マイルスからはじめる JAZZ入門

2002 年 6 月 20 日 木曜日

大仏開眼と宇佐八幡神

2002 年 6 月 18 日 火曜日

サラ/ハイ・ライフ

2002 年 6 月 10 日 月曜日

異端者

2002 年 6 月 7 日 金曜日

奴隷制の記憶

2002 年 6 月 7 日 金曜日

白い街へ

2002 年 6 月 5 日 水曜日

『白い街へ』表紙
書籍名   : 白い街へ リスボン、路の果てるところ
(シロイマチエ)
著者名   : 杉田敦(スギタアツシ) 著
発行日   : 2002-02-27
税込価格 : ¥2310
本体価格 : ¥2200
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★『ナンクロ館』02年Vol.5
リスボンに魅せられたアーティストを語ることにより、その街が鮮明に描きだされる。まるで、その場に居るかのように静かに吸い込まれていくのだ。リスボン、いやポルトガルに行ってみたくなる。

★『ハイファッション』6月号

「東欧のように内に向かって閉じていることで感ぜられる疎外感ではなく、あまりに外に開かれているからこその孤独。または真っ赤な部屋に暮らすことの狂気ではなく、世界が真っ白であるがゆえに自己喪失の恐怖を待つ街、リスボン。映画『白い町で』に導かれて訪れた辺境の街リスボンに、自分も含めて、A.タブッキやW.ヴェンタース、V.ベンヤミン、C.ヴェローゾたちが、なぜこれほど魅入られてしまうのかを芸術と思想、文学といった文化的パースペクティヴで透視。多くの異名で創作を行った詩人F.ペソアを引きつつ、サウダーデとディアスポラへ丁寧に糸をかけるようにして書き上げた、まさにエッセー=試論と呼べるにふさわしい文化的紀行」

★『Esquire』 02年6月号 大城譲司
リスボンに魅せられたアーティストを語ることにより、その街が鮮明に描きだされる。まるで、その場に居るかのように静かに吸い込まれていくのだ。リスボン、いやポルトガルに行ってみたくなる。

★公明新聞、02/5/27
アーティストたちの軌跡をリスボンに訪ねる――本書はありきたりの観光案内ではない。著者はよるべない旅行者としてリスボンの魅力をつぶやくような語り口で書きつけ、同じくリスボンに魅せられたさまざまな表現者たちの軌跡をたどり直そうとする。
本書には……数多くの思索者が登場する。本書を読むことが、リスボン=近代の臨界を巡る旅でもあるような構成となっており、アームチェアトラベラーにはうってつけの一冊である。

★週刊読書人、02/4/12 大久秀憲
彷徨の方法で書かれる、リスボンとアーティストたちの白い関係―ペソア(詩)、タブッキ(小説)、アラン・タネール(映画)、ヴェンダース(映画)、カエターノ・ヴェローゾ(音楽)、カバコフ(美術)、ベンヤミン(思想)など、彼らに映ったリスボンが語られてゆくのが本書である。著者も毎年月単位で訪れているという。月単位、というところに有段者を感じる。街の細かな描写が全編に見られる。著者は街を歩きながら書いたようである。ただその歩みは散歩のようではない。本書は彷徨の方法で書かれているように思える。リスボンに惹かれたアーティストたちは断片的にしか語られない。著者は「あの白い街にはこの方がふさわしい気がしてならない」という。その方法はそもそも街の要請するものでもあったということであろう。タイトルに読め、いたるところでも触れられる街の色だが、それは大航海時代が終わりヨーロッパにおいて褪せていった果ての色だった。異なった時代、異なった分野が接近し白熱する色だった。諦めと高まりと、コントラストが同じ色のなかで起こっている。その不思議がひとをリスボンへ呼ぶのだろう。

★東京新聞、02/3/24 横木徳久

ヨーロッパの国々に関する書籍は大量に出版されているようだが、実際は特定の国ばかりに集中している。ポルトガルのようなマイナーな国に関する本は意外に少なく、しかもポルトガル語で郷愁を意味する「サウダーデ」に酔いしれて客観性を見失ったものが目立つ。それは、ポルトガル、とりわけリスボンという街が孕んでいる魔力でもある。本書は、このリスボンの魔力にとらわれつつも、分析的かつ思索的な態度を崩さず、この街の魅力を余すことなく伝えている。まず本書は、二つの異なる局面から構成されている。一つは「リスボンに魅せられたアーティストたち」、すなわちフェルナンド・ペソア、アラン・タネール、アントニオ・タブッキ、アルヴァロ・シザら詩人や映画作家の作品や履歴に分け入る批評的アプローチであり、もう一つは、リスボンで遭遇する様々な事柄を観察する著者自身の体験的アプローチである。この二つの局面は、しばしば時間の枠を越えて交錯し、脱ジャンル的な空間を生み出している。そして批評面では、ペソアにおけるナショナリズムの問題を言葉への帰属性として捉えるなど、随所に刺激的な見解があり、また体験面では精確な観察によって、コントラストを軸にした「サウダーデ」論が語られ、リスボンの実像が焙り出されていく。「アーティスト」に限らず、リスボンを訪ねる旅行者の多くは、評者も含めて自らの帰属性を疑わずにはいられない。つまりこの日本が「終の棲家」ではなく、リスボンこそ帰るべき場所に思えてくる。こうした感情を、著者は根源的な「寄る辺なさ」として表現している。おおむね共感するのだが、この「寄る辺なさ」という情感へと普遍化してしまうと、ポルトガル・フリーク(心酔者)にありがちな自己慰撫へと陥るおそれもある。むしろ読者には、曖昧な情感ではなく、本書の中から、日本を見切るに充分な価値としてのリスボンを発見してほしいと思う。

