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人道主義は、キリスト教系やユーゴー、トルストイその他の思想家や文学者たちの受容と大正デモクラシーとも結びついて広範に広まった。白樺派は人道主義的であることを一大特徴とし、かつトルストイから大きな影響を受けている。本多秋五は、人道主義という言葉はもともとトルストイの教説の輸入と結びつき、とりわけ白樺派の人道主義はトルストイと繋がりが深かったと指摘している。白樺派に人道主義という名称をつけたのは批評家木曾毅であった。
トルストイは明治20年代からよく知られ、30年代後半には『復活』や『アンナ・カレーニナ』等の主要文学著作が翻訳紹介され、他方では『懺悔』『わが信仰はいずこにありや』等の主要宗教著作が翻訳紹介されて、思想家宗教家としてその名声がきわめて高まった。そして、日露戦争最中の非戦論文「反省せよ」(邦訳「トルストイ翁の日露戦争論」)によって、その声望が一挙に高まり、トルストイ人気が非常に上昇することになった。40年代、トルストイ人気はさらに高まり、43年の死によって高揚が頂点に達した時、雑誌『白樺』は創刊された。
白樺派の人々はトルストイばかりではなく、世界中の多くの文学者たちと交渉をもち、また、芸術の分野にまで活動範囲はひろがっているが、その基底にトルストイ文学と思想、その人道主義があったと見ることができる。
≪読者の意見≫
武者野小路とトルストイの関連を、これほど深く追求した論集は、これまで無かったのではなかろうか。トルストイとの関わりを作品、実践(新しい村運動など)との結びつきを通して考察し、武者小路文学の理解を一歩進めた好書と言える。
(80歳代 男性)
1939年宮城県生まれ。
早稲田大学露文科卒業。同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。
筑波大学講師、助教授を経て同大学教授(現代語・現代文化学系)。
2003年定年退職、現在筑波大学名誉教授、日本トルストイ協会理事。
専攻はロシア文学・文化、旧ソ連邦の地域研究、比較文学。
主な著作・論文
『シベリア強制抑留の実態』(彩流社、2005年)
『独習ロシア語』(大学書林、2005年)
『徳富蘆花とトルストイ』(彩流社、2002年・2008年「改訂増補版」)
『ソ連邦崩壊と文学』(彩流社 、1999年)
『バフチンを読む』(編著、NHKブックス(日本放送出版協会)、1997年)
『ソ連社会の行方 ペレストロイカの残したもの』(彩流社、1991年)
『ペレストロイカの文学 現代ソビエトの文学闘争』(彩流社、1990年)
『ロシア語会話練習帳』(L.ゴルボフスカヤとの共編、大学書林、1989年)
『ロシア語分類語彙集』(山田恒との共編、大学書林、1981年)
『ロシア語基本文1000』(ゾーヤ・オーコニとの共著、大学書林、1979年)他。
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