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19世紀半ば〜20世紀初頭の女性作家の作品に鮮やかに生きる「女詐欺師」たち。
「家庭小説」のヒロインから「新しい女」まで、伝統的コンフィデンス・マンとの対比で浮かびあがるコンフィデンス・ウーマンの肖像。
経済的自立を果たそうと苦闘した女性作家のジャーナリズムとの関係と、メディア空間に生きたヒロインたちのだましの戦略と主体を分析する。
■主に取り上げる作家・作品■
E.D.E.N.サウスワース
『見えざる手』(1859)
ハリエット・ビーチャー・ストー
『アンクル・トムの小屋』(1852)
ルイザ・メイ・オルコット
「仮面の陰で」(1866)「V・V」(1865)
シャーロット・パーキンズ・ギルマン
『ベニグナ・マキャヴェリ』(1914)
イーディス・ウォートン
『国の慣習』(1913)
■書評……『英語青年』進藤鈴子氏(2006年9月号)
『神奈川大学評論』板橋好枝氏(第55号 2006年11月)
『英文学研究』市川美香子氏(2007年 第84巻)
神奈川大学教授。著書に『E.A.ポーの短編を読む』(共編著、勁草書房、1999)、『ヒロインから読むアメリカ文学』(共著、勁草書房、1999)、『ジェンダー・ポリティクスのゆくえ』(共著、勁草書房、2001)、『ポーと雑誌文学』(共編著、彩流社、2001)、『ヒーローから読み直すアメリカ文学』(共著、勁草書房、2001)『アメリカ文学にみる女性と仕事』(共編著、彩流社、2006)など。
訳書に『歓楽の家』(イーディス・ウォートン 著、共訳、荒地出版社、1995)ほか。
■序章 元祖アメリカン・コンフィデンス・マン
1 報道された新語
オリジナル・コンフィデンス・マン
トンプソン事件とメルヴィル、ほか
2 行商人からコンフィデンス・マンへ
スリックの詐欺商売
ヤンキー行商人、旧南西部を行く
メルヴィルのコンフィデンス・マン、行商人になる、ほか
3 詐欺師たちのいる空間
フロンティアという空間
野外集会の対決、ほか
4 アメリカン・コンフィデンス・マン
アメリカ人の特質
悪漢・間抜け・天才
■第1章 女詐欺師の登場する風景
〜サウスワース『見えざる手』
1 キャピトーラ、コンフィデンス・ウーマン
コンフィデンス・マンからコンフィデンス・ウーマンへ
女性小説と女詐欺師
2 『レジャー』紙とサウスワース——その人気の秘密
新しい読者と物語新聞の経営戦略
小説の大量生産、ほか
3 ニュー・ヒロインからコンフィデンス・ウーマンへ
ジェンダーをこえるヒロイン
「女らしくない」ヒロインを描く戦略
「おてんば娘」の原型
4 コンフィデンス・ウーマン出現の背景
現代にも通じる魅力
極限状態を生き抜くための詐欺行為
男性詐欺師との違い、ほか
5 「黒い」コンフィデンス・ウーマン
黒いアリュージョン
ジェンダーをこえる闘い
女性解放と黒人解放
■第2章 奴隷制に打ち勝つ屋根裏の女詐欺師
〜ストー『アンクル・トムの小屋』
1 ストーのコンフィデンス・ウーマン
混血奴隷の女詐欺師
家庭小説と抗議小説、ほか
2 「男の領域」と「女の領域」
男のビジネスとしての奴隷制
「女の領域」を侵食する奴隷ビジネス、ほか
3 女の力による社会変革
家父長制と対立する母性
女の価値観の総体、ほか
4 混血奴隷の詐欺戦略とその意味
歴史を総括するゲーム
死んだ女性たちとの連帯、ほか
5 新聞連載小説から女性向け単行本小説へ
文学市場を意識した作品
読者に受け入れられる「悪女」
ハッピー・エンドの演出
■第3章 女の職業としての詐欺師
〜オルコット「仮面の陰で」「V・V」
1 オルコットのコンフィデンス・ウーマン
一人生き抜くための詐欺、ほか
2 オルコットと大衆週刊新聞
センセーショナル小説の枠組み
大衆作家に対するアンビヴァレンス、ほか
3 女が働くということ
生計を立てるための演技
「幸せな女性たち」と自活の厳しさ
白人中産階級女性にとっての仕事
階級とジェンダー、ほか
4 女が詐欺を働くとき
女ゆえの詐欺
「家庭の天使」を演じる
労働と階級
5 「悪女」になる理由、「悪女」を描く理由
キャリアとしての詐欺
権力の逆転
作者のペルソナとしてのコンフィデンス・ウーマン、ほか
■第4章 「新しい女」の模範を示す詐欺師
〜ギルマン『ベニグナ・マキャヴェリ』
1 ギルマンのコンフィデンス・ウーマン
