ブッシュ再選、歴史に名を遺すのは“悪名”か“自由の偉大な指導者”か!(news050)

2004 年 11 月 22 日 月曜日

世界の注視の中で、ブッシュは再選された。米国内での支持と世界での不支持という特異な状況での再選であった。ブッシュを選んだ米国民は、都市と地方で二分されたともいわれるが、9.11以後におけるアメリカの伝統とも言うべき“力”による安全確保と“正義の戦い”という錦の御旗には抗しきれなかったということか。アルカイダと直接の関係もなく、また戦争の大義でもあった“大量破戒兵器”も存在しなかったイラク戦争。かつてイラク・イラン戦争では“独裁者”フセインと握手をしていた政府高官が、“独裁者”退治という指揮をとる。確かに現在の米軍事力は、群を抜き、世界中どこでもいつでも、“懲罰”を加える力を持っている。しかも、いわゆるピンポイント攻撃という、綺麗な戦争が可能と公言している。これは、かつての総力戦という戦争の概念を変え、同時に国際関係や国際法の無効を宣言することになりかねない。戦後の国際秩序が国連という大義と冷戦というパワー・バランスで維持された時代を終えて、新しい時代の扉を開く時に、ブッシュのリーダーシップは人類の命運を握っているともいえる。

グレアム・グリーン文学事典

2004 年 11 月 20 日 土曜日

『グレアム・グリーン文学事典』表紙\
書籍名   : グレアム・グリーン文学事典
(グレアムグリーンブンガクジテン)
著者名   : 山形和美(ヤマガタカズミ) 編集・監修
発行日   : 2004-09-20
税込価格 : ¥12600
本体価格 : ¥12000
画像をクリックすると紹介文が読めます(注文もできます)。

★図書新聞 11.20 田村一男・白百合女子大学教授

「グレアム・グリーンは1929年の『内なる人』をもって小説家として知られるようになり、1990年の『最後の言葉とその他』によって作家生活にピリオドを打った。この60年を越える年月にわたってなされた文業上の仕事は、長・中・短編の小説作品をはじめ、戯曲、エッセイ、評論、紀行文、自伝、伝記、回想録、さらには対談集や子供向けの読み物に至るまで、幅広く文芸の領域をカバーし、それと同時に数多くの著作物を世に送り出すこととなった。そしてこれら「グリーンの文学的全作業」をグリーンの没後13年にして生誕100年に当たるこの年に刊行されたのが、600頁を越える大冊となった本書なのである。本事典は、著作一覧・年譜・グリーンの生涯・グリーン文学の魅力・著作・重要概念項目・関係事項項目・関係人物項目・著作目録・参考文献(外国と日本)から成っていて、全体の構成は三つにまとめることができる。即ち、グリーンという作家を鳥瞰的に眺めた「グリーンの生涯」と「グリーン文学の魅力」、虫瞰的に捕らえた「著作」、そしてこれらの遠景と近景の中を迷うことなく歩くために必要な道標に相当する「重要概念項目」以下の項目の三つである。「グリーンの生涯」は、一味違った‘こく’と風味豊かな評伝となっており、「グリーン文学の魅力」はエズラ・パウンドに始まりエリオットで終わる展開の中に、シェイクスピアヘの言及も加味され、グリーンの文学の魅力が巨視的観点から述べられている。本事典の中核を成す「著作」の部は、300頁以上にも及び、習作から伝記に至るまで11の細目から構成されている。特にA「習作時代」C「長編・中編小説」D「短編・短編集」E「戯曲」F「児童向け物語」には「あらすじ」と「解説」が付けられている。「解説」はどれを読んでも巧みにまとめられていて、研究文献からの言説も適宜引用されており、この作家に接するあらゆるレベルの愛好者の要求を満たしてくれるものになっている。グリーンの小説作品の八割以上が映画化、もしくはTV化されていることを知り、驚きを新たにした。「重要概念項目」とそれに続く二つの「項目」は、グリーンの著作をより正確に、またより豊かに読み解く上でなくてはならない部分である。特に「重要概念項目」は、グリーンと同じカトリックの信仰を共有する者の人口が1%にも満たない日本にあってはなおさらである。ここには「愛の祈り」から「憐憫」まで44の項目が採られており、それらは単に字義の定義にのみ終始する辞典の類とは異なり、その概念が、作品世界を構築する上でどの様に機能\しているか、といった点を重視しての記述となっている。したがってその説明は、具体的作品に基づいてなされており、ある意味でグリーンのコンコーダンス的役割を果たしていると言うことができるであろう。本事典はグリーンを読む者を、その親しんでいる度合いに応じて受け入れてくれる許容度の大きい事典である。これまで彼の作品に点としてしか触れていなかった者でも、これを読み進むことにより、その点を足場としてどの方向に向かえば点が線となって延び、さらに面となって広がっていくか、その方向を見出すことができる。したがって本事典は引いて終わりにする類のものではなく、そこから始めるための刺激とヒントを得るための事典でもある。これをナビゲーターとして、私達は〈グリーンランド〉を安全に旅することができるようになったことに感謝したい」。

ジャズ選曲指南

2004 年 11 月 19 日 金曜日

映画『アンダーグラウンド』を観ましたか?

