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知の大洋へ、大洋の知へ!

アジア経済研究所オセアニア研究シリーズ
知の大洋へ、大洋の知へ! 太平洋島嶼国の近代と知的ビックバン Modernity and Intellectual Big Bang in the Pacific Islands

塩田 光喜 編著, 石森 大知 著, 馬場 淳 著, 棚橋 訓 著, 風間 計博 著
四六判 / 256ページ / 上製
定価: 2800 + 税
ISBN978-4-7791-1510-3 C0030
[2010年01月 刊行]

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内容紹介

近代西洋世界が17世紀後半に始まった「科学革命」という知的ビックバンにより、引き金を弾かれた知的進化のプロセスの中に今もいるとすれば、太平洋の島々は19世紀初頭に始まった「文字革命」という知的ビックバンの衝撃によって、生じた巨大な知的運動を経験しつつあると言える。
そして太平洋における「文字革命」は未だ200年にすぎず、その知的可能性を汲み尽くしたどころではなく、様々な知的エレメントを発現させながらそのエネルギーはますます増大しつつあるのである。
本書はそうした、太平洋における「文字革命」下の知的爆発によって顕現しつつある様々なエレメント、様々な運動のベクトルを万華鏡的に展開したものである。読者は、文字誕生、すなわち、文明誕生直後の様々な文明に起こった原初の姿を発見することができるだろう。本書は「人間の知」とは何かという根源的な問題に対する思考の素材、しかも生き生きとした素材を提供することを、その目的とする。(「序章」より)

著者プロフィール

塩田 光喜(シオタミツキ)

1956年生まれ。東京大学教養学部教養学科文化人類学課程卒業。アジア経済研究所新領域研究センター主任研究員。『石斧と十字架ーパプアニューギニア・インボング年代記』 彩流社 (2006年)。

石森 大知(イシモリダイチ)

1975年生まれ。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士課程終了。博士(学術〉。
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 ジュニアフェロー。
論文「ソロモン諸島の『聖霊の教会』と憑依現象-クリスチャン・フェローシップ教会における過去と現在」(『宗教と社会』 第14号、2008年) など。

馬場 淳(ババジュン)

1975年生まれ。東京都立大学大学院博士課程修了。博士(社会人類学)。
日本学術振興会特別研究員(PD)。
論文「植民地主義の逆説、女たちの逆襲-パプアニューギニアにおける扶養の紛争処理とジェンダーの政治学」(『アジア経済』 第50巻第8号、2009年) など。

棚橋 訓(タナハシサトシ)

1960年生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科社会人類学専攻博士課程中退。博士(社会人類学)。
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科 教授。
『講座 世界の先住民族 ファースト・ピープルズの現在:09オセアニア』 共編著、明石書店(2005年) など。

風間 計博(カザマカズヒロ)

1964年生まれ。総合研究大学院大学博士課程修了。博士(文学)。
筑波大学大学院人文社会科学研究科 准教授。
『窮乏の民族誌-中部太平洋・キリバス南部環礁の社会生活』 大学教育出版(2003年)など。


目次


まえがき──知の大洋へ! 1

関連地図 10

序 章 知の大洋へ、大洋の知へ! ………………………………………………………塩田光喜 11

第一章 文明移植と知的変換の装置——ニューギニア高地における「祝福の神学」…塩田光喜 37
 はじめに 38
 第一節 呪術の知から近代の知へ 40
 第二節 エレペ・ノミ——呪術師の娘に生まれて 44
 第三節 マルナタ・クリスチャン・アカデミー 51
 第四節 エレペ・ノミの政治意識 56
 第五節 サリス・マロワ——神の召命を受けた男 59
 第六節 知への意志 65
 第七節 力への意志 70
 第八節 「神第一主義」と変革への意志 73
 おわりに──文明移植 83

第二章 カリスマの独占と継承
     ──ソロモン諸島における知と権力のキリスト教化………………………石森大知 91
 はじめに 92
 第一節 カリスマ論とメラネシアの宗教運動 95
  ウェーバーのカリスマ論 95  ビッグマン制社会とカリスマ概念 97
 第二節 「生ける神」のクリスチャン・フェローシップ教会 102
  自己カリスマ化と聖霊の獲得 102  カリスマの「受容」 109  カリスマの「継承」 116
 第三節 考 察 122
  カリスマの独占と外在的な権威 122  カリスマの継承と「父と子」 126
 おわりに 131

第三章 法に生きる女性たち
     ──パプアニューギニアにおける法の権力作用 ……………………………馬場 淳 133
 はじめに 134
 第一節 権力行使実践としての扶養費請求訴訟 139
  扶養費請求訴訟の概要 139  サプマの事例 143
 第二節 福祉事務所の実態 147
  福祉事務所の概要 147  カルーラ 150
 第三節 福祉事務所の権力作用 154
  事例1:アリス 154  事例2:アイリン 158  事例3:ジェニー 161
 おわりに 164

第四章 地図と権力
     ──マーシャル諸島ローラ島の地図作製をめぐる権力作用の一考察…………棚橋 訓 167
 はじめに 168
 第一節 地図・知識・権力——アンダーソンの地図論 170
 第二節 島民の眼と外来者の眼 174
 第三節 『ローラ・レポート』の成り立ち 175
 第四節 メイソンとジャベメメジの地図作製作業 183
 第五節 地図作製過程に交錯する視点 189
 第六節 ローラ島地図の流用 193
 おわりに 200

第五章 キリバス離島村落社会における集団性の生成
     ――人類学的認知論を射程に入れて…………………………………………風間計博 203
 はじめに 204
 第一節 権力・イデオロギーと認知──理論的背景 205
  知識と権力の諸関係 205  認知論の援用 208
 第二節 キリバス南部離島の集会所 212
  キリバス南部の平等社会 212  村集会所の座席と神話 215
 第三節 集団性の発動 221
  生産への集団的統制 221  個人的所有への集団的介入 227
 第四節 饗宴の生み出すリミナリティ 230
  集会所における饗宴と娯楽 230  饗宴における招待客 234  娯楽と感覚の過剰 235
 第五節 感覚の過剰による集団性の生成──考察 239
 おわりに 243

参考文献……………………………………………………………………………………………………254
 

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