  2 「情けは無用、皆殺し」――ヴィルヘルム二世の黄禍論
  3 オイレンブルク事件――ドイツ宮廷の同性愛スキャンダル
  4 カール・クラウスの『万里の長城』
  5 混淆の不安――エーレンフェルスの黄禍論と「男性解放」論

第二章 漢詩を読むカフカ②
  ――『ある闘いの記録』に姿をとどめた中国詩人たち
  1 「藪の中から裸の男たちが……」
  2 男だけの世界
  3 ハイルマンの中国文化紹介
      ――帝国主義批判と「詩人同盟」の図
  4 李白の「江上吟」と「太った男」
  5 杜甫の「渼陂行」と「祈る男」

第三章 『流刑地』のオリエンタリズム
  ――植民地主義批判とシオニズムのあいだで
  1 流刑地論争
  2 ポストコロニアルなカフカ?
  3 アナーキズムと女性嫌悪――思想家ミルボー
  4 ミルボーの『責苦の庭』
      ――オリエンタリズムと植民地主義批判
  5 「男同士の絆」から「女性の抹消」へ
  6 シオニズムの入口で

第四章 「こいつは途方もない偽善者だ」
  ――中国学者ブーバーと「中国人学者」カフカ
  1 マリーエンバートの中国人
  2 父の視線――『中国人学者』と『判決』
  3 中国服を着た息子
  4 ブーバーの「タオの教え」
      ――体験の伝達(不)可能性をめぐって
  5 カフカのブーバー受容①「老子」対「荘子」

第五章 『万里の長城』とシオニズム①
  ――「分割工事」方式で築く民族共同体
  1 「民族の輪舞」!
  2 シオニズムの隠喩
  3 カフカのブーバー受容②文化シオニズムの方向転換
      ――宗教性から「労働」へ
  4 ブーバーの宗教思想と「バベルの塔」
  5 ランダウアーの無政府主義と「分割工事」
  6 農耕民と遊牧民

第六章 『万里の長城』とシオニズム②
  ――シオニストの「労働」像に占める「男性」の位置
  1 結婚とシオニズム
  2 シオニズム寓話としての『カルダ鉄道』
  3 ユダヤ民族ホーム――シオニズムの「核心の問題」
  4 荒野の男性同盟
  5 『無産労働者団』とパレスチナ移住の夢

第七章 東方からの使者
  ――カフカが見たロシアとロシア革命
  1 「隣の州の反乱」――ロシア革命の影
  2 女人禁制のロシア
  3 「現在」に生きる――革命家ゲルツェンの回想録
  4 新聞読者カフカ――古いメディア、新しい価値観
  5 抹消される「現在」

終章 異郷の女ミレナ
  ――晩年の中国物語群と異民族「通婚」問題
  1 ミレナとの恋とロシア共産党礼賛(?)
  2 共産党員とシオニスト
  3 『拒絶』とゲルツェン回想録――「革命思想」の射程
  4 『掟の問題』とラッセル論文――新しい「貴族」
  5 『徴兵』に描かれた「通婚」の挫折
  6 おわりに

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