あの南天の木はまだあるか満州「被差別部落」移民

満州「被差別部落」移民 あの南天の木はまだあるか

麻野 涼 著
四六判 / 487ページ / 上製
定価:2,800円 + 税
ISBN978-4-7791-1320-8 C0022
奥付の初版発行年月:2007年12月 / 書店発売日:2007年12月14日
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内容紹介

差別のない豊穣と自由の大陸、満州へ——。国策によって大陸へ送り出された移民史上ただひとつの被差別部落。偽りの希望の果ての集団自決……。貧困と差別を生き抜いた主人公がたどり着いた真実と希望。史実を元にした感動長編。

満州に行けば差別されずにすむと移住したとですが、それはまったくの嘘だった。熊本には菊鹿郷開拓団が送り出されています。わしらK町開拓団は最初から計画的に部落の者だけを集めて満州に送られた。
満州では差別から解放されたような気分になっておったとですが、わしらは目隠しされておったのと同じことです。部落差別を覆い隠したのは中国人に対する民族差別たい。わしらもここにいる康衛と同じだったと。差別は、もっと弱か者ば見つけて、また新たな差別を生み出すとです。そこで差別された者は、さらに弱か者ば探す。そげんこつしておったらいつまで経っても差別はなくならんとです。(本文より)

前書きなど

プロローグ
 K町の南を流れる菊池川で小魚を獲って遊んでいると、近所に住む子供がやって来て仲間に加わった。一緒に遊んでいると、その子供の母親が偶然に土手を通りかかる。母親が血相を変えて土手を下りて川岸に走ってくる。
「あんた、どこの子ね」
 刺すような視線を投げつけながら豊田大地郎に聞いてくる。
「Mたい」
「二度とうちの子と遊んだらならんけんね」
 こう言い放ち、自分の子供の手を引き、土手を上っていく。こんな経験を何度も繰り返しているうちに、Mという字名に忌み嫌われる原因があることがわかってくる。しかし、何故嫌われるのか、その理由は大地郎にも、M地区で暮らす他の子供たちにも理解できなかった。

版元から一言

(社)日本図書館協会 選定図書

著者プロフィール

麻野 涼(アサノ リョウ)

1950年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、ブラジルへ移住。サンパウロのパウリスタ新聞社勤務を経て、1978年帰国。高橋幸春名義でノンフィクションを執筆。1987年、『カリブ海の「楽園」』で第6回潮ノンフィクション賞受賞。1991年、『蒼氓の大地』で第13回講談社ノンフィクション賞受賞。麻野涼名義で、社会問題をテーマにした骨太の小説を次々、発表。  著書に、高橋幸春名義で…『死刑判決は「シルエット・ロマンス」を聴きながら』(林眞須美 著、長冨俊和との共編、講談社、2006年)『日本一のわたしの母へ涙でありがとう』(東林出版社、1998年)『日系人その移民の歴史』(三一新書、1997年)『愛が引き裂かれたとき』(石飛仁との共著、解放出版社、1996年)『車椅子の挑戦者たち』(東林出版社、1996年)『絶望の移民史』(毎日新聞社、1995年)『パウラちゃんのニッポン日記』(国土社、1995年)『悔恨の島ミンダナオ』(講談社、1994年)『蒼氓の大地』(講談社文庫、1994年)『日系ブラジル移民史』(三一書房、1993年)『ドミニカ移民は棄民だった』(今野敏彦との共編、明石書店、1993年)『行こか戻ろか出稼ぎジャポン』(講談社、1992年)『蒼氓の大地』(講談社、1990年)『カリブ海の楽園』(潮出版社、1987年)、麻野涼名義で…『GENERIC』(徳間書店、2007年)『闇の墓碑銘』(徳間書店、2006年)『国籍不明 上』『国籍不明 下』(講談社、2003年)『天皇の船』(文藝春秋、2000年)などがある。

目次

第一章   帰国
第二章   皇紀二千六百年
第三章   ささやかな希望
第四章   赤い血
第五章   鍬の戦士
第六章   部落差別
第七章   短命
第八章   熱気
第九章   分散
第十章   先遣隊
第十一章  第一次本隊
第十二章  旅立ち
第十三章  恩師
第十四章  新天地
第十五章  楽園
第十六章  邂逅
第十七章  第二次本隊
第十八章  豊穣
第十九章  住民運動
第二十章  連鎖   
第二十一章 現地応召
第二十二章 政治献金
第二十三章 劉一家
第二十四章 八・一五
第二十五章 説明会
第二十六章 集団自決
第二十七章 南天の木

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