「新しい女」出現の背景、ほか
2 ベニグナ・マキャヴェリ、コンフィデンス・ウーマン
家族を救うための詐欺
父親を排除するゲーム、ほか
3 「不自然な娘」の改革
家長の苦しみ、ほか
4 人権を侵害された少女から「新しい女」へ
ジェンダーをこえる能力
女性版ハック・フィン、ほか
5 若い「普通の」女性のための文学
「男性化」した文学への挑戦
読書によって学ぶ能力、ほか
■第5章 ヨーロッパを征服するアメリカン・コンフィデンス・ウーマン
〜ウォートン『国の慣習』
1 ウォートンのコンフィデンス・ウーマン
「新しい女」の古い生き方
アメリカ的成功物語の女性版、ほか
2 ビジネス・ウーマンからコンフィデンス・ウーマンへ
「多彩で変わりやすい」ということ、ほか
欲望とアイデンティティ
3 「国の慣習」への復讐
「女の領域」における出世ゲーム
出世ゲームにおけるジェンダー、ほか
4 「アメリカン・ビューティ」のヨーロッパ攻略
アメリカの慣習を盾にヨーロッパへ
アメリカン・ガールのヨーロッパ征服、ほか
5 社交ジャーナリズムの女旗手
情報を売るセールス・ウーマン
社交ジャーナリズムの興隆
ジャーナリズムによる自己演出
アンディーンはゲームのほんとうの勝利者か、ほか
■第I部 物語作家の挑戦〜カラクリをしかけるポー
▼第1章 はじめに『ユリイカ』ありき〜単純さへの熱望
1 破滅への道
2 真実へいたる道
3 神の心臓
4 神のプロット
5 『ユリイカ』による改訂
▼第2章 楽園物語〜詩人の夢
1 宇宙論から楽園物語へ
2 楽園喪失〜「エレオノーラ」
3 幻想のヴァージンランド〜「ウィサヒコンの朝」
4 人工庭園〜「アルンハイムの地所」
5 理想の構成美
▼第3章 冒険物語〜アーサー・ゴードン・ピムの反転する世界
1 長編小説をめぐる評価のズレ
2 虚と実のあやうさ
3 偶然に翻弄される世界
4 無意識界への急降下
5 裏返された白いページ
▼第4章 美女物語〜精神と肉体の相克
1 死の恐怖と書くこと
2 創造と狂気〜「約束ごと」「ベレニス」「モレラ」
3 精神と肉体の相克〜「ライジーア」と「アッシャー家の崩壊」
4 恐怖と美
▼第5章 推理小説〜芸術と大衆のはざま
1 推理小説の誕生
2 物語と批評の融合〜「モルグ街の殺人」
3 富と芸術の融合〜「マリー・ロジェの謎」と「黄金虫」
4 ゴシック小説への回帰〜「盗まれた手紙」
5 推理小説から宇宙論へ
■第II部 北部文壇への挑戦〜反動からアメリカ文学創生へ
▼第6章 「眼」をめぐる物語I〜「私」の住処は頭か胴体か?
1 ポーと超越主義
2 エマソンの超越〜消える肉体/残る眼
3 「ある苦境」〜消えない肉体
4 「悪魔に首を賭けるな」〜消えた頭部
▼第7章 「眼」をめぐる物語II〜信頼できない自己
1 「私」を見つめる「私」
2 「アッシャー家の崩壊」〜個人主義とナルシシズム
3 「ウィリアム・ウィルソン」〜一つではない自己
4 「群衆の人」〜理解されない自己
5 読まれざるテクスト
▼第8章 「眼」をめぐる物語III〜見つめ返す眼
1 「ライジーア」〜宇宙を映す眼
2 「告げ口心臓」〜濁った眼
3 「黒猫」〜えぐられた眼
4 介在する自己意識
▼第9章 ふたたび『ユリイカ』へ〜収縮する宇宙/膨張するアメリカ
1 『ユリイカ』の雑多な言説
2 物質と精神の完全なる変換可能性
3 認識のコペルニクス的旋回
4 アメリカの叙事詩 (社)日本図書館協会 選定図書
■書評……日本経済新聞(2007年7月15日)
『図書新聞』「2007年上半期読書アンケート」巽孝之氏選(2007年7月28日)
『英語青年』伊藤詔子氏(2007年11月号)
「アメリカ学会会報」No.167 鵜殿えりか氏(2008年7月号)
『アメリカ文学研究』No.45 西山智則氏(2008年) ポーには、すでに現存するものから、事の始まりを説明する傾向がある。
晩年の宇宙論『ユリイカ』(1848年)を軸に、ポーの作品の社会性や政治性、文化的言説をたどり、アメリカ・ルネッサンス期を照射する。
作品の「カラクリ」を披露することで、読者に作品の読み方を誘導し、物語の虚構性を暴露するポーのメタフィクション性を浮き彫りにする。
タグ: アメリカ文学(評論), エドガー・アラン・ポー
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