2004 年 11 月 19 日 金曜日

10.13 世の話題とウチの本◆集団自殺はなぜ?

2004 年 11 月 13 日 土曜日

0月12日、埼玉と神奈川で若者たちの集団自殺が報道されました。小社から『自殺願望 どうすれば「抑止力」になるのか』を出しているロブ@大月氏はコメントを求められ、13日朝はTBS「ウオッチ」などのマスコミに登場しました。すでにこの『自殺願望』の中でも、「ネット心中に至る心理」という章を設け、集団自殺について考察しています。その一部をご紹介しましょう。

……
ネット心中に関しては、その後も多数のマスコミ媒体でコメントをしてきたが、必ず聞かれる質問があった。それは、
「見ず知らずの人と死ぬ気になるのですかね」
というものだ。
この質問への答えは、出会い系サイトの事件にも通じている。
カウンセラーや精神科医に悩みを打ち明けたときに、悩みを共有できたと思い、相手との距離感が急激に縮まる感覚を覚えることがある。精神医学でいう、「転移」という現象だ。
インターネットや携帯でメールのやり取りをしてるだけで、この手の現象は頻繁に起きる。つまり、ネット心中は、同じ悩みを共有できたという錯覚から始まるのだ。
この事件で、インターネットが悪いとか、精神医療体制の不備などが指摘されているが、どれかひとつ悪いわけではない。すべてが、連鎖して、これらの事件を引き起こしたのだと思う。
僕はこれまで、自殺系サイトの運営者や、自殺願望者となどとおよそ1万通を超えるメールのやり取りをしてきたが、サイトの運営者で自殺を推奨している人などいなかった。ただ、自殺願望者は、背中を押したらすぐに死んでしまいそうな人が多かったのは事実である。

とにかく、きっかけさえあれば自殺を行動に移しそうな人間は、年齢を問わず大勢いる。そんな人たちを救うには、どうしたらいいのか。
その答えは、「周囲の人間の態度次第で救える可能性は高くなる」としか言いようがない。……

「集団自殺」の問題を考えるうえで、重要な視点を提供していると思います。ロブ氏が本日、こんな言葉を寄せてくれました。
「ネット集団自殺は特殊な自殺ではありません。この本を読み、家庭で、学校で、職場で自殺について語る機会が増えることを筆者は強く願っています」
▼ロブ氏のホームページです
http://homepage2.nifty.com/robmoon/ootsuki.htm

余談ながらひとこと。ロブ氏も述べていますが、これから予想される「インターネットを規制しろ」云々の議論は、問題の矮小化というべきでしょう。年間の自殺者が3万人を超すという事態が示している、社会をどんよりと覆っている不安。この不安が問題です。リストラされるかもしれない不安、先がみえない不安……。こうした不安は間違いなくわたしたちの心を苛んでいきます。
プロ野球球団合併騒動において示された、ファンによるオーナーたちへのNONは、この不安をもたらす者たちへの無意識の抵抗だったとも考えることができるのではないでしょうか。
【オフサイド通信04.10.13杉山】

銅鐸民族の謎

2004 年 11 月 10 日 水曜日

風(rera)に祈る

2004 年 11 月 8 日 月曜日

ラフカディオ・ハーンの思想と文学

2004 年 11 月 3 日 水曜日

『ラフカディオ・ハーンの思想と文学』表紙\
書籍名   : ラフカディオ・ハーンの思想と文学
(ラフカディオハーンノシソウトブンガク)
著者名   : 大東 俊一(ダイトウ シュンイチ) 著
発行日   : 2004-09-15
税込価格 : ¥2310
本体価格 : ¥2200
画像をクリックすると紹介文が読めます(注文もできます)。

★『ダカーポ』04.11.3号

「今年はラフカディオ・ハーン=小泉八雲の没後100年にあたり、さまざまな催しを通じてその再評価の機運がめざましい。まさにくめども尽きぬ泉のように、ハーンは魅力に富んでいる。本書では、ギリシャの小島で生まれ流転ののちに日本にたどり着いたハーンが、明治の日本に魅了された姿が思想史的な解説のもとに解析されている。当時の日本人の暮らしの中に息づく宗教心と道徳を、宇宙的な生命の進化史の中で了解するハーンの営みを鮮やかに描き出していて、小著にして好著。

