アフリカ系アメリカ人の歴史と芸術的創造性トニ・モリスン『パラダイス』を読む

トニ・モリスン『パラダイス』を読む アフリカ系アメリカ人の歴史と芸術的創造性

森 あおい 著
四六判 / 275ページ / 上製
定価:2,800円 + 税
ISBN978-4-7791-1411-3 C0098
奥付の初版発行年月:2009年02月 / 書店発売日:2009年02月16日
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内容紹介

『パラダイス』(1998)で読み解く《アフリカ系アメリカ人》(黒人)の歴史。
白人によって書かれた「黒人不在の歴史」に異議を唱え、作品で歴史の再構築を試みるトニ・モリスン。
アメリカ建国から200年目の1976年で物語が始まる『パラダイス』には奴隷制時代、南部再建期時代、黒人の大移動、公民権運動等、黒人の壮大な歴史が反映されている。本書では『パラダイス』に描かれる「黒人の歴史」を読み解き、モリスンの創作世界に迫る。

▼作品に登場する膨大な登場人物を「家系図」でわかりやすく紹介。
▼史実と作品内の出来事を対照した「関連年表」、「アメリカ全図・オクラホマ州地図」付。

版元から一言

■(社)日本図書館協会 選定図書
■書評……『図書新聞』/深瀬有希子氏(2008年6月20日)
     『英文学研究』第87巻/風呂本惇子氏(2010年12月)
     『アメリカ文学研究』第47号/吉岡志津世氏(2011年3月)

著者プロフィール

森 あおい(モリ アオイ)

東京女子大学卒業。ニューヨーク州立大学バッファロー校大学院博士課程修了(トニ・モリスン研究で博士号取得)。プリンストン大学アフリカン・アメリカン・スタディーズ客員研究員。
現在:広島女学院大学教授。
主な著書:Toni Morrison and Womanist Discourse(Peter Lang,1999)
『現代作家ガイド4 トニ・モリスン』(共編著、彩流社、2000)
『英語世界のナビゲーション』(共著、青踏社、2003)
『ハーストンと娘たち―点と線・見えざるものの顕在化』(共著、南雲堂フェニックス、2007)

目次

▼はじめに
モリスンのバックグラウンド
『パラダイス』と歴史
モリスンの歴史観
『パラダイス』とアフリカ系アメリカ人の歴史
文学と歴史
本書の構成・執筆に関して

▼第1章 植民地主義と奴隷制
『パラダイス』の展開
ブラジルとポルトガルの植民地主義
コニーを通して見るポルトガルの植民地主義
オクラホマの修道院と孤児としてのコニー
故郷の記憶
コニーとディーコンの出会いと自我の目覚め
コニーとディーコンの別れの兆し
灰人間の彫像群
ディーコンとの別れと自己表現の模索
自立の妨げ
オクラホマとカトリック
トックヴィルから見たアメリカ先住民
涙の旅路
アラパホ族とヘイヴン
クラリッサとペニーの抵抗
ドーズ法
同化政策の限界

▼第2章 民主主義(デモクラシー)の夢とオクラホマへの入植
『パラダイス』と民主主義
南部再建期
アフリカ系アメリカ人の社会進出と失脚
南部再建政策の翳り——不況と共和党の敗北
アフリカ系アメリカ人の公民権の危機
公民権法の衰退
解放黒人貯蓄信託銀行の経営破綻
北部への「大移動」
西部移動の背景
『パラダイス』における西部開拓とアフリカ系アメリカ人同士の軋轢
ヘイヴン建設と民主主義
ブラック・コミュニティの繁栄と問題
第一次世界大戦とアフリカ系アメリカ人への暴力
タルサの人種暴動
暴動の背景
人種暴動の記憶
パトリシアによる歴史の書き直し
ユートピアの矛盾
モーガン家とフリートウッド家に見る家父長制
オーヴンの神格化
「神の皺」を巡る論争
神秘的な友人の存在
八岩層に見る人種差別
「町の公認の歴史」の影に隠れた女性
「引き継ぎ」と家父長制
「町の公認の歴史」に対する挑戦
KDの出自とモーガン家の跡取り
KDとアーネットの結婚式
修道院とルービィの対立
ヴェトナム戦争の影響
民主主義の破綻

▼第3章 公民権運動の記憶
公民権運動
モリスンと公民権運動
『ソロモンの歌』に見る公民権運動の影響
『記憶に留めて』と次世代へ語り継ぐ公民権運動
『パラダイス』における公民権運動
スチュワードとマイズナーの対立に見る公民権運動
高等教育機関における人種統合と人種隔離(1)——エイダ・ロイス・シピュエル・フィッシャーとオクラホマ大学法科大学院
高等教育機関における人種統合と人種隔離(2)——G・W・ マックローリンとオクラホマ大学大学院教育研究科
黒人学生の入学許可
スチュワードと公民権運動
オクラホマシティの「座り込み」
グリーンズボロの「座り込み」
「座り込み」と世代の隔たり
『パラダイス』における世代の隔たり
記録に残されていない公民権運動——ウィチトーの「座り込み」
セネカとウィチトー
公民権運動と個人的な体験
ジジと公民権運動
一般市民と公民権運動の関わり

▼第4章 異端の魔女の系譜——イシスからピエダーデにいたるまで
修道院の女性と異端排除
エバとマリアと魔女
魔女狩り
コニーと癒し
『パラダイス』のエピグラフとグノーシス主義
「雷、完全な心」のナレーター、イシスとブラック・マリア
聖母と娼婦
修道院と魔女の集まり
助産師と家父長制
魔術の継承——ローンからコニーへ
「ステップ・イン」と自我の目覚め
言葉と自己解放
言語と喪失感からの回復
言葉とコミュニケーション
傷ついた過去と癒しの料理
パラスの過去
ジジの過去
メイヴィスの過去
セネカの過去
コニーからコンソラータへ——主体性の回復
儀式
哀しみのピエタと聖母マリア
セイヴ=マリーとピエダーデ
海の女神——ピエダーデとイエマンヤ
魔女の系譜

▼あとがきにかえて
モリスン学会と「道端のベンチ」プロジェクト
ルーヴル美術館での特別展「外国人の家」と他者の存在

関連書

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