■ 「自然」や「恋愛」「理想」というような、もともとは近代ヨーロッパに出自す
る「観念」は、日本近代の文学をめぐる言説のなかでどのように生きられたのだろう
か。
■ 本書では、百年余にわたる日本近代の歴史のなかで、最も大きな転換期であ
る1890年代から1920年代にかけての時期いわゆる世紀転換期に焦点を絞りながら、
夏目漱石・国木田独歩・森鴎外・石川啄木・島村抱月・芥川龍之介らの作品や言説を
通して、「自然」「恋愛」「理想」「ユートピア」「検閲」「家父長制」「大衆文化」
「検閲」等の問題系をめぐる日本近代文学の断面を焙り出すことを試みる。
(社)日本図書館協会 選定図書
1946年島根県生まれ
早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了
現 在 関東学院大学文学部教授
専 攻 日本近代文学
著 作 『世紀末の自然主義 明治四十年代文学考 新鋭研究叢書 9』(岩佐 壮四郎著、有精堂出版、1986年)、第20回サントリー学芸賞受賞作『抱月のベル・エポック 明治文学者と新世紀ヨーロッパ』(岩佐 壮四郎著、大修館書店、1998年)
目 次
1
「自然」という思想──世紀転換期を中心に
没理想論争と島村抱月──「理想」をめぐって
〈婿捜し譚〉から〈恋愛小説〉へ──夏目漱石『三四郎』の場合
2
検閲・家父長制・女優──『故郷』上演をめぐって
長田幹彦とは誰か──宇野浩二『苦の世界』
「写真」との対話──国木田独歩『少年の悲哀』と魯迅『藤野先生』
青果の〈場〉──真山青果『枝』と王権の交代
大衆社会と演劇──藝術座の「二元の道」にふれて
3
啄木の新世紀──ニーチェ主義・「聖性破壊」・「芸術」の聖化
歌わない啄木──井上ひさし『泣き虫なまいき石川啄木』を通して
愛欲小説・その一面──近松秋江『黒髪』の場合
「八ツ橋」の笑い・『黒髪』・〈宿命の女〉
森鴎外・シュニッツラー・山本有三──フロイトの影
4
ブルームズベリー・グループと白樺派──その同時代的血縁関係
芥川的エクリチュールをめぐって
──その1『大導寺信輔の半生』と三島由紀夫『仮面の告白』
──その2『蜜柑』と有島武郎『旅する心』
5
〈雅号〉の終焉──〈文人〉から〈芸術家〉へ 〈著者紹介〉
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