編集部だより(No.11 2004・11)

2004 年 11 月 1 日 月曜日

神戸、そして佐世保へ行って来ました。
今年のアメリカ文学会は神戸の甲南大学で10月16、17日に開かれました。
春先に日本英文学会が大阪大学であったので、近い距離で二つの学会があり、珍しく1年に2回も関西に行ったことになります。
甲南大学のある東灘区岡本は、文豪谷崎潤一郎の代表作の『細雪』にも出てくるところで、閑静な住宅街です。関東大震災後、関西に移り住んだ谷崎が暮らしたところでもあり、近くの芦屋には谷崎記念館があるそうです。
この大学では、小社から出ている現代作家ガイド(1)の『ポール・オースター』の著者のひとりであるAさんが教鞭を執られています。今回は学会の当番校なので忙しそうに動き回っていました。甲南大学は、キャンパスの面積に対する学生数の比率が全国的にも高い学校だそうです。たしかにちょっと散歩すると知り合いに会うという感じでした。
編集部だより(No.1)で書いたことを思いだしました。「広大なキャンパス(岩手県立大学)のせいでもありますが、参加者もちらほらという感じで、昨年の京都・同志社大の盛況を思い、販売の方は大丈夫かな、と心配になってきました。」
岩手県立大学とは反対で、狭いキャンパスにもかかわらず、書籍展示会場にみえる人はチラホラで売り上げのほうは大丈夫かな、と同じように心配になってきました。
参加した出版社の数は23社で、クジ引きでの場所はまあまあでした。お隣は英宝社で、英語の教科書をたくさん出しておられます。英語・英文学関係の専門誌「英語青年」(研究社)では小社とともによく広告を出している老舗の出版社です。
売り上げ予想は見事に外れ、同志社大学、岩手県立大学に次ぐ三番目の販売成績でした。販売冊数はそれほどでもなかったのですが、『グレアム・グリーン文学事典』『ポーと日本』『アメリカ文学批評史』などの高単価本が売れたことが大きかったようです。なお売り上げベスト5は以下の通りです。『イエロー・ペリルの神話』『ヘンリー・ジェイムズのアメリカ』『ラフカディオ・ハーンの思想と文学』『越境するトポス』『アメリカ文学批評史』の順です。
そういえば宿泊先は神戸の元町の駅前という大変便利な所でした。このあたりは十年前の阪神淡路大震災でかなりの被害を受けたことを記憶しています。長田地区もすぐ近くです。(一週間後の23日の夕方、社にいましたら震度4の地震を体験することになります)朝の散歩でホテルの真裏が神戸南京街であることに気づきました。震災後、いち早く復興に乗り出した所だったように思います。

10月29日から3泊4日の予定ではさらに西の佐世保の方へ旅することになりました。これは休暇をとってのプライベートなものです。ほんとうは夏に帰らなければならなかったのですが、前号のような事情で秋になってしまいました。
出発の数日前、一泊だけは親戚付き合いをやめて、平戸に泊まる計画を立てました。大橋が架かり観光地化した平戸島ではなく、かつて平戸島に渡るための船着き場であった平戸口から歩いて20分くらいの所にある中瀬草原が目的の地です。中学・高校時代によくキャンプをした所で、草原と海が見事に調和した誰もが多分驚嘆の声をあげるであろう絶景の場所です。
その一角にユースホステルが出来ているのをネットで見つけて急遽行ってみることにしたのです。5時頃着いたのですが、雨の予想が外れ、それからしばらくして夕日の沈む素晴らしい景色を見ることが出来ました。またここのユースホステルには温泉があり、海を見ながらの露天風呂というおまけ付きでした。
『愛と死を見つめて』の著者、河野実さんが平戸を含む日本のオランダとの関係の深い場所を訪ねた『日本の中のオランダを歩く』を作って5年ほど前に営業に来たことがありました。
佐世保といえば、今年は小学生の刺殺事件が起こり、全国の注目を集めた所でもあります。わたしの高校時代の同級生もこの事件の関係者と関わりがあり、他人事ではなく事件の推移を見続けた年でした。
今回は、博多から電車で佐世保へ向かいました。新装なった佐世保駅に電車が停まると駅から海が見える風景に変わっていました。村上龍の『69 sixty nine』の映画で佐世保の海や基地、商店街が出てきましたが、その風景は変わらないものです。(K・S)