アイルランドが生んだ現代最高の短編作家と評価されるトレヴァー円熟期の作品。多弁を避け、行間ににじませる余韻によって余すところなく登場人物の意識の動きを描き切る作者独特の心理描写の手法で紡ぎだされた珠玉の12編。
■訳者の一言から
作品では、いつも事件が起こる。殺人、不慮の死、不倫、離婚等々。しかし作品のモチーフは事件そのものにない。作者の目はひたすら事件に至るまでのプロセスにむけられる。
さまざまな人物が登場するが、その誰もが確かな存在感を持ち、真実みがある。それを可能にしているのは、トレヴァーが二つの声——ひとつは作者としての声、もうひとつは登場人物の声——を微妙なバランス感覚を保ちながら自由に駆使しているからではないだろうか。
トレヴァーの目は鋭く、確かである。彫刻家でもある作者の鋭い刀の冴えが、私の中で自分と同類の人間を紹介してくれる。そのリアリズム故に、私はトレヴァーの作品に魅せられる。
男性であるトレヴァーに、かくもデリケートな女性の心理が分かるのか? 彼にとって、女性それぞれの心の細やかさ、移ろいやすさ、しなやかさと強靭さなど、限りない興味の対象なのだろう。そんな繊細な女性の心の動きは、男性が優しく理解し、いたわるべき宝物だというかのように、女性の心を品よく描く。
(社)日本図書館協会 選定図書
Willam Trevor Cox 1928年、アイルランド・コーク州生まれ。本書はペンギン社版トレヴァー短編集『After Rain』(1996)の全訳。
邦訳書に
・短編アンソロジー『聖母の贈り物 短篇小説の快楽 』(国書刊行会、栩木伸明訳、2007年)
・短編集『密会』(新潮社(新潮クレスト・ブックス)、中野恵津子訳、2008年)
・短編集『リッツホテルの天使達』(ほおずき書籍、後恵子訳、1983年)
・長編小説『同窓』(オリオン社、鈴木英也訳、1981年)
・長編小説『フールズ・オブ・フォーチュン』(論創社、岩見寿子訳、1992年)
・長編小説『フェリシアの旅』(角川書店(角川文庫)、皆川孝子訳、2000年)アトム・エゴヤン監督映画化原作。
・短篇所収『20世紀イギリス短篇選(下)』「欠損家庭」(ウィリアム・トレヴァー)(岩波書店(岩波文庫)、小野寺健編訳、1987年)・短篇所収『むずかしい愛―現代英米愛の小説集』「ピアノ調律師の妻たち」(ウイリアム・トレヴァー) (朝日新聞社、柴田 元幸・畔柳 和代訳、1999年)ほか。
「ギルバートの母」
「失われた地」
「ダミアンとの結婚」
翻訳担当
「ティモシーの誕生日」
「小遣い稼ぎ」
「アフター・レイン」
翻訳担当
「ある友情」
「一日」
翻訳担当
「ピアノ調律師の妻たち」
「子どもの遊び」
「未亡人姉妹」
「馬鈴薯仲買人」
翻訳担当
アフター・レイン
●収録作品
ピアノ調律師の妻たち…鈴木 邦子 訳
ある友情…………………佐治 小枝子 訳
ティモシーの誕生日……神谷 明美 訳
子供の遊び………………鈴木 邦子 訳
小遣い稼ぎ………………神谷 明美 訳
アフターレイン …………神谷 明美 訳
未亡人姉妹………………鈴木 邦子 訳
ギルバートの母 …………安藤 啓子 訳
馬鈴薯仲買人……………鈴木 邦子 訳
失われた地………………安藤 啓子 訳
一日 ………………………佐治 小枝子 訳
ダミアンとの結婚 ………安藤 啓子 訳
ウィリアム・トレヴァーについて
トレヴァーの作品を訳して………………
あとがき
ウィリアム・トレヴァーについて
トレヴァーの作品を訳して………………
あとがき ■訳者の一言から
作品では、いつも事件が起こる。殺人、不慮の死、不倫、離婚等々。しかし作品のモチーフは事件そのものにない。作者の目はひたすら事件に至るまでのプロセスにむけられる。
さまざまな人物が登場するが、その誰もが確かな存在感を持ち、真実みがある。それを可能にしているのは、トレヴァーが二つの声——ひとつは作者としての声、もうひとつは登場人物の声——を微妙なバランス感覚を保ちながら自由に駆使しているからではないだろうか。
トレヴァーの目は鋭く、確かである。彫刻家でもある作者の鋭い刀の冴えが、私の中で自分と同類の人間を紹介してくれる。そのリアリズム故に、私はトレヴァーの作品に魅せられる。
男性であるトレヴァーに、かくもデリケートな女性の心理が分かるのか? 彼にとって、女性それぞれの心の細やかさ、移ろいやすさ、しなやかさと強靭さなど、限りない興味の対象なのだろう。そんな繊細な女性の心の動きは、男性が優しく理解し、いたわるべき宝物だというかのように、女性の心を品よく描く。
(社)日本図書館協会 選定図書 アイルランドが生んだ現代最高の短編作家と評価されるトレヴァー円熟期の作品。多弁を避け、行間ににじませる余韻によって余すところなく登場人物の意識の動きを描き切る作者独特の心理描写の手法で紡ぎだされた珠玉の12編。
2009 年 2 月 14 日 10:55 AM
CONGRATULATIONS on the recent publication, アフターレイン, a Japanese translation of William Trevor’s “After Rain,” a collection of 12 short stories, translated by four women, ANDO Keiko, KAKIYAMA Akemi, SAJI Saeko, & SUZUKI Kuniko, who worked together to bring Trevor’s work to a Japanese audience through a labor of love which the translators devoted voluntarily their time, energy, and own resources, over a course of almost three years.. The book also includes appendixes containing a biography of Trevor, as well as information on Trevor’s prolific prize-winning literary works, and additional insights from the translators. Every title page for each of the twelve short stories contains a specially drawn sketch by YAMADA Chizuko. The book design is superb and how I do hope many will further enjoy stories of Trevor’s.
2009 年 2 月 18 日 9:30 PM
>P. McGahan様
Thank you for your comment. Trevor and I will continue to publish translations of foreign literature of many. Thank you also.”
2009 年 3 月 24 日 9:55 AM
“Dear P. McGahan:
Thank you very much for your kind comment about Trevor’s book “”アフター・レイン (After Rain)”" which we translated recently. It is great encouragement for translators to receive some comment from the readers. Your comment covers all the aspect of our book precisely. I sincerely appreciate your thoughtful comment
as one of the translators. Best wishes, K. Suzuki”