国立公園は誰のものか―ルポ 新尾瀬を歩く

国立公園は誰のものか―ルポ 新尾瀬を歩く

木村 英昭 著, 足立 朋子 著
四六判 / 286ページ / 上製
定価:2,200円 + 税
ISBN978-4-7791-1530-1 C0036
奥付の初版発行年月:2010年07月 / 書店発売日:2010年07月15日
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内容紹介

国の主導で進められた新尾瀬国立公園。環境の先進地として知られるこの地で、人びとはどう暮らし、何を思っているのか――届かない地元の人の声や暮らしに、四季を通じて丹念に寄り添った渾身のルポ。

前書きなど

 2007年8月30日、尾瀬国立公園は誕生した。
 福島、群馬、新潟、栃木の4県で分けるこの新しい国立公園は、釧路湿原(北海道)の指定以来、20年ぶり、29カ所目の国立公園となった。尾瀬地域を日光国立公園から分離・独立させ、会津駒ケ岳、田代・帝釈山の両地域を新しく編入する、これまでに例が無い手法が採られた。
 人を導き入れる美しさがそこにはある。だから、国立公園はやって来る。そして、そこには何よりも人の暮らしが根付いていた。昔から人の営みを受け入れてきた尾瀬ならではの匂いがこの国立公園にはあった。
 自然の美しさに人は目を奪われがちだ。そこにある「何か」を時に覆い隠してしまう。国立公園とは何か、どのように指定されていくのか―。人の暮らしと思いに寄り添いながら、尾瀬国立公園誕生の意味を読み解いた。
 てくてくと現場を歩いた。(「まえがき」より)

版元から一言

 山道を切り開き、山小屋を建て、祠を守り続けてきた先達に思いを馳せると、涙が溢れ、押さえることができなくなった――

 尾瀬国立公園。福島、群馬、新潟、栃木の4県にまたがる地に、新しい国立公園がやって来た。
 尾瀬地域を日光国立公園から切り離し、会津駒ヶ岳、田代・帝釈山の両地域を新しく編入する、これまでに例のない手法で誕生した。
 「環境省はここに1回も来たことねえな」
 「どうせエライ人だけで決めんだべ」
 「人が集まるのはいいが、山が荒らされては心配だ」
 
 国立公園とは何か――
 届かない地元の人たちの声や暮らしに、四季を通じて丹念に寄り添った渾身のルポ

 20年ぶりの国立公園誕生に沸く中で省みられることなく零れ落ちていった人群れの言葉に耳を傾け、その言葉の一葉一葉をここに書き残しておきたい。(本文より)

(社)日本図書館協会 選定図書

著者プロフィール

木村 英昭(キムラ ヒデアキ)

1968年鳥取県生まれ。朝日新聞記者。福島県郡山支局(2006~2010年)を経て現在、東京本社地域報道グループ。主著『ヤマは消えても――三池CO中毒患者の記録』(1997年、葦書房)、共編著『三井三池炭じん爆発事件史料集成Ⅰ期、Ⅱ期』(2005年、2007年、柏書房)。

足立 朋子(アダチトモコ)

1973年大分県生まれ。朝日新聞記者。2007年より福島県会津若松支局勤務。一児の母。

目次

プロローグ
■第一章 夏、そして秋へ
霧が守る「雲上の楽園」
登山道作り、山を守る
荒れる登山道、植物は消え
湿原の直下、崩落続く
活性化、「出来る事から」
支援失い、細る茅屋根
客も加わり新しい「結」
木賊口、原生の佇まい
入山阻む、鍵付きゲート
開山の思い、今に語り継ぐ
山頂の道標、融和を探る
登山道開拓、手弁当で
「異状アリ」日報に克明
新婚の思い出は永遠に
閉じていた県境の古道
■第二章 秋、駆ける
燃える季節、到来
登山者との談笑、心待ち
森と生きた歴史伝える
山道の奥、夫婦が守る宿
家族同然、常連は助っ人
「ふる里」継ぐ三代目
「ゴミ残さぬ」、続く工夫
自然の「知恵・思い」学ぶ
若者たち、「素の自分」に
■第三章 冬のまち、春待つ人びと
冬耐え、緩む花芽
雪原、痛いほど照り返し
移動商店、助け助けられ
暮らし支える布草履
スキー場、生活の助け
緩む花芽、山開き近く
旬の充実を渡り歩く
伝統継ぐ5歳、初舞台
役者絵に「思い」込め
出作り小屋、集う場に
昔ごっつおうに舌鼓
始まる2人の山小屋
■第四章 初夏の風が吹いたら
畳の縁は恩返しの品
背中の重み、充実運ぶ
歩荷の休日、田んぼに
便り届け、喜びもらう
山小屋、くつろぎ提供
縁起よく、お神楽逗留
魅力守る味方増えた
新しい校歌に花開く
■第五章 夏、ふたたび
<シカの食害> 警戒心なく闇に群れ活動
<崩落> 「湿原まで」地元に焦り
<トイレ> 「持ち帰り」しませんか
<所有者の企業> 開発やめ保護から実り
<木道整備> 欠かせぬ自然との調和

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