ドン・カズムーロ

2002 年 6 月 5 日 水曜日

『ドン・カズムーロ』表紙\
書籍名   : ドン・カズムーロ
(ドンカズムーロ)
著者名   : マシャード・デ・アシス(マシャード・デ・アシス) 著
発行日   : 2002-02-22
税込価格 : ¥2940
本体価格 : ¥2800
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★論座6月号・坪内祐三

「ソンダクのエッセイ集には『死ののち マシャード・デ・アシス』という一文が収められていて、この一文は素晴らしかった。この未知の作家を、もの凄く読みたくなった。(この作品は)ちょうど19世紀と20世紀の、すなわち従来のタイプのリアリズム文学と新しいモダニズム文学が重なり合うような頃だが、『ドン・カズムーロ』は、まさに、その時代を体現している傑作だった。……この作品の重要な道具は「目」である。登場する各人の「目」に注目しながらこの長編を読み進めていけば、より深く作品世界を堪能することができるであろう」

営業部便り・2002.6 『本が輝く棚とは』

2002 年 6 月 1 日 土曜日

書店に行くと実に多種多様な本があります。特に大型書店などの巨大な棚は、単にベストセラー本や新刊本だけを並べただけではスカスカになるので、かなり以前に出版された本や規模が小さい出版社の本も置いて、様々なお客さんのニーズに答える商品構成をしなくてはなりません。当然この作業をするのは現場の書店員であり、それぞれのジャンルの棚の仕入れ担当者であるわけです。“棚に本を並べる”実はこれが簡単ようでいてかなり奥が深く難しい作業なのです。今現在私は出版社に在籍していますが、以前割と長い期間書店で働き書籍仕入れと棚担当をしていたことがある経験上、身に染みてそのことはよく分かります。最近巷(特に出版業界内)では、「金太郎飴書店が増えた」とか「ついつい衝動買いしてしまうような棚のある書店がなくなった」などとよく耳にします。私も一時期そう思っていました。しかし私は営業で全国の様々な書店を周る間に、その考えが誤りであることに気付かされました。ちゃんと頑張って、本を仕入れて魅力ある棚を作れる、または作ろうと努力している若い書店員達と数多く出会ったからです。
今回紹介させていただく三省堂書店神田本店で文芸書棚を担当する奥澤さんもその中の一人です。本が輝く棚、つい買う目的の本だけでなく、その隣りに並ぶ本や、その書店でしか見られない個性的なフェア台の本も衝動買ってしまうような棚。それを作れる書店員です。ただ、奥澤さんの作った棚に感心し、興味を持った人が私だけなら、たまたま私と奥澤さんの好きな本の趣味が一緒だっただけで、悪く言えば自己満足の棚に過ぎないと思う人もいるかもしれませんが、奥澤さんの棚に感心しているのは、私だけではないということを、最近出版社同士の会合や、三省堂神田本店を訪れたことのある友人、知人複数人から「あそこの外国文学の棚は凄いよね、ポップとかも個性的だし本好きにはたまらないよ」と言うのを聞きくにつけ、確信へと変わりました。この前なんて某出版関係の業界紙の記者の方が「あそこは凄いよね、ぜひあの棚の担当者の取材をしたいな」と言っていたぐらいです。
毎月奥澤さんが仕入れて行う外国文学のフェアは実に面白かった。今月はサッカーワールドカップに因んで「ワールドカップ文学フェア」それぞれの出場国の文学を集めたフェアで、小社からも「あらゆる名前(ポルトガル)」、「カカオ(ブラジル)」、「僕のうちは殺された(クロアチア)」などを並べていただきました。先月のフェアは「自殺の文学史フェア」で自殺に関係する作家や内容の本を並べて、自殺をイメージさせる洒落たポップ(ちょっと恐い・・)もついていました。その前の月は確か「ダメ男フェア」とかいうので、例えばニック・ホーンビィ著の「ハイ・フィデリティ(新潮文庫)」(この本は私も読んだことがあるが、本当にうだつのあがらないダメ男が主人公だった)が並んでいたのを覚えています。さらに凄いのはこれらのフェアはただ面白いというだけでなく、ちゃんと売れていてフェア全体で百冊以上売れることもあったということです。
ただここで残念なお知らせをしなくてはなりません。そんな素晴らしい書店員の奥澤さんが移動になることを本人の口から先週営業で三省堂を訪れた際に聞くことなりました。三省堂書店の別の部署(売り場ではない)に移動とのことです。

そこで私は言いたい「三省堂書店さん!!もったいないですよ。奥澤さんの作った棚を見てください!!!」と。
会社だから人事異動はしょうがありません。でもせめて後半年、一年はやっていただきたかった。奥澤さんがいつか売り場に戻ってくる日を願っています。
他にもぜひ紹介したい素晴らしい書店員の方々は日本全国にたくさん居られます。みなさんも今度書店に行った時はじっくり棚を観察してみてください。その棚の本を仕入れて並べた書店員の想いが感じられるかもしれませんよ。

奥澤さん
ワールドカップ文学フェア

(写真・三省堂書店神田本店にて、左:奥澤さん、右:「ワールドカップ文学フェア」)

(筆・春日)